逆柱は嫌われている   作:星天さん

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それぞれの一時
継子


俺の師範はとてつもないお人好しで、優しい方だ…。

『基本の型である、壱ノ型が出来ない落ちこぼれ』と周りの連中が俺の事をそういう中で、師範は俺を継子にしてくれた。継子にしてくれただけでなく、俺が帰る場所、満たされる事が無いだろうと思っていた心の穴を埋めてくれた。

 

『桑島のじいさんの所で学んだのか?なら、俺はお前の兄弟子だな!』

 

『霹靂一閃が出来ない?なら、他の型で戦えば良いだろ?』

 

『良くやった獪岳!今日は祝いとして美味いもんを食いに行こう!』

 

基本の型である壱ノ型が出来ないと相談すれば使える型を極めろと言われ、任務を終えれば何時だって暖かく出迎えてくれた。俺は師範のそういう所に触れ、カスに少しは優しくしてやろうとさえ思った。

 

師範がお人好しと思ったのは過去の罪を話した時だった…。

岩柱である行冥さんが所有していた寺で育ててもらった時の話を師範に話した。俺のせいで鬼が寺を襲撃して、行冥さんに多大な迷惑をかけ、寺に居た俺と同じ境遇の子供達を殺した事を話した。師範に継子を下ろされると覚悟して話したが、師範は何も言わず、目を瞑ってうなづいた後、俺を連れて行冥さんの元に連れてかれた。

行冥さんの元に連れてかれ、行冥さんに俺の事を紹介した。行冥さんはあの時の事を怒っていた。俺はあの時の事を謝ろうとしたが、聞き入れてもらえず行冥さんが俺に会いたくないと言って門を締めようとした時────師範が地面にも関わらず、土下座をした。

 

『頼む行冥!!少しでも良い、獪岳の話を聞いてやってくれないか!俺も獪岳から昔の事を聞いた。獪岳のした事は決して許される事では無いだろう…だけど、獪岳はあの時の行いを悔いている。少しでも良い、獪岳の話を聞いてやってくれ』

 

突然の事で頭が追いつかなかった…。

だが、次第に思考が現状に追いつき、俺は自分のしでかした事なのに師範に土下座をさせてしまっている事に気づき、俺も師範同様に行冥さんへ土下座をした。

 

『頭を上げてくれ御影。お前に土下座をされては聞かない訳にはいかない。中に入れ…』

 

行冥さんに中へ入る様にと促されるが、師範は俺一人で行冥さんと話すように言って屋敷に戻ってしまった。その場に残された俺は行冥さんの屋敷に入り、許されない行いをした事について、頭を下げて謝罪をした。

 

『獪岳…今の段階でお前を信じる事は出来ない』

 

そう言われるのは覚悟していた。

 

『だから、証明してくれ。お前が本当に悔いているのであれば、鬼に怯える者達を助けろ獪岳』

 

『はい!』

 

行冥さんとの話が終わり、俺は行冥さんの屋敷を出て、師範が待っている屋敷に戻った。屋敷に戻ると、師範は俺の顔を見て、満足そうな顔をしながら出迎えてくれた。この一件で俺は師範に一生着いていこうと、心に誓った…。

 

○逆柱は花柱・胡蝶カナエを囮に使い上弦ノ弐から逃げ帰った

 

○逆柱は瀕死状態の花柱・胡蝶カナエを襲おうとした

 

○逆柱は女に見境なく手を出す獣

 

愛柱って言う柱が入ってきてから、師範の根も葉もない噂が流れていた。継子をしている俺はこんな噂を信じなかったが、他の連中はこの噂を信じきって、師範に誹謗中傷を浴びせた。この噂が流れた時、師範は悲しげな顔をしていた。

 

『獪岳は俺の継子を辞めた方がいい…お前にまで被害がいくかもしれない』

 

「そんな事知ったこっちゃねぇ!!俺は継子を辞める気なんて無いですから!!」

 

師範は俺に色々なものをくれた、だから次は俺が師範に恩を返す番だ。師範を傷つけようとする連中を近づけさせないようにしたり、何度か屋敷を尋ねてきた蟲柱と元花柱を追い返したりもした。

 

俺は何時も優しい師範であって欲しい──だから…

 

「何で柱合会議に出てそんな傷を負うのか、聞かせてもらっても良いですか師範?」

 

柱合会議から腕を血塗れにして帰ってきた理由を教えてくれませんか?

 

 

 

 

 

禰豆子が人を襲わないと証明する為に腕を斬って、逆屋敷に帰ってきた御影は獪岳と後から来た蔦子に治療を受けながら説教を受けていた。腕を斬る経緯を二人に話した御影だが、斬りすぎだと、更に説教を受けた。

 

「全く、何を考えてるんですか師範…」

 

「傷を縫う時、骨が見えてたわよ?ちゃんと力加減わかってるの透也君?もう少し強かったら切断よ?」

 

二人に言われた事に何も言い返せない御影は、ただただ二人に謝罪をしていた。そんな光景を義勇は無言、義勇達に着いてきた真菰はクスクスと笑いながら見ていた。

 

「まあまあ二人共、御影さんも反省している事だし、許してあげようよ?」

 

「真菰…」

 

真菰の助け舟のお陰で、御影への説教は終わった。説教が終わり、御影は鬼殺隊に入ってから色んな繋がりが出来た為、獪岳と二人では食べきれない量の食材が運ばれるようになっていた。今晩、逆屋敷にて食事会が行われる為、御影は獪岳と共に有り余る食材を使って更に料理を作ろうとした時、逆屋敷の門がコンコンと叩かれた。

屋敷の主である透也が門を開けると、行冥が立っていた。

 

「南無…今、いいだろうか?」

 

「構わな…い…。何でソイツらも居るんだ行冥?」

 

御影の言うソイツらとは、行冥の後ろに居る胡蝶姉妹を指していた。




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