逆柱は嫌われている   作:星天さん

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日間ランキングで26位にランクインするとは思ってなかったのでめちゃくちゃびっくりしました‼️
今作品を読んでくださる読者様、誠にありがとうございます。


儚い夢

車掌さんが検札鋏で切符に穴を開けた瞬間、目の前が真っ暗になった。目の前が真っ暗になってから少しして、少しずつ目の前が明るくなってきていた。暗かった視界が完全に光を取り戻したら────俺は懐かしい匂いがする家…俺が鬼殺隊に入る前まで両親と暮らしていた家だった。無限列車に乗っていたはずの俺が、こんな所に居るのかと考えていた時だった。

 

「あら、やっと起きたのね透也?」

 

「母さん…?」

 

「お母さん以外誰がいるのよ?寝ぼけてるの?」

 

俺の目の前に…鬼に殺された筈の母親が家の扉の前に立っていた。声、匂い、そして…俺にいつも向けてくれた優しい笑みを浮かべている母さんが居た。驚きと混乱で言葉が出ない俺に母さんはゆっくり近づき、優しく抱きしめて頭を撫でてくれた…。

 

「どうしたの透也?何か怖い夢でも見たの?」

 

俺は優しい母さんの声色を聞いた瞬間、母さんを強く抱き締め泣いた…。涙を流さないように必死に堪えたが、無理だった。いい大人が何泣いてんだと言われても気にしない位、俺は泣いた。形振り構わず泣いていると家の扉が強く開けられ、父さんが家に入ってきた。泣いている俺に父さんは心配そうな顔をして近づき、母さんと同じように抱き締めてくれた。母さんと父さんの匂いと温もりを感じ、俺の涙は止まらず流れ続けた…。

 

 

「もう、急に透也が泣き出すからびっくりしたわ!」

 

「もう大丈夫か透也?」

 

「迷惑かけてごめん…」

 

俺が泣き止んでから、母さんは飯を作ってくれて三人で食卓を囲んだ。あの日以来、俺は両親と一生食卓を囲む事は出来ないと思っていた俺は、両親と食卓を囲む事が出来て胸がポカポカと温かくなるのを感じた。父さんと母さんと食事しながら色々と話したり、甘えられなかった分を甘えたりと、あの頃から二度と味わえないと思っていた夢のような時間を過ごした。

 

両親が寝静まった深夜…。

2人にバレないようにこっそりと家を出て、外へ出た。外も懐かしい木や草、土の匂いがして目が潤んできた。また泣きそうになるのを堪えながら、俺はこの世界を歩き回った。

 

『泣いてスッキリでもしたか主サマ?』

 

「うるせぇ…お前には関係ねぇだろ」

 

『おいおい、つれない事言うなよ?俺様はお前でもあるんだぜ?』

 

俺に話し掛けてくるコイツは、真っ白な俺の容姿をしている虚…白也(びゃくや)。俺が白也を認識したのは先代の御館様から柱になって欲しいと言われ、逆柱になってから精神世界に現れた。黒崎一護と同じように戦い、白也を倒して屈服させた。白也を屈服させてから、白也は時々俺の前に現れたりするようになった。

 

「ここが現実世界では無い事ぐらい分かっている…。頭で分かっていても、心はそうじゃない…この世界には俺が取り戻したくても取り戻せなかったものがある…」

 

『こんな偽りの世界に何の価値がある?現実世界でのお前は精神をすり減らして生きている事は知っている。だが、偽りの世界に閉じこもって守りたいものを守れなくなるんだぞ?』

 

「そんな事は分かっている…だが、俺が失って取り戻せないものがこの世界にはある。偽りの世界だろうと、この世界に居たいと思ってしまった」

 

しっかりしやがれ!!逆柱・御影透也!!

 

白也に殴り飛ばされた…。

白也は殴られて地面に倒れた俺の胸ぐらを掴んで持ち上げ、俺に現実から逃げるなと怒鳴った。俺が此処で逃げれば、救いを求めている奴らの手を掴むんだと言われた。

白也に言う通り、俺が此処でこの世界に閉じこもっていたら乗客は誰が助けるのか?獪岳、炭治郎、禰豆子、善逸、伊之助…未来あるあの子達を誰が守るのか?居心地の良いこの世界に閉じこもろうとした俺は自分の両頬を力いっぱい叩き、甘ったれた自分に喝を入れた。

 

「悪いな白夜…。お前に大きな借りが出来た…礼を言う」

 

『俺に勝って屈服させた奴が腑抜けになっていたのが許せなかっただけだ…。この世界を出るにはお前が死ねば出られる…』

 

「ありがとうな白也…」

 

白也はこの世界から脱出する方法を教えてから、俺の前から姿を消した。

 

「来てくれ逆撫…」

 

白也が居なくなり、その場で1人になった俺は、自分の斬魄刀である逆撫を呼び出した。

逆撫を呼び出すと俺の目の前が光り輝き出し、その光が徐々に収まると目の前には黒髪ロングでゴスロリに身を包んでいる幼女が居た。

 

「透也、大丈夫?」

 

「ああ、もう大丈夫だ。心配かけて悪かったな 」

 

「ん、罰として頭撫でる」

 

逆撫は俺の手を掴むと自分の頭に乗せて、罰として撫でろと催促してきた。逆撫にも心配をかけた俺は、素直に逆撫の罰を受けた。逆撫の頭を撫でていると、艶があってサラサラとしている髪に撫でるのが癖になりそうだ。

 

「逆撫、俺は一刻も早く現実世界に戻らなきゃならねぇ。刀に戻って協力してくれ」

 

「ん、わかった…」

 

頭から手を離すと名残惜しそうな表情をするが、逆撫は直ぐに擬人化から刀の姿に戻ってくれた。刀の姿に戻った逆撫の柄を握り、鞘から逆撫を抜いた。

 

「こんな所で何をしているの透也?」

 

「急に居なくなったから驚いたよ?さあ、夜は危ないから家に帰ろ?」

 

逆撫を抜いた所で、背後から両親が俺を心配して声を掛けてきた。俺が居なくなったのに気づいて探しに来てくれたみたいだ。だが俺は、後ろに振り返る事なく両親の問いを答えた。

 

「母さん…父さん…。俺にはやらなきゃならない事が山の様にある。だから…やる事を片付けに行ってくるわ」

 

両親の返事を待つこと無く、俺は逆撫で自分の首を斬った…。自分の首を斬った瞬間に、車掌さんが切符に穴を開けた時と同じ様に目の前が真っ暗になり、真っ暗から光を取り戻すと無限列車の座席に座っていた。横には獪岳が居て、俺より先に目覚めたらしく心配そうな顔をして俺の肩を揺らしていた。

 

「悪いな獪岳。ちょっと寝すぎたわ」

 

「心配させないでくださいよ師範…」

 

獪岳にも心配かけた事を謝り、クソったれで良い夢を見せてくれた鬼に御礼参りをしようと俺は座席から立ち上がった。




透也の内なる虚の名前は白也です!
この名前にした理由は白透也から透を抜いて安直ですが『白也』と命名しました。

続いては逆撫のモデルについてです。
艦これの龍驤にしたのですが、ハイスクールDxDに登場するオーフィスをモデルにすることにしました。

今回も読んでいただきありがとうございますm(_ _)m

獪岳の見た夢について

  • 番外編でやる
  • 別にやらなくても大丈夫
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