―――アミューズエリア。
あの後、琴里と合流した俺は、琴里に着替えてアミューズエリアに来るように言った。
せっかく、アトラクションもあるのにもったいないからな。
それに、最初で最後のデートになるかもしれないしな。
お、向こうから琴里が来たようだ。
「よし、琴里。フリーフォールに乗るぞ」
「はぁ……わかったわよ」
いやいや……かもしれないが、同意してくれた。
☆☆☆
「なかなかだったな。琴里、次は何に乗る?」
巨大フリーフォールを堪能した俺は、琴里の手を引いたまま歩き出す。
「ちょ……ちょっと待ちなさいよ」
髪が乱れに乱れた琴里が声を挙げながら足を踏ん張る。
「なんだ?どうかしたか?」
「どうかしたかじゃないわよ……っ!!ちゃんと説明しなさい、説明を!!」
まったく何興奮してるんだが。
まぁ着替えを終えて出てきた琴里を有無を言わさずに絶叫マシンに乗せたらこうもなるか。
「説明?さっきしなかったっけ。せっかくアトラクションもあるんだ、楽しまなきゃ損だろう」
「た、確かにそうね……」
どうやら納得してくれたようだ。
琴里のことだから合理性とかも考えたんだろうけど。
「まぁそんなことより、次はあれに乗るか」
「そうなこと!?そんなことで片付けられるかっ!!」
ぐちぐちやっていてもしょうがないので、手を引いて連れて行く。
次はジェットコースターだぜ。
その次はゴーカート。
次から次へと乗り物になっていく。
「はふぅ……っ」
そんな息を吐いて、琴里がベンチの上に身体を投げだした。
確かに疲れただろうな。
なんせ、アミューズエリアのアトラクションを制覇しそうな勢いだもんな。
とにかく遊んで遊んで遊びまくった。
「あー……正直舐めてた。結構楽しいわ」
「ふん、子供なんだから。高校卒業までにはおしめが取れるといいわね」
「スプラッシュコースターではしゃでいたのは誰だっけ?」
「な、なんですって!?」
琴里は不満げに声を上げたが、すぐにはぁ、と息を吐いて姿勢を元にもどした。
「ふん……いいわ、疲れたし。それに……まぁ、つまらなくはなかったし」
「そりゃよかった」
うーん、楽しんでもらってよかった。
「しかし……遊園地なんて来たのはいつ以来だ?」
「五年前よ」
「ほぇ?」
即座に琴里が答えたので、素っ頓狂な声が出てしまった。
琴里は一瞬ハッとした声を作ったが、もう遅い。
言ってしまったものはしょうがないといった調子で、言葉を続けてきた。
「家族みんなで遊園地に行ったのは、五年前が最後。それからは一度も行ってないわ」
「五年前ねぇ……」
さすがに疑いたくなる。
五年間一度も遊園地に来ていない。
さすがにおかしくないか?
一度くらい来てもいいだろうに。
確か両親は二人そろって大手のエレクトロニクス企業に勤めている。
気になるな……
もしかしてDEM社じゃないだろうな……
あと気になるのがもう一つ。
本当に琴里の意思で折紙の両親を殺したのかだ。
俺の予想ではまずありえない。
精霊の力が制御不能になったのだろう。
だが、聞かないと真実は分らない。
「―――琴里」
「え、あの、その……もしかして」
「琴里」
「ふぁ、ふぁい……っ!!」
もう一度名前を呼ぶと、間の抜けた声を返してきた。
「や、刃……?その、せ、せめてもう少し、ひとけのない場所に行かない?」
「なんで?」
「な、なんでって……」
琴里が、辺りを見回すように首を動かす。
確かに周りには数名の人が確認できるが、話が聞こえるような距離ではない。
そこまで気にすることではないと思うのだが。
「ここでいいだろう」
「っ……!!」
琴里がさらに赤い顔をさらに赤くして、声にならない叫びを上げた。
「あのな、琴里」
「……!!な、なに……?」
「訊きたいことがあるんだけど」
「き、キスしたいとかそんなはっきり……て、え?」
「む?」
俺と琴里はキョトンと目を見合わせる。
「今なんと?」
「う、うるさい!!気にするなっ!!何よ!!訊きたいことって。早く言いなさいよ!!」
「お、おぅ……」
なんだっていうんだ……
なんてね。
わはは、おもしろい反応だ。
「あのさ、琴里。五年前―――」
言いかけた瞬間だった。
周りの音が遠くなる。
これは……ASTの随意領域か?
次いで、上方から琴里のいる場所に、ミサイルが落ちてきた。
させねぇよ。
『万華鏡写輪眼』を開眼する。
「―――天照」
随意領域を黒炎で燃やし破る。
そして琴里の前に立つ。
後ろから何か聞こえるがこの際は無視だ。
そして、
「―――須佐能乎」
琴里ごと包み、完全にミサイルを無力化する。
そして、後ろに振り返る。
「無事か?琴里」
「おかげさまでね……その眼、それに何なのこれ?」
須佐能乎を見上げて、不思議そうな声を出す琴里。
その身には、霊装を纏っていた。
もうこの眼についても説明しておくか。
「この眼は『万華鏡写輪眼』。魔眼とでも思っとけ。この俺たちを守っているのは須佐能乎。『万華鏡写輪眼』の能力の一つだ」
「そう……わかったわ」
頭に手を当てながら返事をしてきた。
さて、こんなふざけたことをしてくれたのは誰かな?
まぁだいたい予想はつくけど。
「―――刃。ここは危険。離れていて」
「ハッ!!誰にモノ言ってんだ折紙ィ!!」
ワイヤリングスーツにCR-ユニットを身に纏った折紙が襲撃者だ。
だが、装備は若干―――いや、かなりゴツゴツしていた。
身体を包み込むような形をしている、巨大なユニットだ。
背にはいくつものミサイルポッドやコンテナらしきパーツがずらりと備え付けられている。
そこから伸びた両腕パーツからは、長大な光の刃を顕現させた大型レイザーブレイドが、そしてその外側には戦艦の主砲のような巨大な砲門が二門ある。
まるで武器庫のようだ。
「「「「「う―――わぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁッ!?」」」」」
一拍おいてやっと、しゅういの 客が異常事態に気付いたらしい。
危機察知能力が低すぎだろ。
「折紙ィ、おまえ今何したかわかってんのかァ?」
少しキレ気味に問う。
「―――五河琴里を殺そうとした」
「ククク……アッハハハハハァ!!」
「ちょっと、刃……?」
琴里が心配そうに俺に声をかけてくる。
俺からしてみれば琴里の容体の方が心配なんだが。
「ちょっと待ってろ。さくっと折紙潰してからキスしに来るから」
「ちょ、き、キスって!?」
琴里にそう言い、折紙と向き直る。
「さて、そういうわけだから。ちょっと力出すけどいいよね?答えは聞いてないけどォ」
須佐能乎を解き、そのまま『万華鏡写輪眼』も解く。
「さぁ、朱蓮!!久しぶりの出番だぞ!!」
『お?やっとかい!!まってたぜ!!』
朱蓮が俺の呼びかけに反応する。
「―――禁手」
『Welsh Dragon Balance Breaker!!!!!』
久しぶりだ。
この世界に来ては初めての禁手だ。
「『赤龍帝の龍刀』の禁手だ。手加減は難しい。精々死ぬなよ」
さぁ、楽しい楽しい調教(デート)の始まりだ。
すいません今回は短めです。
次回はものすごく長くなる予定です。
といっても、一万文字以内ですが。