スターダストクルセイダース~俺のスタンドがイカれてる件について~ 作:四五茶
ディオの世界―①
「な、何故大輔はまだ館にいるのじゃ!」
ジョセフは花京院を治癒しながら、自分が脱出してきた穴を見つめるが、大輔は未だ館の中。不幸中の幸いか、花京院はイギーの機転によって砂のマットレスにゆっくりと沈み落下したため、落下によるダメージはない。が、それでも花京院が再起不能に陥った事実が意味すること、それは――。
「ジジイ! レレーナの部下に花京院を引き渡すべきだぜ! 『運』が味方しているというべきか、まさか救急車で現れてくれるとはな」
そう、レレーナの部下は救急隊員に化けてこの館に姿を現したのだ。救急車の中には応急処置程度ではあるが、医療キットは揃っている。すぐに承太郎は花京院を担ぎ、レレーナの部下に預けると、レレーナの部下は手慣れた感じで応急処置を始めた。
「承太郎! それにジョースターさん! 一体どういう――」
「理由は後で話す! じゃが、問題は大輔とレレーナがまだこの館に残って――」
「ふぅ……。一旦退却ってわけね。ディオの顔は見れなかったけど、
その声がした方向に向け一同一斉に振り向くと、そこにはレレーナと大輔の姿があった。ジョセフはすぐに大輔の襟首を掴み、何故自分の命令に従わなかったのかと問い詰めると、大輔はジョセフの掴んでいた両腕を優しく触れながら何故逃げなかったのかを語りだした。
「ジョセフさんと承太郎さえ無事でいればいいんです、ジョセフさん。三十六計逃げるに如かずではありますが、無事逃げるためには
「な、な、な、何ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!? ば、馬鹿な! そ、そんなことあり得な――」
「細かくはまだ見極めていませんが、射程距離は短いはずです。
「……『成長』してるな、大輔。ジョジョ、この情報を活かすかどうかは貴様次第だ。直に太陽が沈む、どうするつもりだ?」
ジョセフは暫し考えつつ、この情報を元に作戦を考える。有効打が期待できるのはスタンド能力を破った大輔であろう。が、大輔が敗れればそれこそジョセフ達の敗北を意味する。故に――。
「――挟撃だ、それしかない。ワシと承太郎、それにイギーはディオを食いつかせるための餌じゃ。大輔とポルナレフ、それから――」
「ジョースターさん、ここから私は別行動を取るわ。部隊を動かす! ディオの動きを妨害しつつ、ディオをこのカイロで始末させてもらう!」
レレーナは腰から二丁の銃を取り出し、上空に向け数発発射した。レレーナの部下は、レレーナに向かって敬礼し、レレーナは黙って救急車の助手席に乗り込んだ。
「大輔、アンタ分かってるわよね? アンタは私と同じ裏方に徹しなさい、これはジョースター家とディオとの因縁に対する終止符を打つ物語!」
「……泣けるぜ、まぁいい。主役はジョセフさんや承太郎さんに譲らないとな」
「そう、それでいい。じゃあ、暫しの別れよ、大輔」
いつの間にか角兎ちゃんから大輔と呼ぶようになったレレーナ。彼女もまた大輔の『成長』を認めている証なのだろう。
「ならば、ポルナレフと大輔。ディオが館を出てからお前達はディオを追跡しろ。頼んだぞ」
「あぁ!」
「……泣けるぜ」
※
日は没した。ついに、ついにディオの時間がやってきたのだ。
が、ディオの内心は動揺を隠しきれず、如何にして大輔を出し抜き、ジョセフと承太郎の血を吸うかだけを屋根の上で考える。カイロの街を見下ろし、そのまま屋根から地上へと下りようとした、その時!
――ズゴォォォォォォン!
ディオの館へ向かって、一発のロケットランチャーがぶち込まれた。方角はディオの前方から、まるで挑発するかのようなその攻撃に対し、ディオは苛立ちを隠せはしなかったが、目的遂行のためにその些事に関して目を瞑った。
「フン! 何のつもりか知らんが、このディオに対し宣戦布告とはな。スピードワゴン財団の兵士か? ちぃ……、まぁいい。ジョースターどもがどの方向にいるか、この体が教えてくれるからなぁ~」
そう、ディオには分かるのだ。運命の赤い糸でもあるかのように、ジョセフの居場所が分かる! その場所へ向けてディオは悠然と向かおうとするが――。
――バン!
スナイパーライフルから放たれる発の銃弾がディオを襲おうとした、その時――。
「ザ・ワールド! 時よ止まれ!」
停止した時間を利用し、ディオは避け、銃弾を掴み、放ってきた方角へ向けて銃弾をスタンドで放り投げた。
「そして時は動き出す……」
何事もなくディオはジョセフの元へと向かう。スナイパーが建物の屋上から落下した音を心地よく聞きながら、ディオは狩りに興じようとしていた。