スターダストクルセイダース~俺のスタンドがイカれてる件について~   作:四五茶

58 / 64
ディオの世界―②

「レレーナ嬢、ポイントβのスナイパーがロストした模様」

「……ふぅ。ディオには銃火器は効果なしということかしら」

 

 とある事務所にて、レレーナは各部隊に対し司令塔としてカイロの街の地図を見ながら作戦を練っていた。ポイントβとディオの距離は約1km、そして使われたスナイパーライフルから発射された弾速は秒速約300m、これを無効化するディオの能力に改めてどう対処すればいいかであるが、レレーナは既に次の作戦を展開させていた。

 

「レレーナ嬢! ディオは館から北上し、ポイントγに接近する模様!」

「それは好都合ね、やれ」

「っは! ……!? ポ、ポイントγから交信途絶! 繰り返します、交信――」

「……」

 

 ポイントγは見通しのよいメインストリートに配置した部隊だ。つまり絶好の狩場であったはずなのだ。全員最新式の自動小銃を装備し、蜂の巣にする準備は万全であった。にも関わらず、交信途絶したという意味は、この場にいる誰もが通常の常識では通じない相手であることを再認識させるのには十二分過ぎるほど。

 

「……曹長、すぐにポイントγの調査報告を。軍曹、各部隊は待機しろと伝えろ」

「「っは!」」

 

(やはりスタンド使いにはスタンド使いで対処せねばならないってわけね、ふぅ……)

 

 レレーナは煙草を吸いながら、自分達が裏方ですら機能しない無情な現実を突きつけられた。誰しもレレーナに声をかけられない雰囲気であったが、レレーナは気丈に振る舞い、士気が下がったこの雰囲気を吹き飛ばすような激を飛ばした。

 

「諸君! 貴様らは何だ! 貴様らは何者だ!」

「「「「「我らはスピードワゴン財団が誇る影の番人! 我らは秩序の番人!」」」」」

「諸君! 貴様らは何だ! 貴様らの目的は何だ!」

「「「「「我らは世界の秩序のため、世界の安寧のために戦う!」」」」」

「ならば! 貴様らの秩序とは何だ!」

「「「「「恩義があるジョースター家が平穏に過ごせる世を守ることこそが秩序!」」」」」

「ならばぁぁぁぁぁぁぁぁ! その秩序を脅かす不届き者をどうする!」

「「「「「魂魄百万回生まれ変わろうとも、我らは秩序の番人として排除するのみ!」」」」」

「諸君! 我らの戦いはこれからだ! 今は情報収集を最優先にしろ! 必ずや我らに勝利を!」

「「「「「っは!」」」」」

 

 

 

 

 このディオに対し、これほど執拗なまでに攻撃を仕掛けるとは。だが、そんな些事などどうでもよい。このザ・ワールドの前では全くの無駄な行為だからなぁ。

 

「お、おい! なんであの建物の数台のトラックが突き刺さっているんだ!?」

「な、何が起こって――」

 

 無駄無駄、全くの無駄だ! ()()()()()()()()()()()()()()便()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()! だがちとジョースターどもの距離が離れてしまったか、さて……ん?

 

「自動車か……。なかなかのパワーとスピードだ。このディオが生まれた時代は馬車しか走っていなかったな、そういえば」

「おい、貴様! 何触ってんだよ! ウィルソン・フィリップス上院議員様の車だぞ!」

 

 知らんなぁ、そんなカス。

 

「目ん玉からゲロ吐きてぇのか! ……おん? ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! お……、お母ちゃん……、お母ちゃん……」

 

 ママのおっぱいでも吸っていやがれ、モンキーが。さて、この車に乗り込んで……ほぅ? ウィルなんとかって奴が既に乗っていたか。

 

「これこれ……、若いお方というものは血気が盛んすぎていかんことだのう、フッフッフッフ」

 

 誰に向かってそんなことを言ってるんだ? 貴様の方が年下だというのに、まぁいい。ちょいと前歯が虫歯のようだから抜いてやるか。

 

 

 ――バギッ!

 

 

「痛ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

「ブツブツ言ってないで前へ行け、運転してもらおう」

「き……貴様、何者だ! ワシにこんなことをして許されると思っちょるのか!」

 

 知るか、ボケ。このディオはとっととジョースターどもの血を吸えればそれでいいだけだ。

 

「いいか! 聞けこの若造! 終身刑にしてやる! 絶対に終身刑――」

「もう一度言う、運転しろ」

「ウギャァァァァァァァァァァ!」

 

 全く、これだからモンキーは。このディオの命令さえ聞いていれば良いというのに、ちょっぴり鼻を折ってしまったじゃないか。このディオは生憎運転したことがない、ならば運転してもらわねばちと困るのだがな。ん? 運転席から逃げようと――。

 

(ザ・ワールド、時よ止まれ!)

 

 全く、無駄な労力を。ここは優しく運転席へ戻してやるとするか。

 

「そして時は動き出す……」

「な、何だぁぁぁぁぁぁぁぁ!? ひえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

 

 ウィルなんとかよ、学習しろ。貴様はこのディオからは逃れられないのだ、絶対にな。何度でも何度でも繰り返してやる、このディオが寛大なうちはな。

 

「な、何だ? そ、外に飛び出したと思ったら……、どっ、どっ、どうして中に? なんで中に? ウケケケケッ!」

「軽トラックに追いつくまで飛ばせ。追いつけなければ殺す」

「は……、はぃ……」

 

 従順になるのは実にいい兆候だぞ、ウィルなんちゃらかんちゃらよ。さて、ジョースターどもを狩るとするか、ククク……、クハハハハハ!

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。