アポロンが大好きな皆さん、もう少し我慢して下さい。
そして今回はかなり迷走しているかもしれない……。
どうして私はダンジョン内でも勉強しなければいけないのッ!?
勉強とは言っても本はなく、ドロップアイテムの実物を見せながら説明をするリヴェリア様。
「とりあえず、ここまでだな……頭には叩き込んだのか?」
「あぃ……」
脳内がオーバーヒートによるショート寸前でもう無理です。
一応記憶はしているけれど、これでも18階層までの知識しかないって言うね……。
「遠征が終わった今、私もしばらくは手が空いている。その間にお前達の育成に力を入れるつもりだ」
「えっ? た、達?」
「ムッ? お前、ベル、リリルカに決まっているだろう? 何故ならお前達がこれから生き抜く為には知識が必要不可欠だからな」
ま、まだ続くの!?
「……きゅっ〜〜」
「リヴェリア様、レフィーヤが倒れました」
「今日はもうお終いだ、帰還するまでには起きるだろう」
「テントに運ばせますか?」
「ああ、頼む」
深い眠りの中に謎の浮遊間を覚えた私でした。
☆
目を開けるとそこには大きな扉が有った。
ん? 扉?
「えっ!?」
身体を起こすと、何故か私は真っ白な空間に眠っていた。
「ここ何処!?」
当然な疑問である筈だ。
座学が終わり、そこから記憶がないがそれでもこんな所まで来るのが可笑しい!!
「何もない……真っ白な空間……」
あるのは……この扉だけ。
扉に触れると扉の中央に嵌め込まれていた宝石の一つが紅く光った。
「……コレって?」
「どうやらまた迷い込んだのようだな?」
「!!」
突然と背後から声が聞こえた。
振り向くとそこには“鎖”で固定されていた紅き竜、イフリートが居た。
「ど、どうしたの?」
「悪戯してたら彼奴に怒られた」
「彼奴?」
「自称姉だ」
「あぁ……お姉ちゃん……」
ん? 悪戯って?
「あなたなんかしたのッ!?」
「ウムッ、少し土の精霊達にお前が付けた指輪を弄って貰ったのだ」
えっ? 今なんて?
「金属特性の変化ってお前のせいかッ!?」
「ウムッ! あの程度ではお前に相応しくないと思ったからな!」
「余計なお世話だよ!?」
勝手に弄るとかダメだこのトカゲ!!
「そ、それでお姉ちゃんが怒ったと?」
「ウム……彼奴め……土まで使いおって……」
「えっ? お姉ちゃんはそんな事まで出来るの?」
「えっ?」
「え?」
「…………」
おかしいなぁ、トカゲって汗を流せるんだ……。
「……わ、我は何も言っていない」
思いっきり言ったじゃん!?
今、必死に私から目を逸らしたじゃん!?
「我は何も言っておらん! 何もなかった! ああ! 何も———ムグッ」
突然と無から鎖が現れ、イフリートの口を素早く固定した。
「いい加減黙りなさイ! このクソトカゲ!」
「……やはり最初はイフリートなのが良くないですわ」
「……駄竜は不要也」
すると扉からいつか見たモノ達が現れた。
「えっ? えっ?」
「ムググムグウゥ!!」
混乱した私と暴れるイフリート。
姿を見せた謎の存在…………いや、残りの四大精霊は私の前に降りた。
「なんで、イフリートより……ボヤけてる……の?」
「ああ、ボクらはあくまで仮初めの姿だからネ! ……それにしても思ったより早いじゃン!」
幼い少女はニパッと笑い、そのまま私に抱きついた。
「然り、加護が有るとは言え。此れ程に早く再会出来るとは夢にも思わなかった……」
大地の巨人はゆっくりとその大きな指で私を撫でた。
「ふふっ、まさかもうここまで来れるなんてね……」
優しい雰囲気に包まれた美しい女性はニッコリと笑った。
「ムゴゴッ!!」
後ろには荒ぶる火の竜が鎖で拘束されていた。
☆
「さてッ! ボクらはあんまり時間がないから質問は早めにだヨ?」
「えっ?」
いきなりそんな事を言われても……。
「ワタクシ達はまだ貴女と正式な契約を結んでおりませんので……イフリートみたいに貴女の中に分霊を置く事が出来ませんわ」
あぁ……確かにイフリートもそんな事を言っていたね。
「然り、件の精霊が汝の身体に入らなければ我々も此処駄竜に譲るつもりなど無かった」
「いやぁ、マジでさぁ……ボクらはビックリだヨ? いきなりこの駄竜が土の精霊を動かすなんてネ?」
「そんなの出来るのですか!?」
自属性じゃないのに命令出来るの!?
「己の属性では無いからと言って命令出来ない訳では無い……だが我々は敢えて其れをしなかっただけだ」
「そう! それなのにこの駄竜が勝手に土の動かしちゃってサァ!!」
「彼が一時的に貴女に与えた憑依の件は許されますが、貴方の為とは言えこの件は許されませんわ……」
「なので、コイツにはしばらくこうやって拘束して貰ってるノ! ああ、キミの能力には関係ないから安心していいヨ!」
幼い少女は両手を振りながらそう言った。
「此奴の助力が必要な時は汝から声を掛けると良い、そして此奴からは勝手な行動は出来ない様にしておいた」
「私が声を掛けないと喋れないし勝手に出来ないって事なのね」
「ええ、そうよ」
それはとっても助かります……って言ってももうやらかしたからねぇ……。
「……もしこの指輪みたいに特性を変更したい場合はこの……人? と契約すればいいの?」
「然り」
「ただ、無限に出来るって訳には行かないわ」
「それだと、バランスがヤバい事になるからナァ……ただでさえ忙しいなんだからサ」
バランス?
「あのぉ……バランスって?」
「あぁーごめんヨ、それはキミ自身でたどり着けないと行けない話なんダ」
「ああ、いずれは判る」
「その時までお預けだわ」
「そんな事ヨリ、質問はしないのカ?」
「あっ!」
えっと……質問質問……。
何を質問すればいいの!?
そうだ!
「この間私の目が翠色になったの! それはどうしてかな?」
「あぁーそれカー」
「それはあの子が貴女の代わりに出たからよ」
「汝も命の危機を感じた彼女が無理矢理表に出た故に起きた現象だ」
あの子? 彼女?
それって……。
「…………ッ!」
「ウン、キミがお姉ちゃんって呼んでる子だヨ」
「……やっぱり彼女が……本物のレフィーヤなのですか? あの時、お姉ちゃんが言ってた言葉が嘘なのですか?」
「否、彼奴も言っていたがレフィーヤとは汝であり彼女では無い」
「それは……」
「安心しろ、汝は本物である事は揺るがない事実だ」
「そう……ですか……」
「それにあの子も今、この奥に眠っているわ。先日、無理矢理と表に出たのだからね」
美しい女性は扉をちらっと見た。
あの空間はあの中にあるのね……。
「ああ、数年前と同じ様にしばらくは起きないのだろう」
「数年……前?」
「貴女が初めて“生まれた”夜の事よ」
「ッ!!」
あの日、お姉ちゃんが何かしたの!? 私に何かやったの!?
「何を……したのですか?」
「あの夜、キミを転移をさせたのが彼女だヨ」
「転移? そんな魔法があるのですか?」
「ああ、ある」
待って、そんな魔法は聞いたことがないよ!? 私の知識やアイデアがあっても再現は出来なかった?! なのにお姉ちゃんができるって!? どう言う事?
彼等に聞きたいことが更に増えた、だが突然と彼らの身体が光出した。
「時間の様だ」
「残念だわ……」
「もう少しゆっくりと話したかっタ!!」
「待って! まだ沢山聞きたい!!」
「すまぬ、時間はもう無い……だが次の瞬間もいずれはやってくるのだろう」
「ごめんネ……」
「ワタクシ達は貴女を見守ってるわ」
「そ、そんな!!」
「……最後に質問するぐらいなら構わんぞ?」
「ッ!! 私って結局なんなのですか!?」
『まずはボク全員と契約しなくちゃね』
『そしてその資格を持った貴女は』
『この扉の先にその答えを得るのだろう』
そんな言葉を言った後、彼等の姿が何処にもいなかった。
居るのはずっと拘束されているイフリート……。
「……わかる?」
『その答えは言えないのだ』
「……そっか」
『すまん……』
じーっと扉を見つめる。
この先に何があるの?
そもそも私の根源であるお姉ちゃんって何者?
「……わかんないなぁ」
『……』
「私って……本当に居ていい存在なのかなぁ?」
『……当たり前だ』
「…………そんなの」
『オマエは存在してはいけないなどありえん』
「…………」
『オマエは我々の愛しい子なのだから……』
身体が光初めて、そして自分の意識が薄れて行く……。
『オマエはオマエだ。オマエが心配する偽物などでは無い、それは我々が保証する』
さっきまで駄竜と罵倒されたイフリートの優しい声が心に響く。
—————大丈夫、貴女は私何ですから。
何処からかそんな優しい声が聞こえた様な気がした。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
イフリート:
金属特性変化の犯人、ノームさんマジで風評被害。
四大精霊:
イフリート以外は真名はまだ言えない。
お姉ちゃん:
崩落後に主人公が無事な理由はこの人。
主人公の後片付けをする為に力をかなり使って、今は眠っている。
転移魔法や大地の力は使える?らしい。
主人公:
ずっと自分の存在意義に不安を覚えている、本人にとってレフィーヤに憑依して彼女の立場を奪う自分自身が許せない。