本日2回目の初投稿です。
最近、BLEACHの小説が多くてウレシイ…ウレシイ…。でもいなり(ハリベル)が入ってないじゃん!(豹変)
ついでにBLEACHの設定だともっと虚が強くないといけないというか、クッソ強い虚がいたんじゃないかと思ったので、強くしました(冷やし中華始める並みの宣言)
それは世界が三界に分かれる以前のお話です。
その頃の時代には生と死に境がありませんでした。
ただ、人間を含めた生命が種族として存在しており、過度な苦楽もなく、永遠に繰り返される毎日を当然として享受し、人々はゆるゆると腐るように平和を過ごしていたのです。
それはきっと楽園や桃源郷と呼ぶに相応しく、確かに悲しみも苦痛も恐怖もない素晴らしい時代はそこにあったのでしょう。
しかし、そんな平和な時代はある日を境に唐突に終わりを告げました。
人間の中から"
虚は人間よりもずっとずっと強い力を持ち、どんな生き物よりも強く、そして何よりいつも腹ぺこでした。冷たくて話にもならず、愛着を覚えず、お腹がペコペコな化け物でした。
人間は次々と現れた虚に食べられたり、虚に変えられて行き、人間が虚と化す悪循環によって、瞬く間に人間と虚の数は逆転してしまいそうになります。
しかし、人間も食べられてばかりではありません。それを切っ掛けとするように救世主が誕生したのです。彼は後に"
霊王は後に人間・死神・
しかし、その頃には既に人間だけを喰らうのも飽きた虚は、虚同士でも喰らい合いを終えており、
その上、最も始めに出現した虚の中でも、
まさに霊王は勇者、ルカヴィは魔王軍。ですが最早、徒らに喰われるのを待つばかりの人間は霊王に期待していませんでした。
しかし、霊王は人間の諦めとは裏腹にその力で次々と、ルカヴィを倒していきます。その快進撃は希望となると、瞬く間に霊王は名実共に人々のスーパーヒーローになり、彼を旗本に次々と戦う意欲を取り戻した人間が集い、人間は一丸となって虚と戦ったのです。霊王ほどではありませんが、巨悪に立ち向かう人間もまた決して弱くはなかったのです。
霊王や人間との戦闘の末、ルカヴィは随分とその数を減らしました。そしてついに、霊王の勢力とルカヴィの勢力の最後の戦いが起きました。霊王はこれまで幾度となく拳を交えたが決着がつかずにいた"ルカヴィの長"との激闘を始めました。
霊王とルカヴィの長の最後の戦いは壮絶なもので、人間に長を除いた全てのルカヴィが倒された後も、二人は何日も日を跨いで戦い続け、互いに一歩も退かぬ攻防は、人間から見ればまるで神話の神々ような戦いに見えたことでしょう。
そして、遂に――霊王の腕がルカヴィの長の胸を貫いたことで、人間と虚の戦いは終わりを告げました。
ルカヴィの長は負け、消え逝く中で"汝モ……同ジニナルゾ……"とだけ霊王に吐き捨て、その邪悪な生涯に幕を下ろしたのです。
こうして、霊王は最高のスーパーヒーローとして人々から褒め称えられ、世界は再び平和になりましたとさ。めでたし、めでたし。
◆◇◆◇◆◇
"
それは一面が白と黒が埋め尽くしたようなモノクロの世界。欠けた月が常に妖しく輝き、常に夜の砂漠のような風景をどこまでも映すばかりで、およそ生命や萌芽という言葉が似つかわしくない程に寒々しい場所。
この世界は現世を荒らす悪しき霊体であり、何らかの理由で堕ちた人間の魂の成れの果て――"
無論、そのような場所には基本的に虚以外に生物らしい生物すら見受けられず、出会ったものは全て虚と言っても差し支えないようなところだ。
「……………………」
無論、それは人間のような容姿をした生物も同じ事。ウェコムンドの寂しい砂漠を歩いている――"ティア・ハリベル"という名の比較的珍しい女性虚もその例に同じ。
ハリベルは頭部を目元から覗くエメラルドグリーンの瞳と褐色の肌に、金髪の頭髪以外を鮫のような意匠が施されたように見えるピッチリとしたボディスーツのような外殻を持つ虚であり、右腕が大剣と一体化している事も含めて、いっそ女性が何かのコスプレをしているようにすら見えなくもないが、歴とした虚である。
と言うのも虚は
(あれは……!)
そんなハリベルは、数百m程先の前方に居る何かに気付いてふと足が止まり、自身がその距離に近付くまで気が付かなかった事に驚きつつ思わずじっと見つめてしまう。
それは浜辺から海を眺めながら佇むように、虚圏の砂の地平線を眺めながら何をするわけでもなく佇んでいる"3m程の骸骨に翼が生えた異形"であった。
人型に限り無く近い上、人工的とも思えるほど凝った容姿から、最上級大虚か中級大虚であることはわかる。
しかし、それにしては何故か一切の霊圧をハリベルは感じず、それこそウェコムンドに棲息している仮面の付いた小動物を見ている気さえ覚える程であり、アレが危険な存在であるとは露ほども思えない。それ故に彼女の視界に映ってからも暫くは、枯木か岩だろうと考えていたのだ。
能力か、あるいは余ほどに卓越した霊圧の殺し方を体得しているとしかハリベルには思えず、恐らくは最上級大虚であると当たりを付ける。
(なんだアイツは……?)
自身が警戒心を抱かなかった事をハリベルは警戒し、霊圧を抑えながら、足音を殺しつつその最上級大虚の背から30m程離れた位置に着地する。しかし、最上級大虚はまるで反応せず、気付いてないとしか思えない程、がら空きの背中をさらけ出していた。
また、近くで見れば、その風貌がより鮮明にハリベルの目に映る。
大きな人の骸骨だと思えば、人にしては妙な青い尻尾を持ち、スマートで華奢にさえ見えるボディラインは女性にも見えなくもないが、赤い小さな羽根が生えた王冠を被った王のような凝ったデザインの頭部と仮面はどちらかと言えば男性的に思えた。
そして、その背から生える二対の赤い翼は鮮やかな深紅の色彩をしており、鮮血を固めて出来たようにさえ感じるそれは悪魔のようにも見えるだろう。
『コンバンハ……デイイノカ?』
「――――!?」
その声は男のようにも女のようにも聞こえ、あるいはそのどちらでも無いようにさえ聞こえる奇妙なモノであった。
余りにも無防備な最上級大虚にどうしたものかと考えていたハリベルは、突如として首を向けて向こうから声を掛けて来た事に驚き、図られたと思いつつ身を退いて距離を取り、最上級大虚へと右腕と一体化した剣を向ける。
しかし、いつまで経っても最上級大虚は攻撃どころか、それ以上の動きをしようとはせず、首だけを向けたまま時間だけが過ぎ去った。
そして、ふとした瞬間に最上級大虚はハリベルの方を相変わらず見つめながら、少し焦ったような様子でポツリと口を開く。
『イヤ、スマナイ。話ヲ……イヤ、話ニナリソウナ者ト口ヲ聞クノハ初メテデナ。何カ、汝ノ気ニ障ル事ヲ我ハシテシマッタダロウカ?』
「は……?」
そして、神話の悪魔か堕天使のような酷く威圧的な容姿の最上級大虚から吐き出され、ウェコムンドに全く似つかわしくない、酷く常識的な言葉にハリベルは呆けた様子になり、右腕の大剣の位置が多少落ちた事からも彼女が相当動揺した事が伺えるであろう。
最上級大虚はそんな彼女を気にする様子もなく、ハリベルの方に身体を向けると再び口を開いた。
『我ハコレマデニ11回、話ヲシヨウト会ッタ者ニ言ッタノダガ、全部言葉ヨリ先ニ攻撃シテキテナ。ドレダケ治安ガ悪イノカト途方ニクレテイタ所ダッタンダ……』
「あ……ああ……?」
最上級大虚は溜め息を吐くと共に、困り果てた様子で首を振って見せる。その感情を込めた抑揚と仕草は、虚の世界であるこのウェコムンドで本気でそう言っているとしか思えなかったため、ハリベルは更に混乱する。
『ツカヌコトヲ聞クノダガ……』
しかし、最上級大虚は渡りに船とばかりに言葉を止めず、小首を傾げるような仕草をすると、ハリベルに疑問符を投げ掛けた。
『ココハドコデ……我ハ何ダ……?』
「ええ……」
そして、呟かれたその問いは、余りにも現実離れしており、例え現世であろうともほとんど聞かない珍妙な内容であった。本人だけが、とてつもなく真剣な様子なのがまた奇妙さを引き立てている。
『ムウ……ソレニシテモ何カトテモ大切ナ事ヲ沢山忘レテイルヨウナ……。ウーン……ナンダッタカナァ…………マッ、イッカ』
すると最上級大虚はハリベルへにじり寄る――のではなく地面から数cmだけ浮遊すると、彼女に向かってゆっくり静かに飛んで行く。
『我ガ名ハ――"アジョラ・グレバドス"……。他ノ事ハ何モ思イ出セナイノダ……汝ヨ助ケテクレ……』
「おい、待て……寄ってくるな」
『汝ヨ、連レナイ事ヲ言ウナ。嫌ト言ワレテモ我ハ汝ニ着イテ行クゾ。優シソウナ非カナル者ヨ』
こうして、虚らしくない虚であるハリベルは、その性質故か、よく分からない者を抱え込んでしまう事になったのであった。
「――――と、言うのがお父さんとお母さんの出会いの話だ。私の娘」
現代の一般的な一軒家にあるリビングで、薄手のタートルネックの服で口元を隠し、ジーパンを履いている褐色の肌をした金髪の女性――ティア・ハリベルは真顔でそう呟いた。
現在、ハリベルとテーブルを挟んで少女が対峙しており、開いた口が塞がらない様子でぷるぷると身を震わせている。
また、その少女の容姿は銀髪で色白の肌をし、ハリベルにどことなく似た顔つきをしており、高校生程の年齢に見えた。
「………………え? 待ってお母さん……?
「実はこの体も駄菓子屋の店主から貰った義骸というモノで………………ああ、そこからか。アジョラに教えた頃を思い出す……」
「ちょ、ちょっとお母さん……! のろけ話はいいから私は――」
「ハリベル、我ノ朝ゴ飯ハアルカ?」
そのまま、再び回想話でも始めそうな様子のハリベルを少女は止め、そのままハリベルを問い詰めようとすると、寝間着姿で目が覚める程に美人な銀髪の女性――アジョラ・グレバドスが、目を擦りつつリビングに入って来る。
そして、その口から吐かれた言葉は鈴が鳴るような女性の声ではあるが、何故か外国人が覚えたての日本語を喋るようにカタコトであった。
よく見るとアジョラの頭に髪と同じ色で小さな翼のようにも見える何かが生えており、それがピョコピョコと不思議な動きをしているため、ただの寝癖ではないことが見て取れるだろう。
「もう、お昼だぞ?」
「ナラ、オ昼ゴ飯ヲ頼ム。汝ノ料理ハ大好キダ」
「はいはい、少し待っていろ」
「ワァイ」
それだけ言うとアジョラはリビングにあるソファーに腰掛け、テレビの操作を始め、これまでに録画していたテレビ番組やアニメを真剣な様子で目を細めつつ吟味する。
すると少女はわなわなと腕を震わせ、ビシリと擬音が付き添うな程に強く真っ直ぐアジョラに指を指した。
「――私は何でお父さんが変な喋り方で女性なのか知りたかっただけなんだけど!?」
「ンー?」
「…………? 可愛いだろ?」
「そうだけどそうじゃないの!?」
ハリベルは何か問題なのかとでも言わんばかりに真顔のまま首を傾げる。
その様子には一切の疑念や冗談が含まれていない事に気付いた少女は、何か一言でも言ってやろうとしたが、それよりも先にハリベルが口を開く。
「そもそも高校生になって今更、それを突っ込むのか……? てっきり、私は関心がないと思っていたぞ」
「そ、それはその……何かやんごとなき事情とか何かしらがあると思ってこれまで聞かないようにしてたのっ!!」
「変ナトコロデ律儀ダナァ……」
少女はテーブルを音が出る程、バシバシと叩いて顔を真っ赤にしており、アジョラは申し訳けなさと困った感情が入り雑じるような何とも言えない表情をしていた。
そんな二人の様子を見て、ハリベルは少しの間だけ目を瞑り、愛しいものを見た者が浮かべるような溜め息を漏らし、軽く肩を竦めて見せる。
「ふむ……そうかそうか。フフッ……ならどこから話すか――」
そして、瞳を開いたハリベルはそう言いつつ何処か昔を懐かしむように表情を緩ませて、小さく微笑んで見せた。その様子は、いっそ天使か女神のようであり、虚であると言われても誰も信じないであろう。
そして、思考のためか暫く間が開いた後、ハリベルはポツリポツリと静かに口を開き、再び昔話を語り始めた。
アルテマ
かつて自らを"聖天使"と名乗り、世界を相手にした最上級大虚。世界がOSRに染まる前の世界で、全盛期の霊王とガチバトルしていた虚の親玉かつ最初の虚でもある。要するに霊王と正面から殺り合って拮抗するぐらいただ強かっただけ最上級大虚。強いて言えば、生も死もない時代にいた虚のため、死の概念が存在しない。
人間だった頃、自身の核となっている者はアジュラ・グレバドスという男性であり、その頃の記憶や性格をそのまま引き継いでいるせいか、現在では虚にしては極めて温厚。アルテマだった頃の記憶は完全に失っているため、ただの聖人な虚と化している。