スターダストクルセイダース~俺のスタンドがイカれてる件について~   作:四五茶

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クリーム―①

 館に侵入し、暫く立つとなんと勝手に館の扉が開かれ、中の様子を確認するが、廊下が延々と続いているかのよう。そして奥から一人の執事を名乗る男が現れ――正確に言えば廊下を滑走するかのようなスピードで登場し、物腰が柔らかい感じで応対してくれた。

 

「ようこそ、ジョースター様。お待ちしておりました。私はこの館の執事で、ダービーと申します」

 

 何でも俺と楽しい遊戯をしてくれたおっさんの弟らしい。普通ならば恨むものだろうが、この弟は全く恨みがないという。「兄は兄、私は私です。まるで違うのです」と言うのは別に構わないのだが、この弟は肝心なことを忘れているようだ。

 

「ふぅ……。YES or NO、そうでしょ? ダービー?」

「っ!?」

「ようは私の劣化版ってことよ、この男の前では嘘は言えない。但し制限がある。私みたいに全てを暴露する能力ではないの。ただYESかNOかだけしか分からないわね。アヴドゥル、焼き尽くしなさい。それで終わりよ」

「YES! I AM!」

 

 アヴドゥルのマジシャンズ・レッドが口から炎を吹き出す。「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」とその場から逃げ出そうとしたダービーに向け、レレーナは事務的に腰から銃を取り出し、ダービーの太腿に数発撃ち込んだ。そのまま炎に焼かれながら悶え苦しむダービーに対し、アヴドゥルは一切の慈悲がなく消し炭になるまで焼き尽くした。

 

「愚かな男……。さて、ここからが問題ね。この廊下は恐らく幻覚、本体を倒さない限り――」

「風を読みとればいい。そうすれば自ずと本体の位置が割り出せるだろう」

 

 俺は目を瞑り風を読みとる。……なるほど、ここより階段下、その左前方に隠れているな。さて問題は、だ。このまま全員で突入するか、それとも――。

 

「ジョースターさん、ここは二手に分かれましょう。私、ポルナレフ、イギー、それに大輔で偵察すべきかと」

「……ワシもそれを言おうと思っておった。ではワシ、承太郎、花京院、レレーナで分かれるが構わんか?」

 

 レレーナは文句を言うかと思ったが、ジョセフの案にすぐに賛成した。この館に突入してから何かしらの異変があった場合、或いは館へ突入してから10分後にジョセフ達後続が館へ侵入する段取りだ。まぁもう敵スタンド使いの本体がどの位置か分かっていることだし――。

 

「ワムウ!」

「承知!」

 

 暫くするとワムウが仕事を終えたのか、館の廊下が元の状態に戻り、すぐにワムウが戻ってきた。これで館の探索がスムーズムに行えるはずだ。俺はワムウからクレバースレイヤーへ切り替え、そしてこの階に他に敵がいないかどうかを探る。……いない、ならば今突入すべきだ。

 

「アヴドゥルさん、突入しましょう」

「……うむ。であれば――」

 

 マジシャンズ・レッドの口から炎の蝋台のようなものが噴き出された。何でもこの炎は半径15m以内の生物やスタンドを探知できるらしい。流石はベテランのスタンド使いなだけある。

 

「ではジョースターさん、私達はこのまま調査を始めます」

「アヴドゥル、もしディオに出くわしたならば――」

「分かっております。すぐにジョースターさんに知らせ、私達はその場から一時退却をしますので」

「……頼んだぞ」

 

 

 

 

 館の調査を地下から始めたアヴドゥル達。幻影を見せていたスタンド使いの男の亡骸が転がり、他は特に異常がないように思える。4人は互いをカバーするように動きつつ、各部屋を調査していく。アヴドゥル達の生命線はこの炎の探知機、イギーの鼻、それに風を読む大輔の能力。十二分すぎる程の準備で望んでいるはずだというのに、この拭えない不安感は一体何なのか。各々それを感じながらも、地下の調査を終えようとしていた。

 

「……ん?」

 

 アヴドゥルはふと柱の壁に書かれた文字に目をやった。何故こんな所に文字がというほんの少しの好奇心から目をやったのだが――。

 

 

『このラクガキを見て、後ろを振り向いた時おまえらは――死ぬ』

 

「っ!?」

 

 アヴドゥルは冷静に状況を考える。まず炎の探知機には何も引っかからず、イギーの鼻も異常を示していない。自分の探知機を信じている大輔は、各部屋の探索をしているが異常を発見していない。

 

(……炎には異常なし、イギーの鼻にも何も臭ってないようだ。大輔もあの部屋を調べ終われば、この地下の調査は完全に終えるというのに一体――)

 

 ゆっくりとアヴドゥルは後ろを振り向くと、ソイツは存在した。上半身だけのソイツは口から腕を取り出し、やがて口から全身を現わしていく。ソイツの禍々しさをどう表現すれば良いか分からないが、今まさに前方を歩くポルナレフとイギーを襲いかかろうとした、その時!

 

「ポルナレフ! イギー! 危ない!」

「「……ん?」」

 

 

 ――バチコン!

 

 

 全力でポルナレフとイギーをソイツから庇うかのように殴ったアヴドゥル。自分の命か、それとも仲間の命か。アヴドゥルは走馬灯のように自分がポルナレフ達に言った言葉を思い出す。

 

(っふ、自分の安全を第一に考えろと言いながら私は愚かにも憎たらしいポルナレフを救ってしまったか……。だがそれでいい、それで――)

 

 

 ――ガオン!

 

 

 アヴドゥルは呆気なく散った。ほんの僅か数秒でしかない出来事であったが、アヴドゥルは両腕だけ残し、ディオの館で死亡した。

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