蝶屋敷へと運び込まれた透也は出血多量で生命の危機に瀕していたが、しのぶとカナエの二人の懸命な治療によって透也は命を繋ぎ止めることが出来た。
治療を終えた透也は、アオイが準備していた透也専用の部屋へ運び込まれた。
透也が運び込まれてから三日が経ったが、透也が目覚める事は無かった。
「早く…早く目を開けてくださいよ師範…」
「獪岳さん…」
透也が蝶屋敷へ運び込まれてから獪岳は毎日蝶屋敷へ足を運び、透也の側に来ては声を掛けて目覚めるのを待ち望んでいた。透也が目覚めるのを待ち望んでいるのは獪岳だけで無く、透也を慕う柱や隠、動けない自分の代わりにあまねや子供達に様子を見に行ってもらう産屋敷耀哉も透也の目覚めるのを待っていた。
「透也はまだ目覚めていない様だな…」
病室の入り口から声が聞こえ、獪岳と炭治郎が入り口の方へ視線を向けると、そこには現・炎柱の父親の煉獄槇寿郎と妻である煉獄瑠火が病室に入ってきた。
「お久しぶりです。槇寿郎さん、瑠火さん」
「久しぶりだな獪岳…息災だったか?」
「ええ…。俺は何も無かったですが…師範が…」
「透也さんの事は槇寿郎さんの鎹鴉から聞きました。透也さんが目覚めてからも言いますが…獪岳さん、馬鹿な息子に治療を施していただきありがとうございます」
槇寿郎と瑠火の二人は、息子への応急処置をしてくれた獪岳へ頭を下げながら感謝の言葉を伝えると同時に杏寿郎が透也の非礼の数々を謝罪した。頭を下げる二人に獪岳は慌てながら、頭を上げて欲しいと頼み込んだ。
「あ、あの…このお二人は何方でしょうか?」
「この二人は、お前が一緒に合同任務をしていた炎柱の両親だ。槇寿郎さんは元・炎柱で師範の事を理解してくれている人だ」
「そうなんですか!!あの、俺は竈門炭治郎と言います!!」
「そうか…。お前が竈門炭治郎か…お前の事は透也から聞いている。そして─────日の呼吸を知りたいって事も聞いている」
炭治郎が一度目の蝶屋敷での療養中にヒノカミ神楽又は日の呼吸について胡蝶しのぶに尋ねていた。胡蝶しのぶはヒノカミ神楽も日の呼吸も知らない為、炭治郎の質問に答える事が出来なかった。
そこで胡蝶しのぶは透也にヒノカミ神楽と日の呼吸について知らないかと尋ねた。
胡蝶しのぶに尋ねられた透也は日の呼吸について考えていたら、山本元柳斎重國の元で剣士の修行をしてた時代、山本元柳斎重國から始まりの呼吸・日の呼吸についての話、日の呼吸についての文献が元弟子だった槇寿郎の元にある事を思い出した。
日の呼吸について思い出した透也は、炭治郎は日の呼吸の手掛かりである槇寿郎の所へ辿り着くと予感して、無限列車の任務へ赴く前に、話を円滑に進める為に槇寿郎へ炭治郎の話をしていた。
槇寿郎の口から日の呼吸という単語を聞いた炭治郎は、槇寿郎に頭を下げながら日の呼吸について教えて欲しいと頼み込んだ。元々、透也から炭治郎に日の呼吸について尋ねられたら教えてやって欲しいと言われていた槇寿郎は、懐から日の呼吸が記載されている文献を取り出し、炭治郎に渡した。
文献を渡された炭治郎は文献を開き、槇寿郎の話を聴きながら読み始めた。
〇
上弦の鬼二体から逃げ切り、意識を失った俺が目覚めたら自分の屋敷でも蝶屋敷でも無い、草原に俺は横たわって居た。後頭部には柔らかい感触があり、柔らかい感触の正体を確かめようと首を動かしたら逆撫と目が合った。
「やっと目覚めた…」
「逆撫?」
『そいつだけじゃないぜ』
「白也…」
柔らかい感触の正体は逆撫の膝枕だった。
どうやら、俺は気を失ってから逆撫によって俺の精神は精神世界へと連れてこられた様だ。俺は立ち上がる為に逆撫の膝から頭を上げようとしたら、逆撫が俺の両肩を掴んで起き上がるのを止めた。
「透也は頑張りすぎ…もう少し休んで」
逆撫は優しい手つきで俺の頭を撫で始めた。
優しい手つきで撫でられていると、自然に瞼がゆっくりと下へ下へと下がり始めた。現実世界で皆が無事かどうかの確認をしたいが、心地よいそよ風、草の香り、柔らかな逆撫の膝枕に頭撫でを食らっている俺は再び眠りについた…。
〇
『また眠ったか?』
「うん…。やっぱり白也も透也の事心配?」
『俺もお前もコイツの為に作られたとはいえ、俺達を屈服させた奴がどうでもいい連中の為に命と体を張っているのが気に食わないだけだ…』
「白也、素直じゃない…」
頬をかきながらそっぽ向く白也に逆撫は優しい笑みを浮かべて見ていた。白也と逆撫は透也が生まれた時から一緒に居る為、今までの事を透也の中から全て見ていた。今こうしている時間がずっと続けばいいのにと思うのだった…。
読んでいただきありがとうございますm(_ _)m
次回には透也が目覚めますのでよろしくお願いしますm(_ _)m