スターダストクルセイダース~俺のスタンドがイカれてる件について~   作:四五茶

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ホルス神―②

 イギーは呆れながらホテルを去り、気ままに散歩をしていた。朝食はカップルが食べていたサンドイッチを盗み食い、そのまま当てもなくカイロの街を散策する。が、偶然なのか或いは必然なのか、イギーはディオの館の門付近までやってきていた。が、当の本人はそんなのを気にせず、その場から後を去ろうとした時、どこかの馬鹿犬二匹がイギーに絡んできた。この犬達は小さなイギーをフルボッコにしようとしているが、相手はイギーだ。ニューヨークの野良犬の帝王としていた君臨していたこのイギーにとって、この二匹など相手する存在ではない。ただ少し睨んだだけで、犬達は勝てないと察し、トボトボと去って行った。

 

「ったく、マジねみぃぜ……。大輔の馬鹿が朝から何かやらかしたらしいが、アイツには関わらない方が絶対いい。さっきの承太郎達の慌てぶりから察するに、めんどくせぇことになってんだろうなぁ……」

 

 大きな欠伸をしてそのまま去ろうとしたイギーであったが、後ろから先程の犬達が何やら地面を掘っている音が聞こえてきた。イギーは暫し様子を見ていたが、すぐに異変が起こった。それは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。これにはイギーも思わず驚きを隠せず、一体何が起こっているのか見当すらつかない様子。そのまま犬達の体はブラックホールに吸い込まれるかのように門の中へと消え、その代わり現れたのは一匹の(ハヤブサ)

 

(……コイツ、ま、まさか自分と同じスタンド使いか?)

 

 イギーは正直その考えが外れて欲しいと願ったが、どうやらイギーの考えは当たっているようだ。何故ならば、隼がある男に向け巨大な氷の塊を落とし、男が乗っていた車ごと破壊したのだ。

 

(ど、どうやら、偶然通りかかったこの場所が、ジョースター達が捜していたディオとかいう男の館らしいぞ……。そして氷の塊を落下させたのが、奴のスタンド能力で、奴は番犬ならぬ番鳥ということか……。つまり、つ、次に狙われるのはこの俺ということか! ク、クソ! お、俺は無理矢理ジョースター達に連れられただけだというのに、ざ、ざけんじゃねぇぞ!)

 

 ゆっくりとその隼はイギーの前に降り立ち、イギーをどう処理しようか考えてる風にイギーは思えた。イギーは自分が無関係であることを証明するために、馬鹿犬のフリをしてこの場をやり過ごすことに決めた。仮にここでスタンドを出し、この隼とやり合ってもイギーにとって一文の価値もないのは明白。故にイギーは振舞う――とにかく自分は馬鹿な犬であり、隼様にとって何の価値もないゴミ同然の存在であることを。そんな時、一台の車が全速力で隼に向かってスピードを上げていた。運転手は気がつき、クラクションを鳴らし、警告するが、な、なんと、この隼は逆に車に突っ込み避けてみせたのだ。

 

(こ、この鳥公……! イ、イかれてやがるぜ! だ、大輔並みにイカれているかもしれんが、まぁジョースター達がこの館を見つけたとして侵入するのはさぞ骨が折れるだろうよ)

 

 隼は再び館の中へと消え、イギーも自分に関心がなくなったことで一安心しその場から立ち去ろうとした時――。

 

「チビ! ブチ! どこだい!? ……あ! ね、ねぇ、僕の犬二匹知らないかい? 名前はチビとブチっていうんだけど――」

(うるせぇな! 犬の俺に聞くな! 話ができるわけねぇだろ! 間抜けか! てめぇはよぉ?)

「っは!? あ、あの首輪は……! ()()()()()()()()()! どうして門の下にチビの首輪が!? ち、血もついてる!」

(お、おいおい……。チビとブチっていうのは、さっきのデカ犬二匹のことかい?)

「チィィィィィビィィィィィ! ブゥゥゥゥゥチィィィィィ!」

 

 イギーに話しかけた少年は、あろうことか門の中へと侵入するために、下をくぐりぬけようとしている。「殺されるぞ!」とイギーは叫びたかったが、叫ぶ勇気が今のイギーにはない。が、別にイギーにとって少年がどうなろうが知ったことではない。弱肉強食はこの世の掟、ならばあの馬鹿犬二匹の飼い主も隼の餌にでもなってしまえばいい。そんな考えからか、イギーはその場を去って行った。

 

 

 

 

「チビ! ブチ! どこなんだい! 戻っておいで!」

 

 少年はディオの館の内側へ上半身を出しながら探そうとした時、目にしてはいけないあまりの残酷な光景に言葉を失った。なんと自分の飼い犬二匹は絶賛隼の食事にされているのだ。眼球を刳り抜き食べるその様は、まるでホラー映画そのもの。「食っているぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」と叫んだ少年の声に反応した隼は、新たな得物がやってきた喜びと排除しなければならないという命令をもって少年に襲いかかろうとした、その時――。

 

 ――バシン!

 

 今にも隼の爪が少年の顔に届きそうだった刹那、なんとあのイギーが少年を助けたのだ!

 

「やれやれ……。犬好きの子供は見殺しには出来ねぇぜ!」

 

 愚者なれどイギーは勇者だ。小さな勇者なれど、それでいい。それこそがイギーなのだ。誇り高く気高いイギーは、ディオの館の門番であるこの隼と相対するのは至極必然なこと。

 

「おい! とっとと出て行け! 食われたくねぇだろうが! ここは俺が引き受けるって言ってるんだぜ! てめぇはママのとこへ帰んな、坊や!」

 

 少年はイギーが何を言ってるか分からないが、自分を守るために戦ってくれているのだと自ずと分かり、すぐに去って行った。

 

「この鳥公! 来るなら来い! ぶっ殺してやる!」

 

 イギーのその挑発に対し、隼はなんと嘴を歪ませ笑ったのだ。その出来事にイギーはほんの一瞬ではあるが、油断してしまった。それが結果的にイギーを窮地に追い込み、隼から氷のミサイルがイギー目がけて着弾したが、もうそこにはイギーの姿は消えていた。隼は上空を舞いながらイギーが何処へ逃げたのかを探し出す、果たしてイギーはこの隼に勝つことができるのだろうか。

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