逆柱は嫌われている   作:星天さん

31 / 35
今回で無限列車編は終わり、次回は番外編を少しやって次の章に移ります。


読者様にお願いがありまして、今話で何か指摘があれば教えて頂けますでしょうか?

「何か此処が変」

「こういう書き方の方がいい!」

アドバイスがありましたらドシドシ感想欄に書いてください!



苦肉の策

透也さんが右掌を顔の前に翳し始めると、白い何かが右掌に集まりだした。白い何かが集まる度に、暖かかった透也さんの匂いが冷たい匂いに変わっていった…。翳していた右掌を振り下ろすと、透也さんの顔に骨で作られた様な面が着いていた。

透也さんが面を着けると、上弦ノ壱が現れた時とは比べ物にならない程の威圧感を感じた…。

 

「か、獪岳さん、透也さんのアレは何でしょうか?匂いも纏っていた雰囲気も変わって別人の様です!!」

 

「あ、兄貴…俺も教えて欲しい。あの人から聞こえてくる音が何時も聞いていた音と全然違くて…炭治郎と同じく別人みたいなんだけど」

 

「俺様にも聞かせやがれ貝殻!!何時もの気配と全く別モンに変わったぞ!!」

 

善逸も伊之助も透也さんが面を着けた以外の事に気づき、透也さんの継子をしている獪岳さんに透也さんの変化について尋ねた。獪岳さんは俺達一人一人の顔を見てから、透也さんについて何を知っているのかと聞かれた。俺達が知っている透也さんは、鬼殺隊逆柱である事、透也さんは霊力を自在に操る事が出来る事、透也さんは斬魄刀と呼ばれる意志のある刀を持っているという事を知っていると伝えた。

 

「殆ど知ってるなら話は早そうだ…。師範が着けている仮面は師範の奥の手である虚の仮面だ」

 

「ほ、虚の仮面?」

 

「ああ、霊力という俺達には無い力を持って生まれた師範には…自分とは違う虚という別の存在が精神に存在していた。師範の中に居る虚は強く、精神世界で内に潜む虚との戦いに勝ち、今の姿を手に入れたと言っていた。あの姿を虚化というらしい」

 

「虚化…」

 

獪岳さんの説明を聞き終え、虚化した透也と上弦ノ鬼達が睨み合っている所を俺達は黙って固唾を飲んで見ていた。

 

 

 

黒死牟と猗窩座は透也の変化に驚きを隠せなかった…。

虚化した透也から発せられる威圧感と眼光に、二人は少しばかりの恐怖を感じた。そして、両者が一歩も動かなかった状況に透也が二人より先に動き始めた。

 

『行くぜ…』

 

一言呟いた瞬間、透也が黒死牟と猗窩座の前から消えた…否、二人が目に追えない速度で移動した。二人が次に透也を目にしたのは、自分達の目の前だった。黒死牟は刀で斬りかかろうと刀を動かし、猗窩座は術式を展開して透也を殺そうと動こうとしたが二人の攻撃より透也の方が速く、透也は黒死牟と猗窩座の両腕を斬り落とした。

 

「仮面を着けただけでこれ程まで強くなるとは面白い!!」

 

「さっきは油断をしたが…ここからは本気で殺しに行く」

 

黒死牟と猗窩座は腕を斬り落とされた瞬間に透也から距離をとり、腕を即座に再生させながら透也の分析を行った。腕の再生が終わると、二人の目が獲物を捕らえようとする獰猛な獣のような目付きに変わった。

 

 

 

虚化したお陰で、本気になっている黒死牟と猗窩座を相手に張り合う事が出来ている。黒死牟が無数の斬撃を飛ばし、飛んでくる斬撃を捌いている背後を猗窩座が攻撃を仕掛け、刀と素手という違うタイプの敵を一遍に相手にするのはキツ過ぎる…。

上弦ノ壱と上弦ノ参という十二鬼月の上位に入っている二人の猛攻を防いでは攻撃に転じ、防いでは攻撃に転じを百を超える程繰り返していた。

虚化をしていても無限に体力が増える訳もなく、百を超える攻防で体力も気力も限界に近づき、仮面にヒビが入った。

 

『ハァ…ハァ…』

 

「私達の攻撃を防ぐとは中々だ…。だが、やはり体は人間…その証拠に息が荒くなってい───その耳飾りは!?」

 

俺に何かを言おうとした黒死牟の視線が別の方へ向き、耳飾りがどうたらと言って驚き、俺は驚いている黒死牟の視線を追ってみたると、視線の先に炭治郎が居た。

 

「猗窩座…私は今すぐに殺さねばならぬ者が居る…。その者を殺し終えるまで…その男を抑えていろ」

 

黒死牟は炭治郎の耳飾りを見た瞬間に顔色を変え、炭治郎を殺そうと動き出した。俺は炭治郎を殺そうとする黒死牟を止めに動こうとしたが、猗窩座が黒死牟の元へ行こうとする俺の邪魔をした。

 

『そこを退け猗窩座!!』

 

「よっぽどあの餓鬼が大事と見えるが、お前を行かせる訳には行かないな!!お前は俺と戦い、あの餓鬼が無様に死んでいく様を見るんだ!!」

 

俺は残り少ない力を振り絞り、黒死牟の元へ行こうとすると必ず邪魔をする猗窩座に挑んだ。

 

 

 

むせ返るような匂いと恐怖が近づいて来る…。

上弦ノ壱が近づいてきているのに、俺を含め誰もが金縛りにあったように体が動かせなかった。

 

「その耳飾りをしている者は…例え女だろうとこの世から消さねばならない…」

 

上弦ノ壱は俺の頭に狙いを定めて刀を突き刺そうとした。

透也さんが俺の名前を懸命に呼んでる声がするけど、死を覚悟して俺は目を閉じた。

 

「さらばだ…縁壱の耳飾りを持つ者よ…」

 

上弦ノ壱が刀を振り下ろすのを風で感じたが…俺の頭に一向に刺さらず、頬に生暖かく鉄の匂いのする物が当たった。恐る恐る目を開けると目の前には──────上弦ノ壱の刀で腹を貫かれている透也さんが立っていた。

 

『怖い思いをさせて悪いな炭治郎…』

 

「と…うや…さん?」

 

腹を貫かれ…血を多く流している透也さんが自分より俺の事を心配して声を掛けてくれた。俺は目の前で起こっている事を理解出来ず、ただただ透也さんの名前を言うことしか出来なかった…。

 

 

 

痛てぇ…。

猗窩座を列車の下敷きにして少しだけ動きを止め、炭治郎の元へ向かった。黒死牟の刀を縛道では間に合わないと判断した俺は、炭治郎を守る為に腹を貫かせて黒死牟の刀を止めた。貫かせた刀を抜かれないように、腹に力を入れ、左手で黒死牟の腕を潰す勢いで握った。

 

『悪いがお前の思い通りにはさせねぇ…』

 

「離せ御影透也…。その耳飾りをつけている者は必ず殺す…邪魔をするな!!」

 

『冷静沈着な奴がこうも取り乱すとはな…あの耳飾りには何か特別な物なんだろうな?なら、尚更殺させる訳にはいかねぇな』

 

俺は逆撫を握っている右腕を上げ、虚化の影響で黒くなった霊圧を高めた。霊力を高めていると、列車の下敷きになっていた猗窩座が怒りながら出てきた。黒死牟は俺がしようとしていることを直感でヤバいと感じたのか、俺から離れようと必死だった。

 

『今の俺の全力だ…。月牙ァァ…天衝!!!!』

 

俺の霊圧、白也の霊圧、逆撫の霊力と三位一体となって放つ事が出来る、俺専用の月牙天衝だ…。俺の月牙天衝は完全に黒死牟と猗窩座を捕らえ、二人を飲み込んだ。月牙天衝を放ったら、虚の仮面は割れて通常状態に戻った。血を流しすぎている俺は止血をする為に、腹に刺さっている黒死牟の刀を抜き、全集中の呼吸で止血を行った。

 

 

「まさか斬撃を放つ事が出来るとはな…」

 

「やはり惜しい男だ御影透也!!」

 

透也の月牙天衝を受けた黒死牟と猗窩座だったが、腕や足が無くなっていたが生きていた。鬼の超回復により透也の月牙天衝で受けた傷はみるみる内に治って行き完治した。だが、炭治郎達の目には別の方向を見て話している黒死牟と猗窩座の姿が映っていた。

 

「この刀の能力だ…。この刀…逆撫は相手が認識する上下左右前後、それと嗅覚、見えている方向・斬られた方向の感覚を全て“逆さま”にする力がある。俺がさっき放った斬撃には逆撫の能力を乗せておいたんだ…今のうちにここから離れるぞ」

 

黒死牟が現れた瞬間に透也はこの作戦を立てて居た。

黒死牟と猗窩座に逆撫の能力が効いている間に、透也達はこの場を離れた。幸いにも太陽が登り始めている為、万が一にも効果が切れても追ってくる可能性は0だ。

ある程度まで逃げると、透也達を待っていた隠達と合流した。

 

「早く治療をしましょう師──────」

 

獪岳は治療を勧めようと透也に声を掛けたが…透也が静かに前のめりで倒れていた。透也の服を見ると血が滲んでおり、服が切れている部分からは所々が青く腫れているのが見えた。獪岳は直ぐに透也を起こしながら、脈を測った。透也の脈は弱々しく、早く治療をさせなければ命に関わると判断した獪岳は、自身の鎹鴉に透也の状態を蝶屋敷に居る人に教え、治療を直ぐに始められるように準備をして欲しいと伝え、蝶屋敷に向かわせた。

 

「か、獪岳さん…俺のせいで透也さんは…」

 

「師範は自分の責務を全うして負った怪我だと言うだろう…。だから、自分を責めるより師範に感謝の言葉を言ってくれ…その方が師範も喜ぶ」

 

「はい…」

 

自分を庇って重症の怪我を負わせてしまったと自責の念に駆られている炭治郎に獪岳はそう言うと、迎えに来た後藤の車に乗り、蝶屋敷へと向かった。残された愛崎姫乃、煉獄杏寿郎、炭治郎、伊之助、善逸の五人は他の隠達と共に蝶屋敷に運ばれた。蝶屋敷へ運ばれている間、柱二人は何かを考えて無言になり、炭治郎達は悔し涙を流していた。




読んでいただきありがとうございます!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。