スターダストクルセイダース~俺のスタンドがイカれてる件について~ 作:四五茶
この隼の名はペットショップ、スタンド名はホルス神。スタンド能力は氷を自在に操るというもの。ディオの館の昼の門番として彼は忠実に任をこなし、今日も当たり前のようにその職務を全うするだけであった。そんな折、自分と同じスタンド使いの犬が自分の食事を邪魔し、もしかしたらジョースター達一行やもしれない。故にペットショップは絶対にイギーを逃さない、何としてでも排除するのみ。そんな彼がイギーを捜している最中、これも偶然なのか、或いは必然なのか。イギーとは別の標的を彼は見つけたのだ。
(ほぅ? マライアめ、貴様はディオ様を裏切ったわけだよなぁ? 先程の犬よりもまずは貴様から排除させてもらおう)
マライアの近くには女と男がいるが、恐らくはジョースター達の仲間であるとペットショップは考えた。であれば、このまま強襲し、3人まとめて排除した方がディオにとっては有益になり得るだろう。彼は自然と巨大な氷の塊をマライア達の頭上に召喚し、そのままマライア達に向け隕石の如く落下させた。
「勝った! ディオ様、手始めに三人を――」
――スパスパスパスパスパ……
ペットショップの放った巨大な氷の塊は瞬く間にかき氷のような氷のペーストと化してしまった。これにはペットショップは驚きを隠せず、すぐに上空へ舞いそのまま急速離脱した。本能的に近づいてはならないと判断したペットショップは流石と言わざるを得ない。が、ペットショップは最大の過ちをしでかしたことに気がついていなかった。マライア達と同行していた者の中に、ディオが最も危惧していた男がいたことをペットショップは完全に失念していた。
※
「ち、畜生! 完全に捉えたはずだというのに!」
ペットショップはこのままディオの館に戻らず、再びイギーの捜索を再開した。が、彼には『運』が味方していたのか、すぐにイギーを見つけることが出来た。次の曲がり角を左折すると判断したペットショップは、すぐに曲がり角で待ち伏せし、そのまま氷のミサイルを発射する!
「う、う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
これにはイギーも驚きを隠せず、そのまま逃げるしかない! 逃げて、逃げて、ただ逃げるしかないのだ! ペットショップはそんなイギーを喜びながら氷のミサイル乱射していくが、ペットショップがもし最初からイギーだけを狙っていれば結果は変わっていたであろう。
「あぁん!? 見つけたぞ! この鳥公がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
そう、イギーはただ我武者羅に逃げていたわけではない。大輔の臭いがする方向へ向かって逃げていたのだ。これにはペットショップも驚きを隠せず、急速に上空へ逃げようとする、が――。
「な、な、な、な、何ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!? いつの間に俺の翼に鎖が巻きつけられ――」
まるで釣り竿のリールのように、全力でペットショップは大輔の方向に巻かれていく。抵抗しようと逃げようとした時、完全に翼が折れ、最早飛べない隼でしかないペットショップ。そんなペットショップに対し、イギーは大輔の足に自分の体を猫のように擦りつけながら、自分が味わった報いを味合わせてくれと訴えてるかのよう。
「おぉ……、イギー! お前まで襲われたのか……、泣けるぜ……。ほれ、イギー。お前が好きにすればいいぞ」
「ガウガウ! ガウガウ!(徹底的に! 徹底的に叩き潰せ!)」
イギーは前足でペットショップを指差し、自分ではなく大輔に始末させようとしていた。大輔はその訴えに対し、満面の笑みを浮かべながらゆっくりとペットショップに近づくが、ペットショップはまだ戦意喪失していない。ここで大輔若しくはイギーのどちらかを再起不能にすれば、それだけで十分。であれば、まだ勝ち目がありそうなイギーに狙いをつけペットショップは氷のミサイルを放とうとした時――。
――ボガァ!
大輔は躊躇なくペットショップの腹部を全力で蹴り上げたと同時に、クレーバースレイヤーがペットショップの首を思いっきり絞めつける。
「このカーズ、人間以外は基本的に愛しているが、貴様はスタンド使い。貴様の遺言を聞いてやる、言ってみろ」
「キェェェェェ……!(このチンポ野郎がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!)」
「ふん! 下衆な言葉を吐きよるわ! ならば死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
クレーバースレイヤーの斬撃が無情にペットショップを襲う。その斬撃を全身で浴びたペットショップは、まるで魚のお造りのように料理され、そしてそのまま絶命した。「これ食えるかな?」と何食わぬ顔でクレバースレイヤーに質問を投げかける大輔に思わずゾッとするイギー。
(コ、コイツら、や、やはり相当イかれてやがる! ハァ……、ハァ……! だ、大輔が近くにいなければ……、や、やれやれ……。正直ちょっぴり危なかったかな)
イギーは大輔を無視し、再び当てもなく歩いていこうとするが、それを阻むようにクレーバースレイヤーがイギーの前に立ち塞がる。
「おい、イギー。貴様、何故襲われたんだ?」
「べ、別にそんなこといいだろう! た、たまたま襲われただけ――」
「ほぉ?
(な!? コ、コイツ、お、俺の言葉を理解してやがる! あ、有り得な――)
「大輔、とっととジョジョと合流するぞ。
ペットショップ、イギーの機転により完全敗北。もしあの時、マライアを無視していれば、少なくとも結末は変わっていただろうに……。