―――神界。
毎度おなじみのこの世界。
何回も……と言っても、まだ数回だ。片手で数えられる。
ちなみに、ここに来ると俺は創造神の姿に戻る。
「久しぶりじゃのぅ」
「あぁ、今回は数百年ぶりか?」
「うむ、そうじゃのぅ。あの世界は人間が多いからのぅ」
『東京レイヴンズ』の世界は陰陽師が主だったからな。
基本、人間としか交流がなかった。
まぁクソジジイは人間じゃなかったけどな……
「また世界の創造か?」
「そうじゃ。今回も前回同様、どのような世界になるかはわからん」
「しょうがねぇよな……」
でも事前に知っている方がありがたい。
いろいろ対策とかしたいし。
といっても、大したものはできないが。
「よし、早速創造するぞ」
「今回は前回みたく一気に力を開放するんじゃないぞ」
「わかってる」
前回はえらい目に会ったからな。
爺さんは球体を渡してくる。
よし、では早速。
「このくらいか?」
「うむ、ちょうどいい、いい塩梅じゃ」
球体が黒だったのが空色に染まっていく。
そして一瞬だけ輝く。
俺の元には球体がなくなっていた。
「これでいいのか?」
「うむ、無事創造できたようじゃ」
はぁちょっと疲れたな。
「ルールは前回と同じじゃ、お主の創った世界には『神使』は連れていけないんじゃ。じゃが、月に一度。一人だけ呼び出せる。全員呼び出せるのは一年に一度だけじゃ」
「あぁ、覚えてる」
「そしてお主の肉体も創造した世界にすでに存在しておる。ちょうど高校生くらいじゃの」
……今のである程度世界が絞れるな。
「では、行ってくるのじゃ」
「あぁ……」
爺さんがやはり前回と同じくリモコンのスイッチを押す。
やはり足元に穴が開き、そこに落ちる。
これはもう慣れた。
さてさて、今回はどんな世界かな?
楽しみだ。
―――???。
「うぐぅ!?」
な、何事だ!?
急に腹やら胸やら頭やらを踏みつけられるなんて……
ゆっくりと目を開ける。
そこには家族らしき赤い髪をした女の子―――中学生くらいの子が情熱的にサンバのリズムらしきものを刻んでいる。
なんでサンバ?
そう思った俺は何も悪くないと思う。
とりあえず分かったことがある。
ここはベットの上で、今日は四月十日の月曜日。
そこまで整理してから気づいたことがあった。
四月十日?
そこに引っかかる。
そしてもう一度女の子の顔を見る。
その顔には見覚えがあった。
その女の子の名は―――
五河 琴里
同時にこの世界がどういう世界かがわかる。
この世界は、「精霊とデートして、デレさせる」そして世界を救う話。
デート・ア・ライブ
この世界だ。
……いい加減重いな。
「琴里、もう起きてるよ」
「おぉ!?」
ようやく俺が起きていることに気づいたのだろう。
俺の腹の上に乗っけていた琴里が、中学校の制服を翻しながらこちらに顔を向ける。
二つにくくられた長い髪が揺れる。
そして丸っこくておおきな双眸が俺を捉える。
だが一つ言わせてくれ。
なぜ朝っぱらから人様を踏みつけていたのに、「しまった」とか「ばれた!!」みたいなあせりがない!!
どちらかと言うと、俺が起きたことを素直に喜んでいるように見える。
まぁいいけど、可愛いから。
ついでに言わせてもらうと俺の位置からだと見事にパンツが丸見えだ。
パンチラなんて目じゃないレベルだ。
眼福です。
「なんだ!?私の可愛いおにーちゃんよ!!」
琴里は足を退ける様子もなくそう言ってくる。
俺って可愛いの?
初耳だ。
いままで可愛いなんて言われたことがなかったからな。
「とりあえず、降りてくれ」
俺が言うと、琴里は大仰にうなずいてベットから飛び降りた。
俺の腹にボディーブローのような衝撃を残して。
だが俺には効かない。
鍛えてますから(笑)
「はぁ……元気だな。ほら、下に行こうか」
「うん♪」
トテテテと、小走りに俺の部屋を出て行った琴里。
そして俺は改めて時計も見る。
四月十日月曜日、午前五時三十九分。
早くない?
起すの、早くない?
そこまで考えて一気に記憶が俺になだれ込む。
どうやら今までこの肉体が経験したことを俺に教えてくれているらしい。
ありがたい。
ふむ、どうやら昨日から親父とお袋は仕事の関係で出張しているようだ。
しばらくは俺が家事をすると。
だから琴里に目覚ましを頼んでいた。
……だからといってこんな起こし方はないだろうに。
部屋を出た俺は壁に掛けられていた小さな鏡で顔を確認する。
するとそこには確かに五河士道の顔が―――なかった。
これは俺の顔?
あぁ……前回みたいに一気に力を開放しなかったから俺の顔になったのか?
ならこれはこれでいい。
こっちの顔のが俺って感じがするからな。
さて、この世界はどんなことが起きるんだか。
楽しみで仕方ないね。
まぁなんとなくは知ってるけど。
アンケートの結果は圧倒的な票数で3でした。