スターダストクルセイダース~俺のスタンドがイカれてる件について~ 作:四五茶
全員無事二階に辿り着いた時、ポルナレフの両手には布で巻かれたモノがあった。その布の底部は血が滲んでおり、それが何かは自ずと分かる。
「……ジョースターさん、アヴドゥルは俺とイギーを救うために――」
「もうよい、良いのじゃ。彼は誰よりもお前を気にかけてたのは分かってるだろ?」
「うぐっ……。アヴドゥルをこんな場所に置いていけねぇ、だ、だから――」
「……ポルナレフ、気持ちは分かるが――」
「ふぅ……。大輔、スマホ貸しなさい。カイロに入る前に、既に私の部下達を待機させているわ。アヴドゥルの遺体の一部を彼らに回収させる手筈を整えてあげる」
俺はスマホをレレーナに渡すと、手慣れた操作でスマホを使いある場所へ電話をかけるレレーナ。皆の前で部下に遺体の回収を指示し、ポルナレフにこの館の入り口前に置いておけば自分の部下が必ず回収することを約束するレレーナ。そのためには、誰かがこの館の入り口前にいる必要があるとレレーナは言うと、ポルナレフは自分が役割を全うしたいと皆に訴えた。この訴えに関して誰も一切の文句もないが――。
「バウ! バウバウ!(ポルナレフ! 俺も行くぜ!)」
「イギー……、お前……! よし、二人で渡すぞ、イギー!」
「バウバウ!(あぁ、そして!)」
「ディオの野郎をぶっ殺す!」「グルル!(ディオをぶっ殺す!)」
二人は一度階段を降りるが、問題は時間らしい。既に太陽が沈みかけているこの状況は、正直かなり不味いそうだ。というのも、今この館を自由に行動できるのは太陽が昇っているからであり、尚且つ2階が安全なのは太陽の光が所狭しと入り込んでいるおかげだ。
「ジジイ、ポルナレフ達には悪いが、さっさとディオを追い込むべきだぜ」
「そうじゃな。奴も我々の位置には気づいている。花京院、お前のスタンドで壁中に穴を開けてくれ。用心に越したことはない」
「分かりました。では遠慮なく――エメラルドスプラッシュ!」
――ボゴドガボゴドガ!
3階に続く階段の壁に向けて解体工事を始める花京院。次々に太陽の光が差し込み、安全圏が広がっていく。
「先頭はワシ、承太郎、大輔、花京院、レレーナの順で向かうぞ。良いか、老いぼれのワシがやられてもレレーナがディオを見さえすれば、ディオの能力が分かる! 海老で鯛を釣ると言うじゃろ? じゃが、ワシには波紋がある! そう簡単にやられはせん! 承太郎、良いか! ワシの娘を救うのは、お前が成さねばならん!」
「やれやれだぜ……。ディオの
「ガハハハハハ! 頼もしい限りじゃ! 花京院と大輔はレレーナを必ず守れ!」
俺と花京院はコクリと頷き、そのままジョセフを先頭に階段を登ろうとした、その時――。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! だ、誰か助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
突如、女性の悲鳴が聞こえてきた。「ディオの餌やもしれん!」とジョセフは叫ぶと、急ぎ全員階段を上がって行く。そう、それが罠とも知らずに。
※
ジョセフ達は女性の悲鳴がした方向を目指し、急ぎ階段を駆け上がって行く。そう、階段までは太陽の光が差し込み安全圏であるのは間違いない。が、それはあくまで階段までだ。この3階は未知の領域、つまりディオが自由に身動きできる領域。それをジョセフは分かっていたが、彼に宿る黄金の精神が彼を突き動かす。
「花京院! ワシの前方に集中してエメラルドスプラッシュを放て!」
「分かりました、エメラルド――」
――グサグサグサグサ……
なんと、いつの間にか花京院の全身に大量のナイフが突き刺さり、そのまま花京院は自分が壊した壁から地上へと落下していった。
「な、な、な、何ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
「ジジイ! 不味いぜ、恐らくディオだ!」
「わ、分かっておる! ――っ! 全員この館から逃げろ! 逃げるんじゃ!」
ジョセフの判断は正しい。そう、あまりにも正しすぎたのだ。もし彼に、黄金の精神などなければ、少なくとも花京院がこのような目に遭わずに済んだはず。咄嗟にジョセフと承太郎は、花京院が落下した穴を利用し、そのまま逃亡するが、大輔はナイフが現れた場所をじっと凝視し、レレーナは咄嗟に2階へと逃げる。
「……ほぉ? このディオから逃げないとはいい度胸だな、大輔」
ゆっくりと姿を現したのは悪の権化、ディオ! そしてその隣にいるのは、女性の悲鳴を上げさせた張本人であるヌケサク! 「ギャハハハハハ!」とヌケサクは腹を抱えて笑いながら大輔を見下し、悦に浸った顔で大輔を挑発した。
「このチンポコ野郎がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! ディオ様の館を破壊しおって!」
「
「な、な、何故俺の名前を――」
それを言い終える前にヌケサクは、なんと自分の主人であるディオの手によって一瞬で細切れと化したのだ。が、大輔は一切の動揺もせず、ディオに指差し挑発する。
「ディオ! 俺とやり合いたいならば、さっさとこっちに来るがいいぜ、このオタンコナスがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「っふ、モンキーの安い挑発などごめんだ。直に日が沈む、
「あぁん!? てめぇが正々堂々だと!? 奇襲を仕掛けたてめぇにその言葉は似合わんよなぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「避けれないものが悪いだけではないか、大輔。フフフ……、にしてもそのスタンドは何だ? まるで原始人じゃないか?」
暫しの沈黙後、クレバースレイヤーはディオを見下したかのようにこう言い放った。
「吸血鬼よ、貴様はこのカーズの餌でしかない存在だ。石仮面を身につけ思い上がりでもしてるのか、んぅ~?」
「ほぉ、石仮面を知っているとはな。それに自分の意思で喋るスタンドとは珍しい。どれ、この私の部下に――」
「
「URYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA! 調子乗るんじゃないぞ、このモンキーがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ディオは近くに置いてあったナイフを全て大輔に向け投げた。花京院と同じように普段通り時間を止め投げたのだ、ディオは。それなのに――。
「時間を止める、か。吸血鬼、
「な、何ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!? ば、馬鹿な、あ、ありえな……」
「この事実は大輔は知らないし、知る必要もない。何故ならばこのカーズは縛られることが嫌いなのだ。何者にも縛られず、生物の頂点に君臨することが私の生き方。私は『成長』したのだよ、ディオ。フン、このようなナイフなど排除排除排除排除排除ォォォォォォォォォォ!」
全てのナイフを細切れにし、そして再び時間が動き出した。大輔は何故自分の近くにナイフの残骸が落ちているか理解できなかったが、クレバースレイヤーが自分を守ってくれたのだけはハッキリと分かった。「大輔、今は退くぞ」とクレバースレイヤーは言うとレレーナがいる2階へ向かって大輔は走り出す。自分が圧倒的優位であるはずだと認識していたディオにとって、それはあまりにも誤算! 大輔とやり合うのは時期尚早とディオはその時悟った。
「ぬぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!? このディオと同じタイプのスタンドだとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ! 奴は……、
太陽はゆっくりと沈む、ゆっくりと。そして、ディオの時間がやってきたのだ。
スタンド名:クレーバースレイヤー(カーズ)
本体:朝倉 大輔
破壊力:A
スピード:A
射程距離:形状によって変化するが、普段はカーズのままである。よってC。
持続力:A
精密動作性:B→A
成長性:A→E
【概要】
見た目は無数の漆黒の鎖で出来た人型のスタンド。
カーズの思想などに感化され、自分自身をカーズになりたいという自我に目覚め、現在の姿はカーズそのもの。
先の戦いで、ワムウと同等以上の戦闘力をワムウに見せつけたが、戦闘の天才であるワムウによって一歩及ばず敗退した。
ディオが時を止めた際、クレバースレイヤーは悠然と振る舞いディオに何秒止めれるかをディオに聞き出していた。このことに関しては大輔は一切認知しておらず、クレバースレイヤー曰く、大輔が知る必要はないということ。
ホテルでの一件は全てクレバースレイヤーが『時間を縛り、自分だけが動ける状態にした』結果からである。故に大輔は『鎖を自由に扱えるスタンド』としてしか認識しておらず、クレバースレイヤーがこのことを大輔に語ることはない。
従順なスタンドのフリをしてるが、完全かつ完璧な自律型のスタンドに昇華した。