ぼやけた目をこする。意識が朦朧としている。
顔をあげると、見た事のない場所にいた。
ここ、は……?
見回すかぎり竹、竹、竹。
どうやらここは竹林のようだ。
「目が覚めたのか?」
後ろから声が聞こえ、振り返る。
腰まで伸びる白い髪。大きなリボン。真っ赤なもんぺ姿の女の子がいた。
「お前妖怪に食われそうだったんだぞ?ただの人間ならこんなところに来ないほうがいい」
「えっと……ありがとうございます」
突然のことに混乱しつつとりあえずお礼を言う。
この女の子は誰なのだろう?
そしてここはどこなのだろう?
「人里まで連れてってやるよ。私は妹紅。藤原妹紅だ。お前は?」
「私は……」
名前を口にしようと口を開く。
私の名前は…………私の、名前……
…………私の、名前は?
自分の名前が思い出せない。
それどころか今までのことも思い出せない。
自分の事さえ思い出せない。
「……どうした?」
「……思い、出せない」
「え?」
「私…記憶が無いみたいです」
「え~これは厄介だな」
妹紅さんはぐしゃぐしゃと頭をかいた。
その表情は困ってこそいるものの、あまり驚いてなさそうだ。
「驚かないんですか?」
「そこまで珍しい事じゃないからな。
見たのは初めてだが。で、これからどうする?」
どうしよう……というかどうするとか言われましても……
今までのこともわからないのに。
家に帰る?家ってどこ?家族は?職は?
私って何歳なのかな?いつ生まれたんだろう?
生きていけるのかな?私って、何なんだろう?
なんにもわかんないや……
少し考えてから私は決意を口にだした。
「記憶を取り戻します!」
「記憶を……ね。見た目に反して凄いこと考えるんだな」
見た目――――私は濃いピンク色の髪を下で2本で縛っていて、そこには鈴がついていた。
薄ピンクのワンピースを着て茶色のブーツを履いていた。
我ながらピンクが多いな……自分の変わった格好に驚く。
風が吹いて、鈴がチリンチリンと鳴った。
とりあえず、女であることに間違いはなさそうだ。歳も、中学生くらいだ。
……ん?中学生ってなんだろう……?
「とりあえず名前がないと始まらないよな……
よし、お前の髪の鈴の音が心地いいからお前は今から心音だ」
「……」
「嫌だったか?」
「いや……いい名前だな……と思って」
「そうか。それは良かった」
「ふふ、なんか感動しちゃいました」
妹紅さんは微笑んだ。
心音。それが、私の名前。
嬉しくて、頬が紅潮していくのを感じた。
「とりあえず……行きたくないが永遠亭行くか」
先ほどの笑顔とは違う、苦笑いのような笑顔を浮かべて彼女は言った。
「永遠亭?」
「ああ。私の宿敵と腕のいい医者と兎がたくさんいる所だ。
記憶を取り戻すならまずは医者に診てもらった方がいい」
「うん。よくわかんないけどお医者さんのとこに行くんですね」
「はぐれない様にしっかりついてこいよ。ここは迷いやすいんだから。」
妹紅さんと私は永遠亭に向かって歩き出した。
▽
「よお」
永遠亭に着くと兎のような人のような女の人(?)がいた。
薄紫の長い髪にうさ耳が生えていて、制服を着ている。
その人は私たち――主に妹紅さん――を見ると嫌そうな顔をした。
「何しに来たの?」
「見ての通り」
「見ての通り姫様の抹殺?」
「違う。わからないのか?患者だよ」
「その人間が?」
兎っぽい人が私を指したので咄嗟に自己紹介した。
「えっと、心音です」
「私は鈴仙・優曇華院・イナバよ。呼ぶなら鈴仙と呼んでちょうだい。」
鈴仙さんは早口でそう言うと妹紅さんの方に向き直った。
眉間にしわが寄っている。
「この子が患者の様には見えないけど?」
「記憶喪失なんだよ」
「ふーん……そう、お師匠様に聞いてくるわ」
じーっと私を見た後、ぶっきらぼうにそう言う。
彼女は早足で永遠亭の中に入って行った。
▽
「ふうん、それだけじゃわからないわね。」
私は永淋さんに診察室で診察されている。
永遠亭は予想以上に広く、豪華なお屋敷だった。
こんなにお金持ちなら竹林以外の場所に建てればいいのにな、と思う。
「輝夜のことはあるけど、まあこの子はまあいい子のようだし。
この子には関係ないしね。あ、ウドンゲーそこの薬とってー」
「これですかー?」
「そうそれそれ。」
鈴仙さんが何か瓶に入った錠剤の薬を持ってきた。
「はい。記憶を戻すことは難しいけど
戻すことをサポートすることはできるわ。一日1粒ずつ飲んでね」
「ありがとうございます」
「まあ今回は礼を言う」
「記憶が早く戻るといいわね」
永琳さんがふふっと笑う。
いかにもお医者さんって感じだ。
私と妹紅さんは永遠亭を後にした。
作者「この小説のあとがきは台本風にしようと思います」
心音「質問!この話は幻想入りですかっ」
作者「決めておりません。
ですので投稿ペースもどうなるかわかりません。」
心音「まあ駄文ですが読んでくださるとうれしいです。」
作者「人には言われたくないな……その通りだけど。」
心音「でもこれも作者が書いてるんだから……」
作者「それは言ったら駄目なやつです。悲しくなるので……」
追記:幻想入りです