第1話 逆柱・御影透也
胡蝶カナエの事件から二年が経ち26歳になっていた。三年間で更に噂が流れ、噂を否定し続けたが信じてもらえなく、段々と否定するのが面倒になり適当に話を流す事にしていた。
「透也君、大丈夫?」
「大丈夫ですよ蔦子さん。心配してくれてありがとうございます」
「姉さんだけでなく俺も透也を心配してるからな...」
「ありがとうな義勇」
嫌われている俺だが、所有している逆屋敷に二人の客が来ていた。一人は双水柱の一人・冨岡義勇、もう一人は冨岡義勇の姉・冨岡蔦子さんが遊び来てくれていた。
義勇と蔦子さんの二人とは俺が逆柱になったばかりの時、任務が終わり藤の家に向かう途中で鬼の気配を察知して鬼の元に向かった。鬼の気配を察知した場所に辿り着くと鬼に襲われて、腕から血を流している蔦子さんを発見して、早急に鬼を殺して義勇と共に保護したのが始まりだった。
「何時も言ってるけどよ、言われっぱなしでいいのかよ師範?」
「信じてくれる仲間が居るからどうでもいい…。言いたい奴には言わせとけばいいんだよ獪岳」
俺の継子である獪岳は、俺の返答に少しだけ嬉しそうな表情を見せてくれたが、やっぱり納得ないようで嬉しそうな表情から不満気な表情に変わった。
「いいか獪岳、俺が真実を話した所で誰も聞く耳を持たないし、仮に真実を知って謝られても俺はそいつらとは関わりたくないからいいんだよ」
不満気な表情をしている獪岳の頭に手を置き、撫でながら言うと「そうかよ...」とボソッと言い、大人しく撫でられ続けた。獪岳を撫でていると...何故か義勇と蔦子さんにもやる羽目になった。
「そろそろ昼餉にしようか。義勇が好きな鮭大根を作っているからな」
「鮭大根!?」キラキラ
相変わらずの鮭大根好きの義勇は、鮭大根の単語が出てきただけで目をキラキラさせて微笑んでいた。そんな義勇の姿に蔦子さんは「やっぱり義勇は可愛い!!」と言いながら抱きしめ、ほのぼのとした空間になり、有意義で楽しい時間を過ごした。
○
その日の夜...。
冨岡姉弟と一緒に夕餉を食べていた時だった、俺の鎹鴉『蓮』が御館様からの伝令を持って戻ってきた。御館様から早急に来て欲しいとの事だったから、急いで出掛ける準備を始めた。
「食事中にすまないな皆。獪岳、義勇と蔦子さんが泊まるから客間に案内と布団をよろしくな」
「客間の掃除、布団はきちんと太干してあるんで大丈夫ですよ」
「獪岳はよく出来た継子だな透也...」
「自慢の継子だよ、それじゃ行ってくる」
「行ってらっしゃい透也君!」
三人に見送られながら逆屋敷を出て産屋敷邸に向かった。一体、何の話なのだろうかと考えながら瞬歩で産屋敷邸に向かっていた。
○
「お待ちしておりました透也様」
「そんな畏まらなくていいぞあまねさん」
「ふふ、分かりました透也君。早速、耀哉様の元に案内しますね」
俺とあまねさんは、柱になってからの付き合いだから10.11年くらいの付き合いになる。あまねさんは、あの噂がたっても全く気にもせずに、話してくれるとても優しい人だ。あまねさんと屋敷の中を歩いていると御館様がいる部屋に辿り着いた。
「お呼びに参上致しました御館様」
「私達だけの時は耀哉って言ってくれって何時も何時も言ってるよね透也?」
「そう怒るなよ耀哉、お決まりの冗談だ」
「全く...」
耀哉とも、あまねさんと同じく長い付き合いだ。俺が柱に成り立ての頃、前御館様──つまり耀哉の父親から、耀哉と歳が近いから仲良くしてくれと頼まれ、接する内に仲良くなっていって、今のような関係になっていた。
「それで?俺を呼び出した理由は何だ?」
「透也には次の柱合会議まで、ある隊士の動向を見守ってもらいたいんだ」
「一隊士に俺が行くって事は訳アリか?」
「この手紙を読んでくれるかい」
耀哉から綺麗に折り畳まれた手紙をもらい広げて読んだ。送り人は、元水柱・鱗滝左近次──俺の育手、を山本元柳斎重國の友人からの手紙だった。手紙の内容は、鱗滝の爺さんが育てた竈門炭治郎の妹・竈門禰豆子が鬼舞辻無惨によって鬼にされた事、二年間も人を喰っていない今まで見たことない鬼だと言う事────そして竈門禰豆子が万が一、人を喰うことがあれば、鱗滝の爺さん、義勇、真菰、双水柱の片方、兄である竈門炭治郎が竈門禰豆子を殺して切腹すると書いてあった。
「人を喰わない鬼か...」
「そう、透也には竈門炭治郎と竈門禰豆子を次の柱合会議を開くまで見守ってもらいたいんだ」
「分かった...その任務を受ける」
「ありがとう透也、早速で申し訳ないけど明日からお願いするよ」
「はいよ」
耀哉からの用件はもう終わりだろうと思い、部屋から出ようとしたら呼び止められた。耀哉の方に振り返ると悲しそうな顔で俺を見ていた。
「どうした耀哉?」
「透也...私は君の噂を消したい!兄の様に慕っている貴方を悪く言われたくない!」
「そんな事しなくていいと前にも言った筈だ...」
「でも...」
「今消したところで、逆に『逆柱は御館様を利用している』と、また出てくるだろ?それに、今の隊士の原動力は、一刻も早く俺を柱から引きずり下ろす事だしな。そのお陰で鬼殺率も生存率も上がってる」
「透也君はそれでいいの?」
「ああ、それでいい。何時も心配してくれてありがとう耀哉、あまねさん」
「お礼なんて...」
「そう不貞腐れるなよ。耀哉とあまねさんが信じてくれるから頑張れるんだからよ」
「そう言われたら何も言えなくなるじゃないか透也」
「全く狡い人ですね」
「10年くらいの付き合いだから分かってるだろ?」
三人で少し笑いあってから耀哉とあまねさんの三人で月を見ながら酒を酌み交わした。
〜月見酒中のちょっとした会話〜
「全く、何で俺が小娘共を襲わなきゃなんないんだよ...襲うなら、蔦子さん、あまねさん、珠世さんみたいな歳上のお姉ちゃんを襲うっての!」
「透也?蔦子さんや珠世さんの事は目を瞑るけど、あまねは襲わせないからね?それに旦那の前で普通に言うかい? 」
「例えだよ、愛柱って18だろ?歳下過ぎて無理!歳下は最低でも21!歳上は28まで!」
「珠世さんはどうなんだい?ひゃ「言わせないぞ耀哉!珠世さんは永遠の28歳だ!」」
御影透也と産屋敷耀哉は互いに酔い潰れるまで、くだらない男話をしていた。その様子をあまねは楽しそうに見てお酒を飲んでいた。
読んでいただきありがとうございます!!
カナエについて。
カナエは透也の姿を見たと同時に気を失った為、噂が本当なのかどうかと考えている。透也との付き合いが短く、透也をよく知らないから考えている。透也本人に当時の事を聞きたいが、しのぶが透也に蝶屋敷の出入りを禁止した為、会うきっかけを無くし、透也の屋敷に訪ねても誰も居らず聞くに聞けない状態になっている。
御影透也の味方
・悲鳴嶼行冥
・冨岡義勇
・冨岡蔦子
・鱗滝真菰
・鱗滝左近次
・桑島獪岳
・産屋敷耀哉
・産屋敷あまね
・産屋敷家の子供達