現在、私は【ロキ・ファミリア】の幹部であるフィンさん、リヴェリア様、そしてガレスさんの話し合いに参加している。
その三人の他にアイズさんも居る。
「—————やはり厄介だね」
「ああ、奴らがいきなり13階層に現れるとは思わなかった」
「連中が今までにないぐらい大胆な動きを見せたわい…………それだけレフィーヤが欲しくて堪らないだろうのぅ…………」
私の報告を聞いた三人共は難しい顔を見せた。
隣に立っているアイズさんは私に「大丈夫だった?」と尋ねたが軽く「平気です」と返した。
「やれやれ、ただでさえ“アレ”の事があるのに、ロキへの報告が増える一方だね」
「ああ、だがそれはお前の仕事だ」
「ガハハハ、そうだな!」
「君達は僕を手伝う気は無いのかい?」
「そういうのはお前さんの仕事だ、ワシは若手育成に大忙しだわい」
「ああ、それに私もそこに居る小娘二人の育成があるからな」
物凄くいい笑顔でこちらに視線を送ったリヴェリア様。
これは完全に巻き込まれたなぁ…………。
私の気持ちとは裏腹に隣のアイズさんは自分だけじゃないと嬉しそうな顔を浮かべた。
「…………なんだか最近は
「ガハハハ!! 何言ってるんだ、フィン。まだまだ若いのには負けられんぞ」
「ふっ、まったくその通りだ」
「勘弁してくれ…………」
やれやれと困ったそうに笑顔を見せた、フィンさん。
こんな風にふざける余裕があるのですね、この人たちは…………。
「さて、ふざけるのはそこまでにして。“59階層のアレ“の調査も含めて大忙しくなりそうだ。その時はレフィーヤの力も必要になるかもしれないからよろしく」
「非力ながら頑張ります」
「リリルカの時の様にすれば十分過ぎるのさ」
「わかりました」
「【遠征】が終わった今、【ロキ・ファミリア】が本格的にこの件の調査を行う予定だ…………。ガレスには都市内を、リヴェリアには
「えっと…………
「…………それは、ある”場所“を探す為さ」
フィンさんは静かに私を見つめた。
「えっ?」
「探すのさ、ダンジョンの”もう一つの入口“をね」
「もう一つの…………入口…………」
思わず息を飲んだ…………こんな場所への入口がもう一つあるっていうの?
【ロキ・ファミリア】でさえも把握して居ないもう一つの入口…………。
「勿論、目星は付いているが…………何事にも確認は必要だからね」
「その確認の為の
「そう、その通りさ」
なるほど…………いつか読んだ冒険譚に寄ると
だがそれはかつて
フィンさんが言った
でもそれって…………。
「それは私に言っていい情報なんですか?」
「正直、かなり迷ったよ。だけど同盟の件もあるが、君自身がこの件の当事者なんだ」
「だから知る権利はあると?」
「とは言ってもまだ全部じゃないけどね。まだ不確定情報が山ほどあるから」
なるほど…………ならば気になっていることを一つ尋ねてもいいのかな?
「…………それはアイズさんが”精霊“の関係者である事も含めてですか?」
「ッ!?」
それを言った瞬間、アイズさんは驚きの表情を見せながら私との距離を置いた。
「あ、あの…………もしかして、言ってはダメなヤツだった?」
「…………どうして?」
「え? えっと…………」
「…………リヴェリアが言ったの?」
アイズさんは不安そうな顔でリヴェリア様の方を見た。
「いや、私はそんな事を一度も話したことが無い」
「…………だったら…………どうして?」
アイズさんは震えた声でポツリと呟いた。
「すみません! 私が悪かったです! ですから落ち着いてください!」
少しでも落ち着かせる為、私はアイズさんに近づいた。
「私に近づかないでッ!!」
だがアイズさんが示した答えは拒絶だった。
「アイズさん…………」
あんまりにも無神経だった…………彼女にとって触れて欲しくなかった真実を…………私は無神経に触れてしまった。
—————キミがいいって言うのならば、ロキ達に自分のスキルの事を教えてもいいよ。
「私は…………私は…………」
まるで壊れたカセットテープの様にアイズさんは同じ台詞を繰り返した。
私はそのまま震えたアイズさんの身体を必死に抱き締めた。
「アイズさん…………許して貰えるかわかりませんが、ごめんなさい…………本当にごめんなさい…………」
ぎゅっと抱き締めたアイズさんはずっと震えていて、その体温もかなり低かった。
それだけ彼女の心の傷を触れたと言うことになるだろう。
「アイズさん…………私にはですね…………精霊の関連のスキルを持っているの…………」
「…………え?」
アイズさんは虚をつかれたかの様にぽかーんとしている。
『!?』
「私がアイズさんから”精霊“の気配を感じている様に、アイズさんも薄々感じているじゃないでしょうか?」
「…………それは」
気がつくと、アイズさんの震えが止まっていた。
だが、今度はまるで信じられないモノを見るかの様に私をじっと見つめる。
「レフィーヤ、ちょっと待ってくれ。君は精霊関連のスキルを持っているのか!?」
フィンさんが私の発言について確認してきた。
「はい、ずっと秘密にしてごめんなさい」
「いや、それはいい…………冒険者のスキルは死活問題に繋がるからね…………だけど…………」
フィンさんは深刻そうな顔でリヴェリア様達に視線を送る。
「ああ、あの連中がレフィーヤやアイズを狙っている理由は…………」
「間違いなく、”穢された精霊“の器の為じゃろうな」
”穢された精霊“…………あの時私を乗っ取った狂った精霊の事だろうね。
「となると益々一刻も早く連中の計画を止めないといけなくなるね」
「ああ…………だが、連中はこの二人同等の器を確保出来ない場合はどうするつもりなんだ? まさか”アレ“を器に地上へ呼ぶつもりなのか!?」
「…………恐らく、そうだろうね。寧ろこの二人の存在が奴等にとっての
「ならばもう器の準備はとっくに済んでおるだろうな」
「…………それならばアイズとレフィーヤを狙う必要はない…………その”先“に何かがあると思った方がいいだろうね」
「フムッ、その先…………60階層以降に居る”本体“の事じゃな」
「ああ…………そうとしか思えないね」
なんだか急に話が進んで、私はさっぱりわからない…………。
とりあえず、アイズさんを撫でとこ。
「レフィーヤ、この他になんかないのかい?」
「え? えっと…………それとは別に
「レフィーヤは何言ってるの?」
「ああ、誰かと契約したのまでは聞けたけど…………何故か名前だけ聞き取れないな」
「むっ? お前達もか?」
「なんじゃお主らもか?」
え? なに? なんだかみんなの反応が可笑しい。
「何を言ってるのですか?
「…………すまない、上手く聞き取れない」
フィンさんは申し訳なさそうな顔をしている。
「…………多分、レフィーヤが言っていたのがその精霊の真名だと思う」
「なるほど…………伝承では聞いたことがあるがこれがか…………」
リヴェリア様はアイズさんの発言に納得した様子。
「…………なるほど、レフィーヤ以外はその名を聞き取れないと言うのだね」
「だがその伝承が本当なら、レフィーヤと契約した精霊は上級精霊の力を持っている事になるな…………」
「…………スゴイ」
アイズさんがそうポツリと呟く。
「ほぅ? アイズよ、そんなにスゴイのか?」
「これだから頭の硬いドワーフは…………」
「なんじゃと!?」
「うん、凄くスゴイ。そもそも上級精霊と契約出来たのは過去に数人しかいなかったから」
「そ、そんなにですか!?」
ずっと凄いと思ったけどイフリートってそんなに凄かったのね…………。
「はは…………そりゃ、連中からすれば喉から手が出る程欲しいだろうね」
「…………ううん」
「アイズ?」
「そんな程度で済む話じゃない」
「ん? どう言うことかな?」
「レフィーヤが契約した精霊は“最低でも”上級精霊」
「んん? 僕の耳が可笑しかったかな?」
「ううん、聞き間違いじゃない」
「最低でも?」
「最低でも」
「…………は……はは……は…………」
フィンさんは突然と静かになった。
「フィン?」
「…………ムムッ、こやつ。笑顔のまま気絶しておるぞ」
「…………そうか、とりあえず料理当番にフィンの夕飯はお腹に優しい物を用意する様にと伝えておく」
「ならば今日の会議は解散じゃな!」
「…………ああ、仕方がない」
「のぅ、リヴェリア。お主も薬いるか?」
「…………もらう」
会議のオチはこれでよかったのだろうか?
ちなみにテントを出る前にフィンさんには数回
ここまで読んで頂きありがとうございます。
なんかストーリーがもう我が道を征くのだね。
アポロンもかなり変わった仕様にするかなぁ………。
他のファミリアから
そもそも戦闘遊戯の形式自体を変えたりして
18階層が終わったらどうしますか?
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そのままアポロンとの戦争遊戯
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先にオリオンの矢を挟んでから戦争遊戯