嫁の本体が厄災過ぎて星がヤバい   作:ちゅーに菌

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約32度目の初投稿です。





JENOVA

 

 

 

 

 

 星に衝突し、そのエネルギー――ライフストリームを食らい尽くす行為をひたすらに繰り返す宇宙生物、あるいは星の寄生虫。

 

 自身を倒せる程の強力な生物がいた場合は、適度に分離しつつ、現地住民に怪しまれない姿に化け、油断させたところでウィルスあるいは細胞を植え付けて滅ぼす。そのため、他人の記憶に合わせて自分の姿、声、言動を変化させる能力を持つが、これは言葉通りではなく、"過去の幻影を見せる"、"相手の記憶の中の人物に擬態してみせる"、"記憶の中の光景を幻覚にして再現する"等とおぞましいまでに応用が効く。

 

 また、本体から"分離した体"は本体からの指示が無い限り明確な意思を持たないが、本能的に本体のもとに帰ろうとする性質――"リユニオン"を持つ。この細胞を植え付けられた生物は、飛躍的に身体能力が上昇し場合によっては不老となるものの、精神力がないとジェノバに乗っ取られ"分離した体"と同じ状態になる。簡単に言えば"モンスター"と化すのだ。

 

 そんな特異過ぎる生態を持つ宇宙生物は、この星に飛来すると、この世界にいた古代種(セトラ)と呼ばれる古代人を絶滅寸前まで追いやったものの最後は敗れた。しかしその生命力は細胞一つ一つすら尋常ではなく殺しきることが出来ず地中深くに封印されたという。それが約2000年ほど前の話である。

 

 尚、この時に古代種の女性に化けていたために、後に神羅に発見された際、ガスト博士に古代種(セトラ)と勘違いされ"JENOVA《ジェノバ》"と名付けられる。要するに掘り出された当初は古代種の仮死状態の姿だと研究者たちに思われていた。

 

 そして、宇宙生物ジェノバを使った計画や実験の総称として、ジェノバ・プロジェクトが神羅カンパニーで行われる。

 

 当初のジェノバ・プロジェクトは、神羅カンパニー所属の科学者であり科学部門統括であったガスト博士が提唱し実行した、古代種の再生計画であり、2000年前の地層から見つかった仮死状態の生物を"ジェノバ"と名付けたガスト博士がその生物を古代種だと確認し、その細胞を使い古代種の能力を持った人間を作り出そうというもの。この時点ではジェノバは古代種だと思われていた証明でもある。

 

 また、当時神羅カンパニーは伝承における古代種たちの"約束の地"を単純に魔晄が潤沢な土地と考えており、それを古代種の能力を見つけ出そうと考えていたため、正式に承認され、主に魔晄炉一号機があるニブルヘイムで神羅屋敷を拠点に行われた。

 

 このプロジェクトに参加した科学者はガスト博士の他に宝条博士、ルクレツィア・クレシェント、ハイランダー、ジリアン等に加え、タークスも同行していたが、タークスについては研究にはあまり関係はないので忘れてよい。

 

 ジェノバ細胞を埋め込んだジリアンが出産する事でG細胞を持つ赤子が産まれ、ルクレツィアの胎内に宿った彼女と宝条の赤子にジェノバの細胞を移植することでS細胞を持つ赤子が産まれた。これらにより、特殊な能力を持った子供を作り上げることに成功するが、母体であるルクレツィアの心身に異常が生じたことを切っ掛けとして、数年後にジェノバは古代種ではないと気づいたガスト博士が神羅から逃亡、古代種再生計画としてのジェノバ・プロジェクトは破綻し凍結された。

 

 以後、ガスト博士が投げ出して放置された状態になってしまった再生計画の破綻や間違いであるジェノバやその研究成果であるセフィロス、本当の古代種捜索などは神羅の意向で後任に就任した宝条に引き継がれることとなる。

 

 また、その計画の成果や実験として、ジェノバ細胞をルーツに産まれた子供たちは普通の人間より強い力を持つことから、ジェノバ細胞を埋め込み魔晄を浴びせることで彼らの能力を再現した戦士――"ソルジャー"。ジェノバが持つ能力の一つとして分割した細胞が本体に戻ろうとする能力があるという仮説に基づき、ジェノバの能力の一つである精神侵食に耐えられない人間に意図的にジェノバ細胞を移植して、魔晄を浴びせることでリユニオンを行わせる目的の"セフィロス・コピー"計画等がある。

 

 他にもニブルヘイム魔晄炉で行われていた人間のモンスター化実験も、ジェノバが持つ能力の一つであるウィルス感染あるいは細胞による人間のモンスター化を再現していた。

 

 ちなみにその後の子供達――アンジールとジェネシスは消息不明。セフィロスは自身を人類に滅ぼされた古代種セトラの生き残りだと勘違いし、ジェノバを古代種かつ母と勘違いした彼は母を求めニブルヘイムの民を惨殺する。その時のいざこざで、チョコボ頭の一般兵に不意打ちを喰らい魔晄炉から落ちた後は、大空洞に流れ着く。そして、ライフストリームへ落ちたことでジェノバの正体、星の記憶、黒マテリア等を知り、メテオで星に致命傷を負わせ全ライフストリームを自分の物にし、星をも越える神となるべく動き出す。

 

 そのため、今のセフィロスは"神羅カンパニーの英雄的ソルジャー"でもなく、"人類に滅ぼされた古代種セトラの生き残り"でもなく、"星の支配者の座を狙う侵略生物ジェノバの分身"に過ぎない――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――と、言うことを私は思い出しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………………………。

………………………………。

…………………………。

……………………。

………………。

…………。

……やっべ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――要するに"私の本体が厄災過ぎて星がヤバい"という事を、ついさっきキッチンの戸棚に頭をぶつけた拍子に思い出したのです」

 

「ええ……」

 

 頭にタンコブを作り、保冷剤で冷やしている優しげな風貌の女性――"ジェノバ・コローレ"は長々と電波な事を真顔で言い終わった。その隣にいる銀髪で背が高く瞳が淡い緑色の女性――ヴェルデ・コローレは明らかに状況が飲み込めない様子で困惑の表情を浮かべている。

 

 そんな彼女の表情は真剣そのものであり、嫌でも真面目かつ嘘偽り無く話している事がわかり、ふざけて言っているわけでもなく、下手に茶化す事も出来ない雰囲気のため、ヴェルデは困惑しているのであろう。

 

 一旦、話の区切りが来たためか、ソファーでヴェルデの隣に座るジェノバは、ヴェルデの左腕に絡めている腕の力を少し強めると、よりそちらの方に体重を預けため、その体温と柔らかな感触がヴェルデに伝わったようで幾らかその表情が和らぐ。

 

 ちなみに彼女らのそれぞれの左手の薬指には、派手でない宝石の嵌まったシルバーリングをしており、このような様子でも仲睦まじげな雰囲気から二人の関係が同性の夫婦であることが予想できよう。

 

「それどころか、何故か私自身ジェノバから切り離された身体の一部だったということもさっぱり忘れて、完全に自分を人間だと思い込んでいたせいで、あなたと結婚して子供まで儲けてしまいました。見てください、この可愛い寝顔を」

 

「すぅ……すぅ……」

 

 大切な話があると言ってヴェルデと、今年で3歳になる二人の娘をソファーに呼び寄せたジェノバだったが、娘には難しい話だったようで、ヴェルデの膝と身体を座椅子代わりにしてすやすやと寝息を立てており、目蓋が閉じられているため、少女の特徴的な赤い瞳は見えなくなっていた。

 

 ヴェルデからすれば女性同士で過ごし、色々とすることをした結果、何故かジェノバが妊娠した事が一番不可解だと思われるが、それはもうそういうものだと彼女も割り切っているので、既に気にした様子はない。

 

 ジェノバは、起こしてしまわないように娘の銀髪を優しくゆっくりと撫で、口元に自然に溢れた笑みを浮かべる。

 

「ちなみに今の私の姿はガスト博士の嫁であり、純血の古代種の最後の生き残りだった――イファルナという女性にそのまま擬態しているので、そちらに色々と引っ張られています」

 

「そうなのか……」

 

 ジェノバは娘を撫でていない方の手の指で、自身の亜麻色の長く艶のある髪の毛先をくるくると弄る。その様子は、どこか気恥ずかしさと負い目を感じているようにも見えると、そこそこ長い付き合いをしているヴェルデは察していた。

 

「数年の思考レベルを人間まで落とした生活のせいで、芽生えてしまった人のような心。素敵な旦那様と、可愛い子供たち……」

 

 "たち"という言葉を強調したジェノバは自身の膨らんだお腹に手をやる。それは妊娠七ヶ月程まで膨らんでおり、ヴェルデは最近彼女が中でよく動いて蹴るという話を彼女の口から聞いていたことを思い出す。

 

 彼女は笑みを浮かべながらも困ったような顔をして眉を潜めると、口を尖らせて呟いた。

 

「お腹の子も含めて今では二児の母です。もう、星の寄生虫になんて戻れません。どうしてくれるんですか、幸せです、愛しています」

 

「ああ……私もだぞ」

 

「ふふっ、あなたは本当にイケボですね。だから誰にもあげませんよ?」

 

「イケボ……?」

 

 そんなことを呟きながらジェノバは両腕をヴェルデの左腕に絡め、より密着する。ヴェルデはジェノバの全身が触れる感触と、少し身体を震わせて左右にスリスリと擦られる妙な感覚でくすぐったさを覚え、気恥ずかしさと愛しさが溢れたのか、顔を少し赤くして若干居心地の悪そうな表情をしている。

 

「イケテる細胞――略してイケボです」

 

「…………そうなのか」

 

 どうやらジェノバの美的センスは非常に独特らしい。細胞レベルで良いという感覚は大多数の人間には理解し難いものであろう。

 

「それより……その……」

 

 すると何故かジェノバは頬を染めてもじもじと口ごもり始める。様子から考えるに珍しく余ほど恥ずかしい事らしい。

 

「最近の神羅とかの動きとか、ジェノバコピーっぽいものを見掛けたとか、そう言った情報をお持ちでは無いですかね? なんでもいいので知りたいのですけど……?」

 

「それは……ん?」

 

 ヴェルデはジェノバがついさっき、他人の記憶に合わせて自分の姿、声、言動を変化させる能力を持つが、これは言葉通りではなく、"過去の幻影を見せる"、"相手の記憶の中の人物に擬態してみせる"、"記憶の中の光景を幻覚にして再現する"等とおぞましいまでに応用が効くという大変凄まじい能力の説明をしていた事を思い出した。

 

 それを信じるのならば、ジェノバにヴェルデが持つ記憶は筒抜けでなければ可笑しいのである。ならば能力を使って最初から読み取れば手間ではないのではないかとヴェルデは疑問を投げ掛ける。

 

「――はぅ……!?」

 

 するとジェノバはやっぱり言われるかと言わんばかりの表情になり、ぷるぷると震えて顔を赤くする。そして、やはり気恥ずかしいのか態度が明らかに妙であった。

 

 しかし、何故かすがるような視線をヴェルデに向けながら、意を決した様子で彼女はポツリポツリと呟く。

 

「その……私、記憶は戻ったんですけど……。力の方は何故か全然でして……正直――今のままではその辺のモンスターにも下手すれば倒されちゃうと思います」

 

「………………はい?」

 

 ヴェルデは思わず呆けた声を上げてしまった。何せ、それまで何れ程ジェノバという存在が強大で、星への悪意の塊のような存在であるのかを丁寧に説明されたためである。これでは説得力の欠片も無くなってしまうだろう。

 

「み、見た目相応の能力しかないんですよ……。お陰で擬態どころか、擬態の解除すら出来ないので非常に困っているんです……!」

 

 するとジェノバはすがるように――ではなく実際にヴェルデにすがりついた。プルプルと身を震わせ、両目の端にはうっすらと涙を浮かべ、これから捨てられると言わんばかりの様子だ。

 

「お願いします! 捨てないでください! な、なんでもしますから……!! わ、私、こんな風になってしまったせいで、帰ることが(リユニオン)出来ないどころか、本体どころか、一部やジェノバコピーに見つかれば異物扱いで即貪食対象になるんですよぉぉぉ!?」

 

「……ああ、もう後がないのか。現金なのは変わってないなぁ」

 

 ジェノバはガクガクとヴェルデの肩を揺すり、されるがままにしているヴェルデは"フフフ……"となんとも言えない笑みを浮かべていた。どうやら、記憶が戻ってもジェノバの性格は以前と大差無いらしい。

 

 するとヴェルデの笑みは苦笑いに変わり、視線を自身の左側にいるジェノバから右側に向ける。そこには目新しいモノは何もいないが、それ以上に殺風景であった。というのも本来人体にあるべきもの――"右腕"が肘関節部分の先から離断していたのである。

 

「捨てるなんてとんでもないし、むしろ捨てられそうなのはこっちだ。今さらこんな隠居済みの神羅カンパニーの壊れた玩具が出来ることなんて多くはないぞ?」

 

「そ、それでも記憶によれば……"元ソルジャー"なんですよね!? クソうっ……!? 記憶の無い頃の私、あなたに関すること遠慮して全然聞いてねー!? クラスは!?」

 

 ジェノバの問いにヴェルデは少しだけ困り顔になると、何か言いにくい事でもあるのか暫く考え込んでから口を開いた。

 

「あー、一応は1st……になるのかな……? いや、でも正規の連中じゃないから余りクラスは宛にしないでくれ」

 

「大丈夫です! 私はあなたを信じていますから!」

 

 そう言うとジェノバは決意に満ち溢れた表情になると共に、ヴェルデの片手を取り、気合いを入れるように鼻を鳴らす。

 

 

「さあ! 愛する妻のためにいっぱい経験値を稼いでください! モンスターとか、ジェノバコピーとかを"食べる(はみはみ)"するとより早く私の力を取り戻せると思うのでジャンジャンお願いします!」

 

 

 "経験値ってなんだ……"等とヴェルデは思いながら窓の外に見える夜空を一瞥すると、夜空の中をデフォルメにされたUFOのようなものがモアイ像をアブダクションしている姿が見えたが、ヴェルデは突拍子もない出来事の連続で疲れているせいだろうと視線をジェノバに戻す。

 

「……ほ、本当に助けてくださいね? ついでに世界も頑張って救いますから……」

 

 ヴェルデは急に不安げになり始めたジェノバに微笑ましいものを見るような視線を向けつつ、例え彼女が何であろうと自身の伴侶のために再び武器を取る決意をするのであった。

 

 

 

 

 







小説投稿初心者です(ホモは白痴)



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