スターダストクルセイダース~俺のスタンドがイカれてる件について~ 作:四五茶
「ポルナレフ! イギー! 危ない!」
その言葉を聞いた後、俺は後ろを振り向いた時にはアヴドゥルはいなかった。……違う、正確に言えばアヴドゥルの両腕しかなかったのだ。それが物語る残酷な事実は恐怖よりも、何をなさなければならないか俺に分からせてくれた。
「このど畜生がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
俺はすぐにソイツにクレーバースレイヤーを襲わせたが、ソイツは何とその場から忽然と姿を消したのだ。こ、このままでは不味い! な、何故だ! 何故炎の探知機に引っかからなかったのだ! ふ、ふざけるなよ!
「アヴドゥルゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ! 何処へ行ったんだぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ポルナレフは現実を受け入れられず探すが、それは無駄だ、ポルナレフ!
「……アヴドゥルは、粉微塵になって死んだ」
ゆっくりと上半身だけ姿を現したソイツに向け、再びクレーバースレイヤーで襲いかかるが、手応えが全くない。まるで宙を斬ってるかのような感覚だ。「……ほぉ?」とクレーバースレイーは何かを悟ったかのようではあるが、とりあえず今は――。
「ポルナレフ! イギー! ボケっとしてんじゃねぇぞ! このタコが! コイツの相手は俺がやる! そして! 今すぐディオの館から逃げ出せ!」
「ば、馬鹿野郎が! ふざけるなよ! アヴドゥルを置いて――」
「アヴドゥルは死んだと言ってただろうが! お前達を助けて死んだんだ! そして! コイツは今までのスタンドと次元が違い過ぎる!」
「……貴様が大輔か。このヴァニラアイスがここで排除させてもらおう。私の口の中はどこに通じているか自分でも知らぬが、暗黒の空間になっている。吹っ飛ばしてやったのだ、アヴドゥルをな。次は大輔、お前を吹っ飛ばしてやる」
とにかく今はこの地下から逃げるしかない! ここでの戦闘は、俺達にとってみればアウェイだ! 戦況を一旦立て直さなくては!
「クレバースレイヤー! 一時離脱だ」
鎖のスペースショットとでも言えばいいか、天井を破壊し、俺は瞬時に一階へと上がった。「ジョセフさん! 館に入るな!」と警告しつつ、俺は目を瞑り風を読みとる。突破口は必ずあるはずだ、あるは――。
「大輔、伏せろ!」
――ガオン!
クレバースレイヤーが咄嗟に反応しなければ、俺の全身はこの柱と同じく大きな穴と化していただろう。「……やはりか」と意味深なことを言うクレバースレイヤーは冷静に状況を分析しつつ、どう対処すればいいか答えを導きだした。
「奴のスタンドを観察していたが、
クレバースレイヤーはそこら中の壁を斬り刻み、粉塵を巻き起こした。するとソイツの動きの軌道がハッキリと分かる! ハッキリと!
「奴が暗黒空間にいる間は確かに無敵だが、奴は大輔のように風を読むわけではない。だとするならば――」
そう、奴は視認しなければ俺の正確な位置まで分からない! 狙うのはその一点! そして今がその時!
「ヴァニラアイス! 食らえ!
ヴァニラアイスの喉元を斬り裂き、そしてついでに左肩から右わき腹まで斬りつけてやったぜ! ざまぁねぇな! ゆっくりと両膝から崩れ落ちていこうとするヴァニラアイス、最早勝利は確定的――。
「……味な真似をしおって! ドチンポ野郎がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「な!?」
ヴァニラアイスは俺の左腕を掴むと、スタンドの口の中に引き込もうとする。その力は尋常じゃない! こ、ここは一旦距離を取るしかない! すかさず再び鎖のスペースショットでその場から離脱し、索敵もしていない二階へと俺は逃げた。
「ば、馬鹿な! 何故生きているんだ! 致命傷だっただろうが!」
「……フン、考えられるのは一つ。
「一体どういう――」
クレバースレイヤーは再び粉塵を宙に撒き散らし、ヴァニラアイスの警戒を強める。俺が昇ってきた場所を利用し、現れたヴァニラアイスの軌道をまた読むが、クレバースレイヤーは何を考えてか、そこらかしこの壁に穴を開け始めた。これでは音で俺達の場所がバレバレになってしまう! 室内に太陽の光が幾重も入り込む空間と化したが、何故こんなことを――。
「
「な、何を言って――」
「ぐ、な、何だ!? こ、これはぁぁぁぁぁぁぁぁ! ぐぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ヴァニラアイスの悲痛な叫びが聞こえた瞬間、クレバースレイヤーは更に壁を破壊すると、なんとヴァニラアイスの体は砂上の城が崩れるが如くボロボロと崩れ落ちた。何がどうなっているか全く分からないが、か、勝ったのか……?
「
「……」
「確かに厄介なスタンドではあるが、冷静に状況を考えれば、このカーズの敵ではない。そもそもこのカーズにとって、吸血鬼はただの餌よ。餌に何故負ける道理がある?」
「……なぁ、クレバースレイヤー。俺も若しかして太陽が拝めない体に――」
「さて、な。
「……」
俺はふとアヴドゥルの声がしたかと思い、後ろを振り返ると、なんとそこには天に召されるアヴドゥルの姿があった。俺に向かってガッツポーズを見せたアヴドゥル。アヴドゥルのそのガッツポーズに黙って頷き、アヴドゥルは満足したかのように消えていく。それを目の当たりにした俺は自然と目から涙が零れ落ちていた。もし、もし俺がもっと早く異変に気付いていれば、少なくともアヴドゥルを死なずに済んだはずだというのに……。
「……うぅ」
声を殺しながら俺はゆっくりと階段を降りる。今は承太郎達に2階までが安全になったことを知らせなければ、知らせなければ……。アヴドゥル……、すまない……。