スターダストクルセイダース~俺のスタンドがイカれてる件について~   作:四五茶

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ディオの世界―③

 イギーは軽トラックの荷台から後方を注意していた。既に自分のスタンドを繰り出し、警戒を決して怠っていない。ジョセフと承太郎をチラりと見るが、何を話しているかはイギーには聞こえていた。

 

「っち、こっちに追いかけてきてるだってか! 上等だよ、コラ! こちとら怒りで頭が茹蛸状態だってんだ! アヴドゥルの仇、取らせてもらうぜ! 畜生がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 助手席に乗っていた承太郎は、イギーが怒り狂って鳴いていることに胸を痛め、そして自分にも沸々とアヴドゥルを失った怒りがこみ上げてきているのを実感していた。そんな承太郎に対し、ジョセフは歴戦の戦士としてアドバイスをする。

 

「承太郎、激情に身を任せるのはお前の役割ではなかろう?」

「……黙ってろ、ジジイ」

「冷静になるのじゃ。こんな場所で戦っては、数多くの民間人に被害が及ぶ。それにディオも追ってきているは――」

「バウ! バウ! バウバウバウバウ!(ジョセフ! 承太郎! な、何か近づいてきているぞ!)」

 

 イギーの鳴き声の変化を二人は気づき、バックミラーをジョセフが見るとボンネットが血で染まった車が猛然とジョセフが運転する軽トラックに近づいていた。イギーは軽トラックにあったレンチを承太郎まで持って行くと、承太郎は有無を言わさずスタープラチナで接近してくる車の左前方のタイヤに向け投げつけた。

 

「オラァ!」

 

 

 ――ドギャン!

 

 

 見事にタイヤに命中し、車が横転しようとしたその時――。

 

「な、な、な、何ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」

 

 なんと横転しようとしていた車から、ドライバーがこちらに向け投げつけてきたのだ、ディオは! すかさずイギーは迎撃したが、本命はそうじゃない! なんとディオもまた承太郎と同じことをやってのけたのだ。つまり――。

 

「な、な、な何ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!? 左後輪がいう事を聞かん!」

 

 ディオは時を止めた時に、車のシフトレバーを折り、先端を尖らせてから、ドライバーをジョセフが操縦する車へ、シフトレバーをその車の左後輪へと向け投げたのだ。イギーは必死に車体にしがみつくが、蛇行運転する軽トラックの荷台から今にも転げ落ちそうになってしまう、が――。

 

「やれやれだぜ。イギー、てめぇの活躍がなければちと危なかったかもな」

 

 承太郎のスタープラチナに優しく抱かれつつ、イギーは助手席へと戻った。「グルルルル……」と怒りを隠せないイギー、それに承太郎。ジョセフは彼らの心情を察してはいたが、冷静に車を停車させ、ここから距離を再び取ることを二人に命じたが――。

 

「そいつはご免だぜ、ジジイ。野郎をこの場でブッ倒す、それだけだ」

「ガウワウ!(その通りだぜ、畜生が!)」

 

 承太郎とイギーは車から飛び出し、ディオの方へと向かって歩いていく。ジョセフは無謀であることを承太郎に伝えるが、そんなジョセフに対し承太郎はこう言い放った。

 

「やれやれだぜ、これは挟撃じゃなかったのか? あまりにも距離を離れすぎては、ポルナレフ達と合流できなくなってしまう。ならば、ここで時間を稼ぐ。それがベストな回答だぜ、ジジイ」

「ば、馬鹿者が! イギー! お前まで何を考えている!」

「……フン!」

 

 こうなってしまってはジョセフも同行せざるを得ない。このメインストリートにて、ジョースター家とディオとの因縁の決着が決まろうとしていた。

 

 

 

 

 ほぅ? このディオから逃げないとはな、承太郎。何か策でもあるのか、あ・る・の・かぁ~?

 

「フン! このディオに真っ向から挑むなど百年早いぞ、承太郎!」

「……てめぇをぶちのめすには近づくしかねぇからな」

 

 なるほど、な・る・ほ・どぉ~? それにジョセフまでこのディオに挑むというのか、面白い。だが、そうだな。ちとこちらも準備せねばならんな。

 

「ザ・ワールド! 時と止まれ!」

 

 『運』はこのディオに常に味方している。この刃物屋からちょいとナイフを拝借しつつ、この馬鹿どもに向けて一斉掃射というわけだ。無駄無駄無駄無駄無駄無駄! 無駄ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!

 

「フン……、時が動き出すまで3秒前……、2秒……、1秒……、そして時は――」

「オラオラァ!」

「な、な、な、何ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」

 

 ば、馬鹿な、い、今! 今承太郎のスタープラチナがこのディオが投げたナイフを防御しただと!? こ、コイツも停止した時間の中で動けるのか!?

 

「グ、グァァァァァァァァァァ!」

「キャン……(ひぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!)」

「っち……」

 

 ジョセフと犬は承太郎のおかげで致命傷は免れたが、問題は承太郎か。っちぃ……、味な真似をしおって……。

 

「……承太郎、貴様何秒動けるのだ?」

「さてな。てめぇのオハジキくらいならば何度でも弾いてやるぜ、ディオ」

「ほぉ? 言うじゃないか、承太郎。ではラウンド2だ! このディオが今からピッチャーをやってやる! バッターは勿論、お前だ! 承太郎! 一体どれだけ打てるかな、う・て・る・か・なぁ~?」

 

 ククク……、顔面蒼白とはこのことよ。承太郎、では楽しい野球をしよ――。

 

「ディオォォォォォォォォォォ! 取ったぞ、このド畜生がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 ――グサッ……

 

「ザ・ワールド、時よ止まれ」

 

 ふぅ……、やはりポルナレフか。まぁいい、コイツをぶん殴ってからの――。

 

「フッフフフフ……。吸血鬼よ、貴様このカーズを忘れてはいないか?」

「な、何ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」

 

 っ!? だ、だ、だ、だ、大輔ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! ま、まさか、コ、コイツら――。

 

「挟撃だ、最早逃さん! 死ね、吸血鬼!」

「無駄無駄無駄無駄無駄!」

「排除排除排除排除排除!」

 

 な、なんだ、こ、このパワー……! そして、こ、このスタンドは! じゃ、弱点はな、ないの――。

 

「弱点などない! 貴様がどれだけ時間を停止させようが、このカーズは縛られることを好まん! だが、貴様を手にかけるのは大輔が許さないらしくてな。承太郎の側に吹き飛ばさせてもらうぞ、吸血鬼!」

 

 ま、不味い! 承太郎も停止した時間の中で僅かながらう、動ける! こ、この方向は不味い!

 

「ザ・ワールド! そして時は動き出――」

「オラオラオラオラオラオラオラオラ!」

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!」

 

 フ、フフフ……。承太郎よ、付き合ってくれて感謝するぞ。やはりこのディオには『運』が味方している、そ、それは――。

 

「ザ・ワールド! 時よ止まれ! ……フフフ、フハハハハハ! 承太郎! 貴様を倒す前に、()()()()()()()()()()()()()()()()?」

「な、て、てめぇ! ぐ……」

 

 ほぉ? 承太郎はやはり1秒程度しか動けないわけか、そして大輔! 貴様のスタンドもそこが射程距離限界のようだなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! ならば!

 

「ジョセフ・ジョースター! ()()()()()()()()()()()()()()()! フフフ……、フハハハハハ!」

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