嫁の本体が厄災過ぎて星がヤバい   作:ちゅーに菌

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似たようなタイトルでジェノバを扱った小説を書いていた奴が居たような気がしますが初投稿です。





コローレ

 

 

 

 

 

「ただい――マッ!?」

 

「ひとでなしー!!」

 

 ヴェルデが謎の女忍者の討伐ミッションを終えて、一般的な朝の時間帯に自宅へと帰り、玄関の扉を開けた瞬間にイファルナ――の姿をしている妻のジェノバにより物理法則に喧嘩を売るような角度と勢いのドロップキックが炸裂し、女性ではかなり大柄な体格のヴェルデを吹き飛ばした。

 

「ふっ……おォ!? あ、あぶねぇ、破水する……」

 

「本当に危ないから止めてくれ……」

 

  玄関の上がり(かまち)付近で大の字になって伏せるヴェルデは、ドロップキック後に空中で受け身を取って着地してお腹を擦っているジェノバにそう言う。当然の話である。

 

「へっ! なんですか!? 朝から他の女の匂いなんて付けてきやがりまして! 人間だと思っていたが、実は人間では無いことに気づかされる展開で精神的に弱っている王道人外ヒロインな妊婦の妻を置いて、二回り以上も歳の離れたニーソー忍者娘と逢い引きとは、どんだけやり逃げダイナミックなんですかぁ!? ああ゛ん!?」

 

「あれが逢い引きに見えるのなら、君との関係は奇跡の更に奇跡かもしれないな……」

 

「いやん……も、もう!」

 

 ちなみにジェノバは頬を染めて嬉しげにくねくねと身体をくねらせているが、ヴェルデの言葉は遠回しなただの皮肉なのため、知らぬが仏あるいは恋は盲目と言ったところであろう。

 

 ちなみに飛行を終えて、意外にも辛うじて女子力を保ちきったユフィは大の字に転がり、目を回してピクピクと痙攣するばかりだったので、寝ゲロで死なないように十字手裏剣とユフィの籠手を枕にし、その昔にロケット村で買ったが大して使い途の無かった"フルケア"のマテリアを備えてから軽トラで帰って来た。アフターサービスまでバッチリな空の旅である。尤もMP量的にユフィはフルケアを一度も使えないが。

 

「――ってちがーう!? 昨日の今日だから捨てらたかと本気で思ったじゃないですかぁ!? うぅぅ……」

 

「あ、ああ……悪かった」

 

 立ち上がったヴェルデに抱き着いたジェノバは、ぷるぷると身を震わせており、本当に怖かったという様子がありありと伝わってくる。それを素直に言えないところが彼女らしいな等と彼は申し訳ない気持ちになっていた。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

「それでは早速、作戦会議を始めましょう!」

 

 ジェノバに連れられてリビングに向かうと、そこには"打倒本体!"と大きく文字が書かれたホワイトボードが設置されており、それを彼女はバシバシとたたきつつそう宣言する。

 

「とりあえず、ややこしいので便宜上、本体の方をJENOVA。私をジェノバと呼びましょう」

 

「言葉は同じなのだが……」

 

「発音が違います。私の方を可愛くキュートに呼んでください」

 

 "JENOVA"と"ジェノバ"とホワイトボードに書いて見せるジェノバをヴェルデは見つつ、それを言うならばジェノバというより"じぇのば"ぐらいが適切なのではないかと思ったが、それを口に出すことは無かった。

 

 互いになんだかんだ両想いのため、始末に終えないバカップルなのである。

 

「努力目標は本体をボッコボコにして逆にリユニオンしてしまい、私がジェノバ完全体になること! まあ、アレらをこの星から残らず叩き出すか抹消出来れば贅沢は言いません」

 

「ふむ……つまり勝算があるのだな?」

 

「え……?」

 

 期待を込めた視線でヴェルデはジェノバを見つめた。

 

 ヴェルデはそこそこ神羅に浸かった元ソルジャーであり、ジェノバについて知らないという訳ではないかったが、先日に教えられた情報ぐらいしか詳しくは知らないと言うのもまた事実であったのだ。

 

「えーと……あなたは何か神羅からこうJENOVAについて何かしらの情報を聞かされたりしていません?」

 

「……? 研究者は実験用ラットにイチイチ実験の説明はしないだろう? 生憎、私は神羅のオモチャでなかった時代の方が少ないならな。まあ、そもそもソルジャーの扱いなんて、あの会社にとっては広告塔と戦争の道具以外ではその程度だ。悪いが君に教えられたこと以上の情報は知らない……もしくは私では判断がつかないかな?」

 

「あっ……」

 

 何か察したように声を上げるジェノバ。そして、暫く二人の間で間が空いた後、ぷるぷると震えつつジェノバは口を開く。

 

「ど……」

 

「ど?」

 

「どうやって倒せばいいんですか……あんな化け物……?」

 

「ただ斬って死ぬなら楽なんだがな」

 

 ジェノバから教えられた情報や自身の経験から考えると、JENOVAという星の寄生虫のしぶとさは、想像を絶するなどというレベルではないだろう。ある種、人間の概念の外の生き物等と例えてもいいかもしれない。

 

「あの私が知る限りでも最悪レベルで、イカれポンチの戦闘民族の古代種(セトラ)ですら封印するしか出来なかったような異次元の化け物ですよ!?」

 

「古代種ってそんなに極まった実力を持つ人種だったのか?」

 

「そもそもマテリアと言うものは、何処の星でもライフストリームや魔晄が凝縮され結晶化したものですが、ただの魔法や技を行使させる物ではなく、それ自体は結果に過ぎないのです。言わば星の知識――あるいはそれに忌々しいほど精通した古代種の知識そのものが凝縮されたなまらすげぇモノなんですよ!」

 

「なまら……?」

 

 ヴェルデの細やかな呟きを無視しつつ、"まあ、人工マテリアはその限りではありませんけど"と言ってジェノバは更に言葉を続ける。

 

「――で、そのマテリアですけれど。戦闘の知識ばっかりでしょう? と言うのも古代種共と来たら……それはそれは(ジェノバ)が来る前から戦争だの戦争だの血腥(ちなまぐさ)い事ばっかりをやっていた生粋のキチガイ種族だったんですよ。というか、そうじゃなければ(JENOVA)がわざわざ擬態して滅ぼそうとはしません」

 

「ああ……なるほど。なんだか古代種のイメージが壊れたな……」

 

 ジェノバの話をこれまで聞いて、ヴェルデの頭にあった古代種のイメージは、たおやかで星と共に生きる巫女のような清楚な印象であったが、実際のところは7つの龍珠を集めるお話の野菜惑星の野菜星人並みの種族だったらしい。

 

 ついでに古代種には寿命も存在しない上、マテリアからわかる通りバリバリの物理攻撃主体の武闘派も多数存在していたらしく、JENOVAでさえマトモに正面から殺り合うのを諦めるに至ったとのことである。

 

 まあ、JENOVAのやり口は初手に惑星に対して乗って来た惑星を衝突させるため、それをホーリーで防げていた時点で既に色々とブッ飛んだ種族であることは間違いないであろう。

 

「………………うわぁ、そう言えば"原作厨(フューラー)"と殺り合うことは想定していましたが、最悪"ミネルヴァ"とかち合うハメになるかも知れないですよねぇ……いやだぁ……」

 

 ジェノバはブツブツと独り言を言っており、その内容はヴェルデにはさっぱりわからないが何かしら大切は事と見える。

 

「というか、神羅の内情やJENOVA細胞の動向についてはどこまで君は覚えているんだ?」

 

「それが全然なんですよ……。前に話した内容以外はまるで"ぶっ壊された"みたいに記憶がぐしゃぐしゃになっていると言いますか……思い出すのも諦めるレベルなんですよねぇ」

 

「……………………ああ」

 

 困り顔のジェノバのそんな呟きに対し、ヴェルデはばつの悪そうな表情をしつつ小さく声を上げる。明らかにそれについて何か知っている様子のヴェルデは口を開こうとし――。

 

「ストップ! さっきはああ言いましたが、やっぱり言わないでください!」

 

「…………いいのか? JENOVAは兎も角、君がそうなった経緯について私は知っているぞ?」

 

 どうやらJENOVAについて知らなくはないというところは本当の事らしい。ヴェルデを見るに取り繕ってはいるが、余り話したくはないような素振りがほんの少しだけ見えており、それを感じ取ったジェノバが気を使わせたのだろう。

 

「ええ、折角ですもの。覚えてないし、能力もままならない私がいけないんです。だったら力を取り戻して、あなたの記憶を覗いて知りたいと思うんです。我が儘でごめんなさい」

 

「いや、君がそうしたいならそれでもいい。別に私の過去なんて掘り返しても面白いものや、大して重要な事もないからな」

 

 そう言うヴェルデは小さく笑って見せたが、その表情は何処か遠く深く暗い何かを見つめているようで、少しだけ無理をしているようにも見える。

 

 

「……おはよー」

 

 

 そんな時、パジャマ姿でナイトキャップを被り、デフォルメされたモルボルのぬいぐるみを抱いた銀髪で"赤目"の少女――二人の娘である"ビナー"がリビングに入って来た。

 

 そして、ビナーはタグに"キャロットちゃん"とマジックで書かれているモルボルのぬいぐるみをソファーに乗せ、ブランケット掛けて寝せるようにしてから嬉しげにジェノバに駆け寄る。

 

(かあ)さん!」

 

「はい、おはようございます」

 

 それを終えるとビナーは隣のヴェルデに向き、何かを求めるように手を広げた。

 

「ママ! だっこ!」

 

「ああ、おはようビナー」

 

 その通りと言えばその通りなのだが、どうやらヴェルデが父親と言うわけではないようだ。母さんとママを使い分けている辺り、この家庭の複雑さが伺える。

 

 ヴェルデは軽々とビナーを抱え上げ、未だに小さな2~3歳程の少女は簡単に彼女の片腕の中に収まった。

 

「ママおはなしー?」

 

「んー? 大した事じゃないよ。ちょっとだけ昔の話さ。ママのな」

 

「むかし……?」

 

 ヴェルデは子に向けるような優しげな薄笑いと表情をしており、確かに母だということがわかるであろう。

 

 するとビナーはクリクリとした赤い目でヴェルデの顔をじっと見た後、ニコリと子供らしい笑みを浮かべると大きく口を開く。

 

「みどり!」

 

「ああ、ヴェルデという私の名前の意味は"緑"だな。ふふ、ジェノバにでも聞いたのか? よく知ってい――」

 

づぃーがー(ヅィーガー)う゛ぇるで(ヴェルデ)!」

 

「――――――――!?」

 

「え……ヅィーガー? 確か勝者という意味でしたよね? 後、たぶん私は教えてないと思います」

 

 何故か兵隊式の敬礼をするように、稚拙ながら手を動かしつつ、ビナーはそんな言葉を放つ。

 

 それを聞いたヴェルデの笑みはビシリと固まり、目を大きく見開いてビナーを眺める。そして、そんな彼女の脳裏にはJENOVAについてのある事柄が浮かぶ。

 

 JENOVAは他人の記憶に合わせて自分の姿、声、言動を変化させる能力を持つが、これは言葉通りではなく、"過去の幻影を見せる"、"相手の記憶の中の人物に擬態してみせる"、"記憶の中の光景を幻覚にして再現する"等応用が効く――すなわち、ジェノバの半分の血を引くビナーが、記憶を読み取る能力程度ならば備わっていても何ら不思議ではないのだ。

 

 思えば、言葉が話せるようになってから妙に察しの良い子ではあったとヴェルデが思い返していると、ビナーはまた嬉しげに花が咲くような笑みを浮かべながら、可愛らしく大声で叫んだ。

 

 

 

「"つう゛ぃえーと(ツヴィエート)"!!」

 

 

 

 ツヴィエート――まだ言葉も覚束無い幼児が知る言葉でもなければ、ヴェルデがこれまでにそれを家族に話した事もない。

 

 それは神羅カンパニーのプレジデント神羅が主導の元、ディープグラウンドで作られたソルジャーたちの中でも、ほんの一握りを指す言葉である。

 

 元はソルジャーの医療施設であったソルジャーの研究施設ディープグラウンドの産物であり、そこではあらゆる倫理が無視され、様々な人体実験が行われていた。そこで生み出されたソルジャーはディープグラウンドソルジャー あるいはDGソルジャーと呼ばれ、ディープグラウンドはミットガルの地下に封印されるようにして存在しているのだ。

 

 ツヴィエートとはそんなディープグラウンドの中でも選りすぐりのエリートソルジャー達のこと。ディープグラウンドの中でも飛び抜けた戦闘や諜報の能力を有している者たちに付けられる称号であり、"純白の帝王ヴァイス"、"漆黒の闇ネロ"、"朱のロッソ"、"蒼きアスール"、"無式のシェルク"等が存在する。

 

 そして、ツヴィエートにはヴェルデらの苗字のコローレと同じく"色"という意味がある。ヴァイスは白、ネロは黒、ロッソは朱、アスールは蒼、シェルクはオレンジをそれぞれ意味し――ヴェルデは"緑"を意味するのだ。

 

 要するにこのヴェルデというソルジャーは、片腕を失う前は新羅の実験体かつ桁違いに強いソルジャーだったという事である。

 

 

「ふふ……ビナーは賢いなぁ」

 

「えへへー!」

 

「ぐぬぬ……こうなれば意地です! 私も直ぐに力を取り戻して見ちゃいますからね!?」

 

 家族には隠し事は出来ないと悟ったヴェルデは、観念したように表情を緩めながらビナーを撫でつつも、自身の娘に対抗心を燃やし始めているジェノバを見て、何とも言えない気分に浸るのであった。

 

 

 

 






感想や評価お待ちしてます(ダイレクト乞食)



~登場人物~

ヴェルデ・コローレ
 20代半ばに見える隻腕の女性。緑色の瞳をしており、かつて神羅カンパニーのソルジャーであった事が伺える。あまり自身の事は語らないが、特に何かを隠している訳でもない。元ツヴィエートであり、どのようにしてディープグラウンドを脱出し、ウータイまで落ち延びたのかは今のところ不明。


ジェノバ・SETTLER (セトラ)
 本名はジェノバ・コローレ。入植者を意味する名を持つジェノバ。ジェノバから切り離された身体の僅か一部に過ぎないが、それが奇跡のような出会いを経て、記憶喪失のために人間だと思い込んだまま、平凡な人間らしい生活と家族を手にした。そのため、本来は存在しない筈の自我と心が芽生え、人間レベルまで堕ちてしまった愚かな宇宙生物の欠片。
 伴侶と子――そして己の生きる明日の星のために、古代種が出来なかったオリジナルの完全な毀滅のために行動する。
 蛇足だが、彼女が仮に本体とリユニオンした場合、無論"個"など不要なため抹消される上、それ以前に不純物と見なされてあらゆるジェノバコピーから攻撃を受けるため、一切後がない。

 通常のキャラクターとは違い、レベルアップはモンスターを普通に倒した経験値では行えず、コマンドの"たべる"でモンスターを捕食したときのみ、ジェノバにだけ経験値が入る。たべる対象によって、青魔法の習得や、一部のパラメーターが上昇する事もある。また、ジェノバをパーティーに入れているときのみ、敵からドロップするアイテムが多数存在し、それをメニューで使用する事で青魔法を覚え、戦闘の調合コマンドでアイテムを消費して効果を使用する事も可能。


ビナー・コローレ
 ヴェルデとジェノバの娘。半ソルジャー半ジェノバであり、成長する毎にJENOVAとしての機能を獲得していくSCP染みた超危険生物。両親が大好きで、モルボルのぬいぐるみのキャロットちゃんがお気に入り。


スーちゃん
 ヴェルデの騎鳥。キャンディーズでも自称美人錬金術師姉妹の妹の方でもない。FF7ではニブル山の吊り橋か闘技場にしか棲息しないため、地味にレアモンスターなズーの変異種あるいは王個体と思われるモノ。性別は雌。全長が30~40mに及ぶ大怪鳥であり、その巨体から繰り出される"大旋風"は基本威力が105かつ全体攻撃になっているため異様に強力。"エアロ"、"エアロラ"、"エアロガ"、"ミールストーム"、"ブレスウィング"、"ソニックストーム"、"チキンウィング"、"ふっとべフェニックスの尾"、"地上はばたき攻撃"、"急降下攻撃"、"連続踏みつけ"、"食いつき"等の行動に加え、"飲み込む"でパーティーメンバーの離脱もやって来るため、かなりのクソボス。
 ちなみにズーだと可愛くないからスーらしい。無論、名付け親はヴェルデ。





~QAコーナー~

Q:このジェノバさんってどれぐらい虚弱なの? fateで例えて。

A:Fate/EXTRAの初期キャス狐が、天照大御神をどうにかぶち殺そうと足掻いている感じ。


Q:ヴェルデは女版セフィロスみたいな見た目?

A:どっちかと言えばヴァルキュリア人(戦場のヴァルキュリア)みたいな見た目。セルベリア大佐みたいなイメージ。


Q:なんでジェノバは時々ネタ発言をするの? ニャル子さんの親戚なの?

A:JENOVAさんがこれまでに食べた星の中に太陽系第三惑星があるため、知識として全て入っているから。俺らはジェノバさんの中で永遠に生き続けるのだ。ママー!


Q:ダージュ(ダージュオブケルベロス)の設定まで使うのか……。

A:廃材アート。



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