貞操観念逆転世界で勘違いから主人公を振った幼馴染みがヤンデレ過保護になってしまったっていう話。 作:詞瀀
この世界において、女性は現実世界の男性のような立ち位置です。故に、非処女は私達にとっての非童貞と同じく、処女は童貞ぐらい価値がないです。
逆に、男性はヤリチンとかだと不潔がられたり、嫌がられます。
そういった価値観だろうと非処女は無理、という方はブラウザバックを強く推奨いたします。
桜の舞う中、僕たち新入生、というか僕は新一年生なんだれど、体育館へと進んでいく。この学校は校舎と体育館がかなり離れていて、校舎と体育館を結ぶ通路に薄い屋根があるだけだから、舞う桜が顔に当たって鬱陶しい。
そういえば、去年の雨天時とかも風が吹いていると、横殴りの雨でびしょ濡れになって、二人で文句を言ってたな。
思わず、クスッと少しだけ思い出し笑いをしながら歩いていると、隣の人にガン見されているのに気がついた。
僕たちは入場用に男女二列でずらーっと並んでいるので、当然だけど隣の人は女の子だ。
去年のこともあって誰か他人と喋るのが少し怖くなってしまったせいで、喋りかけることも出来ない。
「あ、あのー」
「はい?」
おずおずと掛けられる声。
ボーッとしていたせいで少し声が硬くなったことを自覚する。
「え、えーっとー、その……」
……?
なんだろうか。
少し首を傾げて彼女を見つめる。
「っ!? あ、あーと、ですね! その、髪が綺麗だなーっと思って…。地毛っ!…でしょうか?」
手振り身振りでわちゃわちゃとする彼女。語尾がどんどん小さくなっていく。
けど、ちょっと面白いなー、と思う。小動物っぽくて可愛いし。
「うん、地毛」
事故で真っ白になってしまった髪。確かに気にはなるんだろうけど、地毛? って…。
やっぱり変わってるなー、と思う。
「 っ! で、ですよねー! 私も、言った後に地毛じゃないなら校則違反じゃんって思ってたのでっ。…変なこと聞いてごめんなさい」
そう言って少ししょんぼりするように体を縮こめる彼女が益々小動物っぽく見えて笑ってしまった。
「大丈夫。気にしてないよ」
笑うと言っても、前みたいに全力で笑顔っ!というわけじゃなくって、口角が少しだけ上がる感じだけど。
それでも伝わったのか、しょんぼりとしていた彼女が一瞬動きを止めて、ボケーっとしたあと、またわちゃわちゃとしながらお礼を言う。
悪くもないのにお礼を言う彼女がまたおかしくって、変な人だなー、と改めて思った。
「あ、あのっ。私、犬塚小春って言います。あなたは…」
ーーー子犬みたい。
「僕? 僕は雨宮優希って言います。よろしくね」
でも、相手の名前を聞くなんて意外と豪胆。大型犬とか?
「はいっ! よ、よろしくっ!お願いします」
ーーーなんて、ね。
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入学式中、隣の席だった子犬さんに喋り掛けられて、それに答えようとしたところで子犬さんが教師から
「後で職員室な」
とお誘いの言葉を頂いていたこと以外特にハプニングもなく、入学式終わりに呼ばれた先生の元へと向かう。
子犬さん?
顔を青くした後俯いてプルプルしてた。
全員がそれぞれの先生の元へと集まると、今度は先生の引率に従って
教室に行って自己紹介。
教壇に立った先生が一年の時の現国の担任だったので、こっそりと手を振る。
顔を赤くした先生。
ーーーどうしたんだろう。
「っん、ぅん。では、自己紹介を始める。まずは私から。この一年4組を担当することになった、相田という。これから一年よろしく。担当する教科は現代文、そして古典だ。じゃあ、出席番号順に雨宮から自己紹介よろしく」
あ、逃げた。自己紹介も早口だったし…。
ーーーまぁ、どうでもいいか。
「雨宮優希と言います。皆さんよろしくお願いします」
少し騒つくクラス。なんでだろう…。
あぁ、そっか。
「地毛です」
「ーーっふ!」
吹き出した声の方に顔を向ける。僕に釣られてか、クラスのみんなも注目する中、プルプルと俯いて机に突っ伏していたのはーーー
「へっ!?」
ーーー子犬さん…。
顔を上げた瞬間にびっくりして、声をあげている彼女を見て、少し心が楽になるのを感じた。
新学期、どうなるかと思っていたけどなんとかなりそう、かな。
ほっとした。
ーーーありがとね、子犬さん。
またわちゃわちゃとしだした子犬さんを見ながら、そう思った。