逆柱は嫌われている   作:星天さん

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真実

行冥が蟲柱、元花柱を連れて逆屋敷にやって来た…。

何のつもりで二人を連れてきたのかを尋ねたら、行冥は二人の話を聞いてやって欲しいと言った。俺としては、この二人とは二度と関わりを持つつもりは無く、行冥の頼みを断った。

 

「頼む御影…。どうか…この二人の話を聞いて欲しい…」

 

「!? 行冥…」

 

行冥の頼みを断り、屋敷の中に戻ろうとしたら、行冥がその場で両膝をついて土下座を始めた。蟲柱、元花柱の二人は行冥が土下座をした事に驚き、俺は獪岳の話を聞いてもらう時に土下座をした時の事を思い出していた。

 

「頼む御影…。この二人の話を聞いてやって欲しい…」

 

「師範!何をやって────え…」

 

俺が中々帰ってこないと心配をしてやって来た獪岳は、行冥が土下座をしている状況を目の当たりにして固まっていた。土下座までして頼み込む行冥の頼みを無碍に出来る訳もなく、行冥に土下座を辞めてもらい、話を聞く事にした。

 

「此処で話す内容じゃないだろ…。さっさと屋敷の中に入れ、獪岳は三人分の茶菓子と茶を準備しておいてくれ」

 

「はい…」

 

とりあえず三人には屋敷の中に入ってもらい、俺を含めて四人だけで話せる様に客間に案内した。居間には蔦子さん、義勇、真菰がいる為、客間で話し合いを行う事にした。客間に向かう途中、廊下で義勇が俺を心配そうな顔をして見ていた。話し合いをするだけだから心配するなと告げると、義勇は居間に戻って行った。

 

「お茶と茶菓子をお持ちしました…」

 

「悪いな獪岳。あと、居間で待っててくれるか?」

 

「分かりました…」

 

獪岳には悪いが居間に行ってもらい、客間は四人だけになった。獪岳が淹れてくれたお茶で喉を潤しながら、話を聞いて欲しいという蟲柱、元花柱に視線を向けた。俺の視線に気づいた二人は、覚悟を決めた顔をして口を開いた。

 

「今まで御影さんに言ってきた暴言の数々、大変申し訳ございませんでした…」

 

「私も…御影さんの噂を耳にした時、直ぐに否定出来ず、すみませんでした」

 

二人の第一声は謝罪の言葉だった…。

第一声に謝罪の言葉がくるだろうと予想していたが、何故二人は行冥に頼んでまで謝罪をしに来るのかが分からなかった。

 

「蟲柱は俺に柱を…鬼殺隊を辞めて欲しかったんじゃ無いのか?それなのに何故、行冥に頼んでまで謝罪に来た?」

 

蟲柱は元花柱が上弦ノ弐によって瀕死状態で運ばれてきた時、大好きな姉が瀕死状態でパニックを起こしている時に愛崎姫乃から俺が元花柱を囮に使ったと言う嘘を聞いて信じたらしい。その事と謝罪がどう繋がっているのかと尋ねた。

 

「御影さん、上弦ノ弐との戦いで私が気を失った後のことを教えてくれませんか?今更かも知れませんが、私は御影さんがそんな事するとは思えません…」

 

「お願いします…」

 

「信じるか信じないかはお前らで判断しろ」

 

俺は仕方なく、元花柱が気を失った後のことを話した。

元花柱が気を失った後、元花柱を喰おうとした上弦ノ弐と対峙し、そのまま戦闘になった。元花柱を庇いながら、上弦ノ弐との戦いは滅茶苦茶キツかった。元花柱を庇いながら戦い続けていたら、物陰にずっと隠れていた愛崎姫乃が飛び出してきて、無言で気を失った元花柱を抱えて、この場を去って行った。

 

「そして、俺が元花柱を囮に使った、元花柱を性的に襲った等の噂が流れたという訳だ」

 

あの時の事を話終えると、二人は言葉を発さずに俯いていた。

 

 

 

 

「南無…。これで分かっただろ?御影は柱を14年務めている男だ…仲間を囮に使う様な男では無い。自分の事を顧みず、常に仲間が明日の朝を迎えられる様に動く男だ…」

 

行冥の一言に、二人は御影と任務を共にした時の事を思い出していた。鬼に怯え固まっていた隊士を庇いながら戦っていた事や、癸だけで編成された小隊が鬼に囲まれたと鎹鴉から報告を受ければ直ぐに駆けつけていた事を思い出していた。

 

『鬼と仲良くなりたい? 別にいいんじゃないか?周りがどう言おうと、カナエが決めた事に口を出す事は出来ないだろ?』

 

カナエは自分の夢を肯定してくれた御影の言葉を思い出し。

 

『鬼の首を斬るだけが鬼殺って訳じゃない。鬼を日光に当てて灰にする戦術もある。しのぶは薬について詳しいだろ?だったら鬼を殺せる薬…又は毒薬を開発してみたらどうだ?そうすれば、しのぶの様に首を斬れなくて悩んでいる奴らの為になるだろ?』

 

しのぶは育手に鬼の首を斬れる筋力が無い事で見捨てられた自分に、今の戦い方に導いてくれた時の事を思い出していた。二人は御影から与えられていた優しさを忘れていた事に、酷く後悔をしていた。特にしのぶは御影への暴言を吐き、御影の心に傷を与え続けていた自分を強く恨んでいた。

 

「許しを乞うなんて烏滸がましい事は思いません…自分の罪から逃げようと思いません…。今の自分が蟲柱で居られるのは、御影さんが居てくれたお陰です…。多大なる恩を仇で返す様な事をしでかし、大変申し訳ございません」

 

しのぶは深々と頭を下げて、御影に謝罪をした。カナエもしのぶと同じ様に、深々と頭を下げて御影に謝罪をした。嘘偽り無い二人の謝罪に御影は溜め息を吐くと、土下座をしている二人に頭を上げるように言った。

 

「行冥の顔を立てるが…直ぐに前の様には関わる事は無いからな」

 

御影は嘘偽り無い謝罪をする二人に、遠回しな言い回しで許すと言った。許されない事をしてしまったと自覚している二人は、行冥の顔を立てるとはいえ、御影から許されるとは思わなかった。しのぶとカナエは再度御影の器の大きさを目の当たりにし、頭を深々と下げながら、許してくれた事に感謝をした。

 

「話が終わったら、さっさと蝶屋敷に戻れ…。怪我や病気している隊士を治療に行きな」

 

「蝶屋敷にまた来てください…カナヲやアオイ、なほ、きよ、すみ達が会いたがってます」

 

「私としのぶも御影さんが蝶屋敷に来る事を待ってますから!」

 

「機会があればな…。それと、愛崎姫乃との付き合いは変えるなよ?色々と面倒になるからな…」

 

御影は二人に、愛崎姫乃との付き合いを変えないようにと言い、那田蜘蛛山での任務で発生した怪我人、他の任務で怪我を負った隊士の治療をする様にと言って、しのぶとカナエに蝶屋敷へ帰るようにと言って客間を出て行った。

御影は客間を出て行ってから、しのぶとカナエは患者の治療をする為に客間を出ようとしたら、包みを持った御影が戻って来た。戻って来た御影は、しのぶとカナエに料理が入ったお重を包んだ風呂敷を渡して、獪岳に二人を外まで送るように言ってから行冥と共に居間に向かった。

 

「師範は許したようだが、俺はアンタらを信じた訳じゃない。もう一度、師範を傷つけたら俺は絶対に許さねぇ…」

 

「同じ過ちを二度と犯しません。継子である貴方にも信用を得られるように努力します」

 

「私もしのぶと同じで、同じ過ちはしないわ。御影さんを裏切る様な真似は決してしないわ」

 

「それが口だけじゃなきゃ良いな」

 

獪岳はしのぶとカナエを屋敷の外まで送ると、獪岳は門を閉めて御影の元へと戻った。逆屋敷を後にするしのぶとカナエは、これから愛崎姫乃とどのように接すれば良いのかと考えていた。




読んでいただきありがとうございますm(_ _)m
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