猗窩座との戦いは熾烈を極めていた…。
俺を殺しにかかってくる猗窩座に、二人の爺さん*1に叩き込まれた呼吸、鬼道を駆使しながら戦っていた。猗窩座が繰り出してくる体術の血鬼術が後ろへ行かないように全て防いでから攻撃に転じて鬼道や逆撫で斬りつけてダメージを与えるが、傷を負った傍から再生していく鬼の肉体に致命的なダメージを与えられなかった。
「殺すには惜しすぎる…。透也!!あの方に頭を下げ詫び、鬼になれ!!」
「俺は鬼殺隊を支える柱だ!!ワカメ頭に謝るのも鬼になるのも断る!!」
「何故鬼にならない透也!!老いて醜く死んでいくより、永遠の命を手に入れ、俺と永遠に戦おうではないか!!」
無惨に謝罪して鬼になれという申し出を断ったが、猗窩座は勧誘を辞めることは無く、しつこく俺に無惨に謝罪をして鬼になれと言ってくる。そして、隙あらば後ろで治療している獪岳達を狙って使っていた血鬼術を俺一点に集中して繰り出してきた。猗窩座が繰り出す血鬼術を逆撫で防いだが、全てを防ぎきる事は出来ず、猗窩座の繰り出してきた血鬼術をくらった。猗窩座の攻撃をくらった箇所から血が流れ、骨が軋むような痛みが走った。
○
俺は師範の指示に従い、嫌だが炎柱と愛柱、炭治郎達の治療をしていた。俺の後ろでは師範が上弦ノ参と戦いながら、俺達の方へ上弦ノ参の攻撃が行かないように攻撃を一人で防いでくれていた。
「俺達を治療してくれて感謝する」
「うるさい…。好きでアンタ達の治療をしている訳じゃない、師範の命令だからやっているだけだ」
治療の最中に話しかけてきた炎柱にきつい口調で返した。
何時でも鬼殺隊の事を第一に考えている師範にありもしない噂を流した女、その噂を信じて師範に対して最低な言動をする男何かと話なんてしたくなかった。
「アンタらは何考えてんだよ…」
「何がだ?」
「師範に対して何を考えているかって聞いてんだよ!!鬼殺隊の事を第一に考え、今でも上弦ノ参の攻撃が俺達の方へ行かないように戦ってくれている師範に対してどうして酷い事ができるんだよ!!」
俺はこいつらに思いの丈をぶつけた。
こいつらは俺の言葉に返事をする事無く、バツの悪そうな表情をしながら顔を俯かせた。こんな奴らを生かしておいても意味は無いんじゃないかと思いながら、師範に言われた様に二人の治療を続けた。
○
分からない…。
俺は男の風上にも置けないと思っていた奴の継子に治療を受けながら考えていた。元花柱・胡蝶カナエを囮にして上弦ノ弐と戦っていたと噂や姫乃が言っていたが、今目の前で起きている事は噂とは正反対だった…。
御影透也は負傷している俺や姫乃を囮にする事無く、継子に治療を任せ、俺達を守りながら戦っている。
継子の一言、そして今の奴の姿を見て、俺は噂が間違っているのか、それとも俺達の前で良いように見せているのか分からない…。
『鬼殺隊の事を第一に考え、今でも上弦ノ参の攻撃が俺達の方へ行かないように戦ってくれている師範に対してどうして酷い事ができるんだよ!!』
奴の継子から言われた言葉に俺は顔を背け、何も答えることが出来なかった…。ただ、俺が奴の事について理解出来たのは、継子から慕われている事だけだった。
○
「それほどの力を有していながら何故鬼にならない!!歳をとり、醜く老いていけばその力は廃れていくのだぞ!!」
「可哀想な奴だな猗窩座…」
「なんだと?」
「人間は必ず歳をとり老いる…だから俺は次の世代という若葉の養分となり、力や意志を託して育てるんだよ…。お前ら鬼達に無い人間の生き様と止まることの無い進化だ!!」
戦闘が始まってからずっと受け身だった透也が攻勢に出た。
透也は猗窩座の懐に瞬歩で一気に接近し、逆撫を振るって猗窩座の左腕を斬り飛ばした。左腕を斬り飛ばされた猗窩座は即座に透也から距離を取り、左腕を再生させた。
「貴様!?今までが本気では無かったのか!!」
「今までは俺の継子が怪我人を治療していたからな、攻撃が後ろへ行かないように配慮してたんだよ。継子が怪我人の治療が終わり、継子が動けるようになったお陰で後ろを気にする事がない今、お前に集中できる」
獪岳が怪我人への治療を終え、獪岳が自由に動けるようになった事で、透也は後ろへ攻撃が行かないように配慮する事が無くなり、猗窩座へ集中する事が出来るようになった…。透也は再び攻撃を仕掛けようと猗窩座の元へ接近した矢先、横から無数の斬撃が透也を襲った。透也は襲い来る無数の斬撃を断空で防ぎ、斬撃が飛ばされてきた方へ視線を向け、そこに立っていた人物に目を見開いた。
「猗窩座に加えてお前も来るとはな────黒死牟」
透也に向けて斬撃を放ったのは、浅草で邂逅を果たしている上弦ノ壱・黒死牟だった…。
○
俺は弱い…。
ヒノカミ神楽の影響で体を動かせない俺は、透也さんが上弦ノ参と戦っている姿を見ながら思った。自分が弱いと思ったのは俺だけで無く、両隣に居る伊之助と善逸も同じ様で拳を強く握り締めながら悔しそうに透也の戦っている姿を見ていた。
上弦ノ参を相手に透也さんは、獪岳さんから治療を受けている俺達を守りながら戦ってくれた。透也さんの援護をするだけの力が無い自分が恨めしい…。
『人間は必ず歳をとり老いていく…だから次の世代に繋げていくんだよ猗窩座。自分が次世代という若葉の養分となり、力や意志を託して育てるんだよ…。お前ら鬼達に無い人間の生き様と止まることの無い進化だ!!』
この時、透也さんは俺達の方に視線を向けて言った…。
透也さんの言葉で自分の不甲斐なさに打ちひしがれていたけど、もっと強くなろうと強く決心した。
「おい…炭治郎、善逸」
「伊之助?」
「伊之助がちゃんと名前を呼んだ!?」
「うるせぇ!!黙って話を聞きやがれ!! ハッキリ言って俺達は弱い…鬼と戦っているあいつに援護も出来ねぇ程弱い…。だから、もっと…もっと俺達は強くなるぞ!!」
伊之助の言葉に俺と善逸は静かに頷いた。
浅草から俺と禰豆子を守ってくれた透也さんへ恩返しが出来るように強くなろうと決心をした時だった…。
─────むせ返るような血の匂いがした…。
上弦ノ参と戦っている透也さんの右側から無数の斬撃が透也さんに襲いかかった。透也さんは何かを呟くと、斬撃が透也さんの前で何かと接触した様な音を立てて消えた。
透也さんを襲った斬撃が飛んできた方へ目を向けると、そこには六つの目がある鬼が居た。
六つある目の中に上弦ノ壱と書かれていた。
○
予想外だ…。
猗窩座だけでも予想外だったのに黒死牟まで来るとは思わなかった。足手まといの柱二人が居るのに黒死牟と猗窩座の上弦ノ鬼二体を
「緊急事態だからな…やるしか無いな…。獪岳!!後ろの事は任せるぞ!!」
引き続き獪岳に後ろを任せ──────俺は右掌を顔にかざした。
読んでいただきありがとうございます!!
読者様にアンケートを取りたいことがありまして、逆撫で月牙天衝を撃つかどうかのアンケートに御協力ください。
何故、逆撫で月牙天衝なのかと言いますと、愛染と戦っていた黒崎一護の父親・黒崎一心の斬魄刀が斬月では無いのにも関わらず月牙天衝を撃ったので透也にも撃たせようか悩んだのでアンケートを取る事にしました。
月牙天衝について
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撃たせる
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撃たせない