逆柱は嫌われている   作:星天さん

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第3話 一幕①

絶望的な状況でも、諦めずに前に進んだ炭治郎に労いの言葉をかけたら泣いてしまった。炭治郎の泣き姿に父性本能?みたいなのが働いて、気づいたら自分の胸元に抱き寄せて、泣き止むまで優しく頭を撫でていた。

 

「ムー!」

 

炭治郎を撫でていると、妹の禰豆子がジッと俺を見ていた。

 

「お前も来るか?」

 

「ムー!」

 

ジッと見ている禰豆子に来るか?と聞くと禰豆子は、自分を殺すかもしれない俺の膝の上に、何の警戒もせずに座った。

俺の膝に座った禰豆子は俺の手を自分の頭に置いて、上下に動かしながら撫でてと言わんばかりに見てきた。炭治郎と同じように撫でると禰豆子は嬉しそうにムームーと言いながら足をパタパタと動かして喜んでいた。

 

「涙で濡らしてすみません御影さん...」

 

「気にしなくていい、お前と同じ様に涙で服を濡らしてきた奴がいるからな」

 

暫くして炭治郎は泣き止んだ。泣き姿を見られたのが恥ずかしかったのか炭治郎は顔を真っ赤に染めながら、シャツを涙で濡らした事を謝罪して来た。

炭治郎が落ち着いてから、二人を珠世さんと愈史郎の元に連れて行く為に霊圧感知で探しながら二人の手を引いて探し歩いていた。

 

「遅いぞ御影透也!!」

 

「そう怒るなよ愈史郎」

 

あの夫婦を珠世さんと一緒に隠れ家へ連れて行ってから、愈史郎は俺達が来るのを待っていたみたいだ。

 

「わざわざ来てくれてありがとう愈史郎」

 

「ふん!珠世様から頼まれたから来てやっただけだ」

 

「あの...御影さん、この方は?」

 

「お前の嗅覚で正体は分かってると思うが、目の前に居る愈史郎は鬼だ──禰豆子と同じく人を食わない鬼だ」

 

炭治郎は、禰豆子以外にも人を食わない鬼に初めて会って驚いていた。炭治郎に愈史郎との関係を聞かれて、ある薬の開発する為の協力者であり、親友だと答えた。

 

「だ、誰がお前と親友だ!」

 

「何だ?照れたのか愈史郎?」

 

ツンデレ系少年の愈史郎に、照れているのかとニヤニヤしながら聞くとそっぽ向いてしまった。そっぽ向いた後に、愈史郎が炭治郎と禰豆子を見て、禰豆子に醜女と言い、炭治郎が必死になって否定すると言う茶番が行われた。

 

「愈史郎、頼みがあるんだがいいか?」

 

「なんだ?」

 

炭治郎と愈史郎の茶番劇が終わり、おちゃらけていた俺は真面目な雰囲気を出して、愈史郎に話しかけた。愈史郎は、俺が真面目モードになったのを察知してくれて話を聞いてくれた。

 

「採血短刀を今すぐ二本くれないか?」

 

「!?、お前...まさか」

 

「ああ、そのまさかだ。こんな機会は中々ないからな」

 

「奴がいる所を把握してるのか?」

 

「霊圧感知で常に場所は把握している」

 

愈史郎との話が終わると渋々だが、懐から鞘付き採血短刀を取り出して渡してくれた。愈史郎から鞘付きの採血短刀を受け取ってから、ズボンの左右のポケットに一本ずつ入れてしまった。

 

「御影さん、何処に行くんですか?」

 

「さっき会った鬼ぃさんに挨拶しに行ってくる」

 

「!?、だったら俺も「炭治郎」はい...」

 

「家族の仇討ちをしたいお前の気持ちは分かる...。だが、今から会いに行くのは今のお前より格上だ、刀を抜く前に殺されるのがオチだ」

 

「はい...」

 

「家族の仇が近くに居て、何も出来ないのはとてつもなく悔しいと思う。今はグッと堪えて強くなれ、どんな敵でも倒せるように...。愈史郎、二人を頼むぞ」

 

炭治郎は、強く拳を握りしめ悔しい気持ちを抑えながら、小さく首を縦に振り頷いてくれた。愈史郎とこれから出会う珠世さんに迷惑をかけないようにと伝え、愈史郎に2人を頼み、瞬歩でその場から去り霊圧感知で常に場所を特定している──鬼舞辻無惨の元に向かった。

瞬歩で去り際で、愈史郎に「生きて帰って来い.....」とツンデレ発言をいただきました。

 

 

炭治郎の元を離れてから、俺は浅草の人気のない裏通りに来ていた。裏通りには、見るも無残な仏さんが三つ出来上がっていた。

 

「貴様は!!」

 

「来るのが遅かったか...」

 

この三つの仏さんを作り出した張本人、鬼舞辻無惨は俺に憎悪の視線を向けてきた。鬼舞辻無惨に恨みを買うような事をした覚えが無く何故あんな視線を向けてくるのか、考えても思いつかなかった。

 

「俺、アンタに何かしたか?そんな憎悪丸出しの視線を送られる覚えが無いんだが?」

 

「何かしたか?だと...貴様は言った!顔色が悪いとな!病弱に見えるか?死にそうに見えるか?言ってみろ!!」

 

鬼舞辻無惨は、青筋をぶっ立てながら怒鳴り散らしていた。顔色が悪いと言っただけで、病弱とか死にそうとか鬼舞辻無惨は被害妄想が激しい奴だと、俺の中で認定した。

 

「アンタ、虫の居所が悪そうだから目的果たして退散するわ」

 

逆撫を左手で抜刀し、右ポケットから採血短刀を持ち構えた。逆撫と採血短刀を構えると、鬼舞辻無惨は何故か笑いだした。

 

「日輪刀...別名・色変わりの刀。貴様の刀を見る限り、色は変わっていないようだな!呼吸の適正が無く色が変わらない、餌が何をしようとしている?」

 

「あんまり他者を見下さない方がいいぞ──足元を掬われるからな」

 

鬼舞辻無惨にそう言いきってから、瞬歩で懐に入り込んで逆撫で鬼舞辻無惨の右腕を斬り落とした。右腕を斬り落とされ、驚愕の表情をしている鬼舞辻無惨の腹に蹴りを入れて後ろに吹っ飛ばした。

 

「グッ!!貴様!!」

 

「油断は禁物だぜ?海藻頭君」

 

小馬鹿にした言い方で話してから、斬り落とした右腕に採血短刀を突き刺して奴の血を回収した。血の回収と言う目的を達成してから、帰る前に鬼舞辻無惨と向き合った。

 

「目的を達成したから帰らせてもらうわ。アンタが何の為に放ったか分からない鬼を退治をする為にな」

 

「無事に帰れると思っているのか!黒死牟!!」

 

ベベンッ!!

 

鬼舞辻無惨が叫ぶと何処からか三味線の音が聞こえてきたと同時に扉が現れた。突然、現れた扉が開くと中から六つ目の強そうな鬼が出てきた。

 

「お呼びでしょうか無惨様...」

 

「あそこに居る人間を殺せ!!」

 

鬼舞辻無惨が黒死牟と言った鬼の瞳には上弦ノ壱と書かれていた。血を回収してから、直ぐにこの場から去れば良かったと多少後悔をしていた。

 

「随分と強そうな鬼を出してきたな海藻頭君」

 

「また言ったな貴様!!行けッ黒死牟!!奴をバラバラに殺せ!!」

 

鬼舞辻無惨の指示を受けた黒死牟は、目玉が複数も付いている刀を抜き向かってくる。鬼舞辻無惨の血を回収した採血短刀をしまい、逆撫1本で黒死牟を迎え撃つ。

 

「月の呼吸壱ノ型 闇月・宵ノ宮」

 

「!?」

 

上弦ノ壱が刀を握った瞬間にとてつもなく嫌な予感がして、瞬歩で距離をとって攻撃を避けようとしたのだが──何時の間にか左肩を軽く斬られていた。

 

「良い勘だ...。今の一撃で仕留めるつもりだったのだが、避けられてしまった...」

 

「馬鹿か...今の一撃で左肩を斬られたわ」

 

「俺にとっては...その程度の傷を傷とは言わない...」

 

「随分と強気な発言だな。なら、少しだけ本気出させてもらうぞ上弦ノ壱」

 

「来るがいい...鬼殺の剣士」

 

逆撫を右から左手に持ち替えて、左ポケットに入っている採血短刀を取り出した。鬼舞辻無惨の時の様に上手くいくか分からないが、上弦ノ壱の血も手に入れようと考えた。

この場で鬼舞辻無惨と上弦ノ壱を仕留められるとは考えていない俺は、八十番代の鬼道を駆使して上弦ノ壱の血を採取次第、直ぐに立ち去る算段を考えていた。




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