スターダストクルセイダース~俺のスタンドがイカれてる件について~ 作:四五茶
黄金の風
ディオとの完全決着後、現場の橋にすぐスピードワゴン財団の医療スタッフがやってきた。その救急車の中には亡きジョセフの遺体があり、承太郎の提案でディオの遺体をこの救急車の中に救急隊員が運搬しているが、あの遺体をどうするつもりだ? ふとした疑問を承太郎に投げかけると――。
「――ジジイがくたばるにはまだ早いってことだ、大輔。まだ終わってないからだ、ディオには貸しているものがある。それを返してもらう」
「それって――」
「貸したものはしっかり返してもらわないとな。……死体から死体への輸血をすれば生き返るんじゃないかって思ってな、いいアイディアだろ?」
そう言いつつ俺の肩をポンポンと優しく叩いた承太郎は救急隊員と共に救急車の中へと消えていく。っふ、その役割は承太郎でなければならないな。生き返ってくれるならば……、いや承太郎ならきっと生き返らせてくれる不思議な予感がする。
――Prrrrr……
知らない番号から着信があり、俺は躊躇わずスマホを耳に当てた。その声は他でもない、レレーナだ。今は何処かの事務所にいるらしいが、ディオとの決着がついたことに対しスピードワゴン財団として感謝すると共に、これで自分の役割は完全に終えたことを報告してきた。
『……ふぅ、私の部隊では結局何も出来なかった。ディオは……、ディオはあまりにも次元が違い過ぎたのよ』
「……」
『それを大輔、アンタは見事にディオを倒した。フフフ……、私の言いつけには従わなかったけどね』
「俺は最後まで言いつけは守ったぜ、レレーナ。だが奴は決闘を侮辱したのだ、それはワムウであれば絶対許さない行為!」
『確かに、ね。それで? 私の部下からの報告では、肉体的変化があるそうじゃない?
ふと自分の額に手をやる。ひぃ、ふぅ、みぃ……、確かに3本あるようだ。
「レレーナ、迎えに来てくれるか?」
『別にいいけど……。じゃあそこで暫く待っててくれる? 女は身だしなみが大事だから』
「あぁ、時間はたっぷりあるさ、腐るほどにな」
――ピッ……
俺は隣で夜の川を見つめる俺のスタンドの近くに立つ。俺のスタンドはカイロの美しい夜景を堪能するかのように、じっと眺めながら独り言を呟きだした。
「……このカーズ、決してセンチメンタルになっているわけではない」
「そうだな、カーズ。もうクレーバースレイヤーとは呼ばないよ」
「互いに『成長』した結果というべきか。このカーズを従える器になっただけはあるぞ、大輔」
「従える? 何を言ってるんだ、カーズ。お前は縛られないし、縛りたくない。最高の相棒だぜ、カーズ」
「若造が、臭いことを言うな。だが……、全てはワムウの魂のおかげだった。このカーズが、カーズであることをワムウが教えてくれたのだ。今はもういないがな……」
「それはどういう――」
それを言い終える前に、ワムウと思われる魂がゆっくりとカーズの肉体から離れていく。その魂の色は黄金の輝きを放ち、高原のように澄み切った風を帯びてるかのよう。俺達に向かってワムウは優しく微笑みながら、最期の言葉を俺達に伝え始めた。
「カーズ様、このワムウ最後までカーズ様だと認識できなかったことをお詫びします」
「良い、良いのだワムウ。無理もない、この私ですら自分の存在が何なのか分かっていなかったのだ。全てはお前の働きのおかげだ、ワムウ」
「有難きお言葉。そして再び逝くことをお許しください。このワムウ、最早悔いなどありません。ジョジョとは決して争わず、普段通り自然を愛すカーズ様でいてください」
「……心得た。最早このカーズもジョジョに恨みなどない。私らしくはないがな。ワムウ、大輔にも言いたいことがあるだろ? 発言を許可する」
「っは! 大輔、このワムウがジョジョの次に認めた男よ。お前の最後のファイトは、このワムウの心を響かせるものがあったぞ。そして一緒に旅を出来たことを誇りに思う。我が主よ」
「っ!? ワ、ワムウ! なんで逝くんだよ! ふ、ふざけるなよ! お、俺は、俺はお前とカーズと一緒じゃなきゃ嫌だ! 主として命令する! 俺を置いて逝くな! な、なんで、どうしてだよ! 俺は……、俺は……! お前がいなきゃ前へ進めない、進めない! だから頼む……、戻ってきてくれよ、ワムウ……」
暫しの沈黙が流れ、ワムウの姿がゆっくりと消え始めた。最早時間がないのは明らか、なのに何故何も言えないんだ、俺は!
「……大輔、本当に良い主だった。このワムウがまさか涙を流すとはな、フフフ……。カーズ様、どうか大輔を頼みます」
「安心せい、先に逝っておれ。土産話を沢山持ってからこのカーズも逝こう」
「流石は我が主、寛大なるお心に感謝を。大輔、我が同族にして後継者よ。今までありがとう、そして――さようなら」
「ワムウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ! うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」
俺の目の前でワムウは逝った、逝ってしまった。ただただ悲しくて、俺は泣き喚く赤子のよう。大切な相棒を今失ったのだ、大切な相棒を……。
「好きなだけ泣け、大輔。このカーズは暫し空を見上げる、邪魔をするな」
カーズの声が震えているのが分かる、きっとカーズも泣いているのだろう。俺の前だから気丈に振る舞っているが、カーズにとってワムウは肉親同然の存在。まだ若いワムウが先に逝くのだ、その悲しみや計り知れない。
「……カーズ、お前は逝かないでくれよ。頼むから俺を置いて――」
「愚か者が、貴様が死ぬ時がこのカーズが逝く時だ。今は泣け、泣いてまた『成長』するがいい」
ワムウ、今まで本当にありがとう。
いつか、またいつか共に笑い、語らい、一緒の時間を過ごそう、ワムウ。
スタンド名:カーズ
本体:朝倉 大輔
破壊力:A
スピード:A
射程距離:形状によって変化するが、普段はカーズのままである。よってC。
持続力:A
精密動作性:A
成長性:E
【概要】
大輔が『柱の男』と同族になり、カーズの能力を完全に理解した結果、
『停止した時間という縛りを解放し、自分もまた自由自在に動くことが出来る』能力を身につけた。結果、ディオや承太郎が時間をどれだけ止めても大輔の前では無意味であり、『拘束した結果を排す』ことを自然に出来るように至った。
大輔の命令に対しては、自分の主として理解し、完全に大輔の制御下にある。
が、この能力を得る代償として、大輔の体内に宿るワムウの魂を排さなければならず、結果ディオを倒すために、ワムウを犠牲にした形でもある。
頂点に立つ者は常にひとり――皮肉にもカーズの言葉通りの『結果』。
『結果』こそが全て、それがカーズだ。
◎朝倉大輔に関して
→彼は既に人間ではなく、『柱の男』が太陽を克服した存在に至っている。また波紋の知識をカーズから会得し、カーズには遠く及ばないがそれでも波紋戦士としては一級品の波紋を練ることが可能。身体能力も大きく向上しているのは作中明らかになったが、『柱の男』の基本スペックには遠く及ばない。但し吸血鬼くらいならば、問題なく排除できるスペックを有している。