レフィ様から別行動をした後リリ達は現在15階層まで降りる事に成功した。
道中はかなり大変ではあるものの、ベル様が真っ先に飛び出し、敵を殲滅させた。
今回もその様に襲って来た数匹のミノタウロスを一瞬で葬り去ったベル様の後ろ姿が見える。
「…………」
その気迫はもはやレベル2と言っていいモノではなかった。
レフィ様と別行動を取ったその時、ベル様もリリ同様…………いや、リリ以上に悔しくて仕方がない筈ですから。
「なぁ、ベル。少しは休んでくれ」
ヴェルフ様の意見は最もです。
今のベル様は切羽詰まって、その上にこの階層までにずっと戦いっぱなしだったから。
「僕は…………大丈夫だから」
「ったく、大丈夫じゃねえから言ってんだよ! いい加減休め!」
「…………ごめん、けど出来ない」
「あのなぁ…………」
戦いの後ずっと顔を俯いたままのベル様の袖を引っ張った。
「…………リリ」
「少しは休みましょう? もしここでベル様が倒れたらおしまいです」
「…………でも」
「リリだってずっと悔しかったです…………でもここでリリ達が倒れたら約束が守れなくなっちゃいますよ?」
「ッ!」
「だから、少しは休みましょう? その間にリリ達に任せてください」
「…………わかった」
ベル様はそのまま列の後ろの方に移動した、顔はまだ俯いたままではあるが。
「ありがとう……リリ」
弱々しく呟かれたその言葉はあんまりにも彼らしくはなかった。
「はい、リリにお任せください……」
しばらくすると数匹のライガーファングが襲いかかる。
冷静に用意した
「セイ!!」
ライガーファングの身体はかなり硬かったが使っている剣がいい事にやや力任せの攻撃でもダメージを与える事に成功した。
「よし! いいぞリリ助!」
ヴェルフ様がリリが斬ったライガーファングに追い討ちを掛けた。
周りを見ると命様は桜花様も残ったライガーファングの対処を終わらせた様だ。
「…………まだまだ行けるな」
「だからと言って気を抜くと直ぐに死にますよ?」
「それぐらいはわかってるって」
現在このパーティーに置いて、最高戦力であるベル様も含めてみんなかなり消耗している。
念入りの準備をしたにも関わらずやっぱり初めての中層は体力も精神力も激しく消耗している。
「けどこのままだとそろそろヤバいな…………」
ヴェルフ様はそう吐き捨てた。
本人は隠すつもりでしょうけど、その顔は疲労で若干青く見える。
桜花様も命様も同様です。
「だからと言って後先考えずに急ぐと尚更リリ達の生存確率が下がります」
「…………ままならないな」
「はい…………」
それから幾度となく戦闘を繰り返した、道中も引き続きリリ達四人だけで対処する事になった。
16階層に着くと体力の限界を迎えた者達が現れた。
《ドサッ》
「命!?」
一番最初に倒れているのは命様でした。
合流前からずっと戦っている彼女の体力が限界を迎え、そのまま意識を手放した。
「…………マジ……かよ」
「三人で頑張るしかないですかね……」
倒れたら命様を他の人達に任せ、リリ達は再び進み出す。
けど限界を迎えたのは命様だけでは無かった。
「わ…………りぃ…………」
《ドサッ》
ヴェルフ様までもが倒れた。
いや、もっと前から倒れてもおかしくは無かった筈だった。
レベル1にも関わらずここまで頑張っているのはある意味意地なのかも知れない。
「ヴェルフ様…………」
「そいつは俺が背負う…………」
「ですが…………」
「お前では無理だ、体格が違いすぎる」
邪魔な荷物は別の人に預かって、そのままヴェルフ様を背負う桜花様。
それからまたしばらくすると。
《ブモォオオオオ!!!》
十数匹のミノタウロスがリリ達の前に現れた。
「嘘…………だろ?」
「…………ここに来て」
「どうする!?」
「やるしかないです!!」
スクロールでアビリティを上昇させ、再び剣を抜いた。
そのままミノタウロスに目掛けて飛び出そうとしたが—————
《ブモオオオオオオオオオオオオ!!!》
ミノタウロスの雄叫びと共にリリの足が動けなくなった。
「くっ!? ここに来て
「リリルカ!?」
けどこんな所で諦めるリリじゃないです!!
「ハァアアアアア!!」
《ブモォオオ!?》
停止させられた身体を無理矢理動かし、ミノタウロスの腹に剣を刺した。
本来断ち難いミノタウロスの肉でさえも深く刺す事の出来るこの剣はやはりいい剣です。
リリはそのまま地面を蹴り上げ、ミノタウロスに刺された剣を大きく斬り上げた。
《ブモォオオオオ!?!?!?》
噴き出る血と共に一匹のミノタウロスの断末魔が響き渡った。
けどそこまでだった。
別のミノタウロスはリリに向かってその武器を振り下ろした。
「…………ここまでかぁ」
ごめんなさい、ヘスティア様…………。
ごめんなさい、レフィ様…………。
ごめんなさい、ベル様…………。
するとリリの横から優しい炎が横切った。
「無理させちゃってごめんね、リリ」
「…………ベル様?」
「後は任せて」
いつもの様に必要な時に【ヘスティア・ファミリア】の団長がそこに立っていた。
リリには酷いことをした。
ボロボロのリリ達を見ながら思わずそう思った。
レフィ姉にはみんなを守るって約束した筈なのに僕はただ八つ当たりばっかりでリリ達を守ろうなんて考えてなかった。
「…………シッ!」
次々とミノタウロス達を倒しながら、作戦を思い出す。
朧げではあるけど、もうすぐ17階層に降りる階段に到着するってリリが言ってたのを覚えている。
そして次に待ち受けるのは
—————2週間前に【ロキ・ファミリア】が倒した筈ですが、今行くとギリギリ間に合うと思います。
リリが言っていた言葉を思い出す。
「リリ」
「は、はい」
「今からみんなの速度を上げることは?」
「…………荷物を捨てれば可能です」
「じゃあ、最低限の物以外を捨てよう」
「……わかりました」
「周りの警戒は僕に任せて大丈夫だから」
「お願いします」
リリはにっこりと笑い、そのまま他の人達と作業を始めた。
出来る限り気配の察知に気を配りながら感知魔法を張り巡らせた。
荷物の整理はすぐに終わり、僕らは再び足を動かした。
☆
「ここが17階層の入口で合ってるよね?」
「情報によればそうなります…………」
「おま……ら……まだ……いけるのか……」
「桜花さん、もう少し我慢して下さい」
「17階層を突破すれば目的地ですからね」
僕もだけどリリと桜花さん達はもうとっくに限界を超えていた。
「行くよ!」
みんなで一斉に17階層突入して、そこから僕らは更に速度をあげた。
《ゴゴゴゴゴゴッ》
「お、おい…………【
「まさか!? 間に合わないなんて!?」
「ッ!!」
「嘘だろ…………」「嫌だ…………」「マジかよ…………」
「みんな全力で走れええええええ!!!!」
真っ白な大壁から巨人が壁を派手に壊しながらその産声を上げた。
《グオォォォオオオオ!!!!》
ダンジョンはどこまでも
ここまで読んで頂きありがとうございます。
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