デート・ア・ライブ~二天龍を従えし者~   作:眠らずの夜想曲

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第2話~大浴場?・・・大欲情~

無事に資料館に着いた。

無事と言えるかはわからないが……

 

だが、一つ問題ができた。

 

 

「どうだ刃。夕弦などより我の方が魅力的であろ?我を選んだならば、我の身体の好きな場所に契約の口づけをさせてやるぞ?」

「誘惑。夕弦を選んでください。いいことをしてあげます。もうすんごいです。耶倶矢なんて目じゃありません」

 

 

左右それぞれに、夕弦と耶倶矢が来禅高校の制服を着て、俺の身体に触れながら誘惑してくるんです。

 

あの後、魅力に関しての勝敗が決まってない、と言いだして、俺がその判断材料になったわけだ。

そう決めたあとも、ぐちぐち揉めていたが、俺と十香は晴れ渡った空をみて和んでいた。

 

そして、今一番キツイのが、クラスメートからの視線だ。

 

 

「い、五河くん?その左右の女の子たちはどちら様?見たことないけど……」

「え?現地の子ナンパしてコスプレイ?五河くん女子の制服持ち歩いてんの?」

「いいバイト考え付いたぞ五河。『一分一〇〇〇円で殴り放題』って看板掲げて学校中を練り歩くんだ。きっとすぐに家が建つ」

 

 

最初の一人はいいだろう。

二人目からぶん殴ってやろうか。

 

霊装のままではまずいから、俺が女子用の制服を創造して、それを着させただけだ。

何?サイズ?

俺をなめるな。

そのくらいは余裕だ。

 

 

「はぁ……うるさいぞ、おまえら。この二人は転入生だ。ほら、令音が説明してくれるぞ」

 

 

そう言いながら令音を指さす。

クラスメートが指の先に目をやる。

 

 

「……あぁ、待っていたよ。転入生の八舞耶倶矢に八舞夕弦……だね」

 

 

ゆらゆらと頭をゆらしているが大丈夫なのか?

 

 

「……本来なら休み明けに転入してくるはずだったのだが……是非修学旅行に参加したいというものでね、現地で合流する手はずになっていたんだ。先ほど空港に到着したと連絡があったので、彼らに迎えに行ってもらっていたのさ」

 

 

そんな令音の言葉に、その隣に立っていたタマちゃんがキョトンと目を丸くした。

 

 

「え?て、転入生?村雨先生、私そんなの聞いていないんですけど……」

「……急な話でしたから、きっと連絡が間にあわなかったのでしょう」

「は、はぁ……」

 

 

それでいいのかタマちゃんよ……

簡単に納得しすぎでしょ。

 

 

「……転入生の二人とヤイバは少し話があるから来たまえ」

「わかった。行くぞ二人とも……つか、あまりくっつくな、歩きにくい」

 

 

さっきからべたべたくっついてきたうっとおしい。

そういうのはもう十分経験したからいいんだ。

いいんだよ……

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

令音に案内されて資料館奥の事務室に来た。

 

ソファがあるので座る。

その座る動作をするときも夕弦と耶倶矢がくっついている。

 

そして、俺に囁き始めた

 

 

「さぁ刃。貴様はただ、我を選べばよい。この八舞耶倶矢に忠誠を誓い、その身、ここまで捧げると言えばそれでよいのだ」

「否定。耶倶矢を選んでも何も良いことはありません。是非夕弦に清き一票を」

 

 

どうやら令音なんて眼中にないようだ。

二人とも俺の耳元に息を吹きかける。

 

 

「……厄介なことになったようだね」

「まったくだ……」

 

 

本当に厄介だ。

 

 

「くく……むしろ役得であろう?貴様如きの人間が、僅かな間とはいえこの我の寵愛を受けられるのだ。幸福に噎び泣きこそすれ、嘆く必要などあるまい」

「懐疑。夕弦ならまだしも、耶倶矢に言い寄られて喜ぶ男性がいるのでしょうか」

「ふ、ふん……いくら斯様な挑発をしようと無駄だぞ。全ては決闘の決着を見れば明らかになる。さぁ刃よ、言うがよい。私と夕弦、どちらが女として魅力的だ?」

「質問。夕弦とへなちょこ耶倶矢。どちらが可愛いですか」

 

 

二人のボディタッチが激しくなる。

夕弦なんて胸を押し当ててくる。

役得役得ぅ!!

 

 

「待て、なんだその微妙に貶した感じは!!」

「無視。べちょ耶倶矢より夕弦の方が」

「何悪化させてんの!?」

 

 

言い合いながら、迫ってくる。

 

 

「一ついいか?さっきから決闘と言っているが……なんで戦っているんだ?」

 

 

俺が問うと、耶倶矢が大仰にあごを上にやった。

 

 

「言っていなかったか。―――我らは、もともと八舞という一人の精霊だったのだ」

「首肯。ですが、幾度かの現界のときか、八舞は二つに分かれてしまったのです」

「へぇ……」

 

 

納得。

双子みたいにそっくりだしな。

言っちゃ悪いが、クローンと言われても……いや、胸のサイズが違うからないな。

 

でも分裂か……

融合じゃないんだな。

 

 

「なんでそんなことになったんだ?」

「それを知るのは天に座する運命の女神よ。ふん、性悪な彼の女神は随分と退屈と倦怠に苛まれているようだ。時折、道理も条理も通らぬデタラメな賽の目を好むことがある」

「何言ってんだこいつ」

「要約。よくわからない、と耶倶矢は言っています」

「なるほど」

「情緒がないぞ」

 

 

夕弦の説明のが簡潔で分かりやすくていい。

 

 

「そして二つに分かれた我らは、互いの顔を見るなり、その身に、血に刻まれた運命と氏名に気づいたのだ。そう―――真なる精霊・八舞は、この世に一人の実であると!!」

「説明。二つに分かれた夕弦たちですが、やがて一つに戻ることがわかったのです」

「わかったとは?」

「捕捉。『知っていた』という方が正しいでしょうか。夕弦たちは、存在が分かれた瞬間から、自分たちの身体がどうなるかを理解していたの出す」

 

 

夕弦が頭を指してから、続ける。

 

 

「解説。しかしもう、本来の八舞の人格は失われてしまっています。つまりその際、八舞の主人格となれるのはどちらか片方のみなのです」

「あぁ、なるほど。それで決闘ね」

 

 

納得がいった。

でもなぜ二人で生きていこうとは考えないのかが不思議だ。

使命を破り、生きていこうとは思わなかったのか?

 

 

「はぁ……わかった。善処しよう」

 

 

それだけ言って、令音の方に視線を向ける。

だが、令音はこちらに気づいていないようだ。

椅子に腰かけ小型端末をいじっている。

表情は難しげだ。

 

 

「……やはり、駄目か」

「どうした?」

 

 

俺が訊くと、令音は小さくうなずいてから顔を向けてきた。

 

 

「……あぁ、〈フラクシナス〉との通信が途絶えているんだ」

「ジャミングだ。引率カメラマンのエレンだったけか?あいつはDEMのところの奴だ」

「……何だって?」

「カメラマンのエレンはDEMの社員。しかも世界最強の魔術師だ。CR-ユニットは〈ペンドラゴン〉だったけかな?」

「……そうか。何故知っている、という疑問は置いておこう。通信は望めないね」

「あぁ……すべて盗聴されている可能性がある」

 

 

やっかいだ。

DEMはやっかいすぎ。

 

令音は携帯端末を閉じ、椅子から立ち上がる。

そして、俺に迫る耶倶矢と夕弦をジッ見つめて、静かに唇を動かした。

 

 

「……耶倶矢と夕弦、と言ったね。君たちは、己が真の精霊・八舞となるため、ヤイバを取り合って勝負をしている、……間違いないね?」

 

 

令音がそう言うと、耶倶矢と夕弦が目を令音に向けた。

 

 

「あぁ、その通りだ。見物は構わぬが、邪魔立てをしようというのなら容赦はせぬぞ?」

「質問。あなたは?」

「……学校の先生さ」

 

 

誤魔化したな、令音め。

そして、くるりと踵を返した。

 

 

「……刃、君は適当に暇をつぶしていたまえ。―――耶倶矢、夕弦。君たちに少し話がある。ついてきてくれ」

「くく……何を言うかと思えば。何故この我が、人間風情の言葉に従わなければならぬのだ」

「拒否。夕弦は刃と一緒にいます」

 

 

二人とも頑固だな……

しかし、令音はそれも予想の内というように肩をすくめると、思わせぶりに言った。

 

 

「……ヤイバは見かけより難物だ。話を聞いておいては損はないと思うけれどね」

「何……?」

「……彼の反応を見れば一目瞭然だろう?私の目から見ても、君たちは非常に可愛らしく、魅力的な少女だ。だというのに彼は、未だどちらも選ぼうとしない」

「「……………」」

 

 

耶倶矢と夕弦が、目を丸くして顔を見合わせる。

 

なびかないのは俺が結婚していて、その嫁がレティシアという最高の女性だからだ。

 

 

「……どうするかね?私としては、どちらか片方でも構わないのだが」

 

 

言って、事務室の扉を開けて出て行った。

耶倶矢と夕弦は再び顔を見合わせると、名残惜しそうに俺から手を離して、令音の後について行った。

 

結局いくのか……

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

現在の時刻は十八時五十分。

日も落ち、日中の蒸し暑さは少しは改善された。

昼間の騒がしさもなくなった。

 

旅館に移動した後は、部屋に荷物を運びこんで、夕食を済ませて自由時間を満喫していた。

 

俺以外は。

 

 

「はぁ……面倒すぎる」

 

 

俺が今向かっているのは令音の部屋だ。

今後の方針を話し合うらしい。

資料館を出るときに言われた。

 

だが、T字路に差し掛かったところで足を止める。

左右に分かれた通路の両側から頭がちょこんと飛び出、俺にジーッと視線を送ってきたのである。

 

 

「何してんだ?耶倶矢、夕弦」

 

 

俺が言うと、二人が通路の奥から歩み出てきた。

 

 

「くく……我が気配に気づくとはやりおるわ。流石と言っておこうか」

「指摘。隠れ方がお粗末だっただけでは」

「どっちもお粗末すぎだ」

「「……………」」

 

 

二人とも黙ってしまった。

本当のことを言っただけなのに。

 

 

「それで?何してんだ」

 

 

俺が問うと、二人は一瞬目を合わせてから視線を俺に戻してきた。

 

 

「ふ……教えてやろう。来るがいい」

「確保。どうぞこちらへ」

 

 

全く同時にそれぞれ俺の両腕を引っ張ってくる。

 

ほどなくして、とある場所にたどり着いた。

二つの隣あった入口に青と赤の暖簾がかけられている。

それぞれに多いな字で『男』『女』と書かれている。

この旅館の名物の露天風呂の入口だ。

 

 

「……まさか」

 

 

耶倶矢が大仰にうなずいてきた。

どうやら俺の呟きが聞こえたようだ。

 

 

「くく……貴様の身体は常闇の穢れを蓄積し過ぎた。その身を上かすることを許す」

「……まて」

「通訳。お風呂に入って汗を流してください、と言っています」

「入浴時間はまだ先のはずだ。それに俺は令音に呼ばれているのだが」

 

 

そう言って、踵を返そうとするが、両腕をさらにがっしと掴まれた。

 

 

「何だよ……」

「貴様に選択権があると思うてか?四の五言わずにその穢れを祓うがよい」

「請願。お願いします。入浴の準備はこちらで整えておきました」

 

 

い、いつの間に……

浴衣まで!?

 

 

 

「じゃあ入るかな」

「くく……解ればよいのだ」

「賞賛。刃の決断に敬意を表します」

 

 

確実に入ってくるな、この二人。

だがまぁ、汗を流したかったしよしとしよう。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「なかなかだな……」

 

 

岩で形作られた巨大な浴槽に、微かに褐色がかった湯が満たされ、濃密な湯気を立ち上がらせている。

そして、浴槽のすぐ先には海が広がり、静かな細波の音を響かせていた。

 

俺以外は誰もいないから静かに入れていいな。

 

さっさと頭を身体を洗い、湯船につかる。

 

 

「あ゛ぁぁぁ……」

 

 

最高だ……

やはり温泉は最高だ。

特に露天風呂はな。

思い出すな……イッセーが覗こうとして塀を壊した瞬間にミツキが狐火で燃やしてたな……

あぁ、ミツキに会いたい。

なにより、レティシアに会いたい……

 

そんなことを考えているときだった。

 

ガラリと音が鳴る。

浴場の引き戸が開けられた音だ。

視線をそちらに向ける。

 

 

「やはり来たか……」

 

 

そこには耶倶矢と夕弦が、身体にバスタオル一枚を巻きつけた状態で立っていた。

 

 

「ここ……男湯だぞ?」

 

 

そんなの関係ないとばかりに、二人はそのまま湯船に足を浸し、俺の隣まで歩いてきた。

 

薄いバスタオルが湯気で肌に張り付き、二人の死体のシルエットがくっきりと浮かび上がっている。

 

なんか全裸よりエロい?

 

俺がじーっと見つめているのがわかったらしく、耶倶矢が頬を初めながら腕組みをした。

 

 

「く、くくく……ど、どうだ。流石の貴様も我が色香の前にひれ伏さざるを得まい」

 

 

その言葉に、対面するような格好で立っていた夕弦がフスー、と息を漏らした。

 

 

「嘲笑。色香(笑)。耶倶矢にそんなものがそなわっていたとは初耳です」

「……ふん、すぐに吠え面をかかせてくれるわ。そこな刃我が魅力の虜にしてな!!」

「応戦。望むところです」

 

 

そう言って、二人はそのままゆっくりと足を折り、俺を挟むように湯船に入っていた。

 

 

「おい、バスタオルをはずせ。マナー違反だ」

「ふぇ!?は、外すの……?は、恥ずかしい」

「羞恥。恥ずかしいです」

 

 

あれだけべたべたしておいて何をいまさら……

 

 

「それが嫌なら入るな。今まで俺と一緒に入った女は誰一人、バスタオルなんてつけていなかったぞ」

「「……………」」

 

 

すると、二人とも顔を見合わせて、一度うなづくとバスタオルをとって、湯船に入った。

 

 

「くく……覚悟するがいいぞ刃。もう我無しでは満足できぬ身体にしてくれよう」

「否定。刃には夕弦の肉体のとりこになってもらいます」

「な、何を……!!」

 

 

二人とも顔を真っ赤にしながら言ってもな……

それに……

何もしてこないし。

てか、羞恥心で動けないんじゃないか?

 

すこしイタズラしてやるか……

 

二人の肩を抱き寄せる。

 

 

「「な―――」」

 

 

それだけで二人ともクラクラし始めた。

初心すぎだろ!!

そして、

 

 

「「きゅぅ……」」

「えぇ……」

 

 

そのまま二人は気絶してしまった。

二人を抱き上げて、出て行こうとした時だった。

 

 

「とりゃー!!」

 

 

元気のいい声と共に、新たな入浴客が湯船に飛び込んできた。

この声は……十香だな。

 

 

「ん?」

 

 

あ、十香が俺にきづいた。

 

 

「な、なんでここにいるのだ!?」

「いや、ここ男湯じゃない?」

「何を言っている!!ちゃんとみんなに教わったとおり、赤いほうに入ってきたぞ!!」

「……はぁ」

 

 

さっさと出なければ……

だが……

 

 

「やー、広いじゃなーい!!海すぐそこじゃーん!!」

 

 

……まずい!!

 

 

「クソッたれ!!じゃあな、十香!!」

「あ、ヤイバ―――」

 

 

俺は、二人ごと令音の気を辿って瞬間移動した。

 

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