翌日になり、私は無事に退院を許されました。
「お世話になりました」
「今度こそ身体を大事になさってください」
「ぜ、善処します」
なんだかんだでアミッドさんに見送られながら帰り道に着くと、途中でとある事に思い付いた。
———リリちゃんの
そうと決まれば、行動は早かった。
装備に食べ物……色んな店を見回った。
そして現在、私は
これでも違うと色々悩まされた、その時———。
「これも違うなぁ……」
「何が違うの?」
「ひゃっ!?」
突然、後ろから声を掛けられた。
振り向くとそこにはアイズさん達が居ました。
「やったね、アイズ。エヘヘへ、ドッキリ大成功!」
「……大成功?」
「いや、そもそもドッキリじゃないでしょう、これ」
「え? え? え?」
悪戯が成功して大喜びのティオナさんがきょとんとしているアイズにハイタッチ行い。
そしてそれを呆れた顔で見つめたティオネさん。
そして何より困惑している私。
「レフィーヤは何やってんの?
ティオナさんはずずっと顔を近づいて来た。
「あっ……いえ……私は行かないので……」
「えぇ〜なんで〜絶対楽しいよ? 行こうよ! ねー! ねー!」
彼女はそのまま私の両肩を掴み、そのまま何度も揺らした。
「あいてッ!?」
ティオネさんが絶妙な手加減で彼女の頭をチョップした。
「こら、バカ妹。昨日はロキにも言われたでしょう!」
「えっ!? そうなの!?」
「あんたねぇ……そもそも———」
そのままティオネさんが説教を始めたが、ここでアイズさんが私に語りかけた。
「レフィーヤが行かないのは、私の事嫌いだから?」
「あっ……いえ、そんな事ないですよ」
「じゃあ、ベル達が反対だからなの?」
「いいえ、寧ろ行くべきとせがまれました」
「なら、どうして?」
アイズさんは悲しそうな顔を浮かべた。
彼女とはあの18階層での話し合いからはたまにこうやって私に話しかける様になった。
私が入院中の時も頻繁にお見舞いに来るし。
「えっと、皆さんは遠征の疲れを癒す為に行くのでしょう? 部外者の私がいても変に気を使わせちゃうから……ってのが主な理由かな?」
そう言うとアイズさんが「ムッ」と頬を膨らませた。
何この人めっちゃ可愛いんですけど? 後でベルに自慢しようっと。
「レフィーヤは部外者じゃないし……それに今更だよ?」
ぷくっと頬を膨らませながらアイズさんが私から視線を逸らした。
ほんと、可愛い。
「……ヘスティア様達にも言われています」
「じゃあ、一緒に行こう?」
彼女はそのまま私の手を両手でぎゅっと握りしめた。
ベルが見たらきっと羨ましいだろうね。
まあ、それはそれとして。
「ごめんなさい、今回はやっぱり遠慮します、皆さんで楽しんで下さい」
「……そっか」
私が断るとアイズさんはしゅんと悲しそうな顔をしていた。
撫でておこう……。
「それで? あんたはここで何やってるの?」
説教を終わらせたティオネさんが私に質問した。
よく見ると後ろには真っ白なティオナさんが垂れていた。
「えっと、それはですね———」
私は彼女達になぜ自分がここに居るのかを簡潔に説明した。
「プレゼント……」
「なるほどね……」
「リリちゃんへのプレゼントかぁ……で? 何にするのは決まったの?」
「いえ、まだまだ迷っています……そもそも装備か服か食べ物かですらもまだ決まっていません……」
「……あの子には装備でいいと思う」
するとアイズさんは意見を出した。
「どうしてですか?」
「あの子も強くなろうとしているから?」
「……えっと?」
正直、アイズさんがどう言う感覚で見ているのかわからないですね……。
でもリリちゃんが強くなろうと頑張っているのは知っているし……やっぱりここは装備でいいと思うか……。
「確かにリリルカには変な服をあげるよりかは装備の方がいいわね……ついでにイチゴのクッキーでもあげれば大喜びするでしょうし」
「それは確かに……服自体はこの間沢山買いましたし……」
「なら決まりじゃない?」
ティオネさんはそう言って、私の手を引っ張った。
「あんたが
「えぇっ!?」
突然の提案に驚いた私。
「それぐらいしないとアイズが拗ねちゃうわよ?」
くいっとアイズさんの方に視線を送るティオネさん。
「……私は拗ねてない」
ムッとした顔でこちらを睨むアイズさん。
「プレゼントは何がいいのかな〜」
もはや、私を見ていないティオナさん。
この後、彼女らが満足するまで私は買い物に付き合わされたのでした。
あっ、でもプレゼントはちゃんと買いましたよ!
☆
「ただいま帰りました……」
『おかえりー』
リリがホームに戻ると台所の奥からレフィ様の返事が聞こえる。
少し顔を出すと、レフィ様は楽しそうに夜食の準備をすすめている。
「あっ、ご飯はまだだよ。部屋にゆっくりしといてね」
「あの……ヘスティア様は?」
「ん? まだアルバイトから帰って来てないよー」
「そうですか……ではリリは自分の部屋で時間を潰します」
「うん、わかったー。ふんふふんふん♪」
レフィ様が楽しそうに鼻歌を奏でながら料理をしているの見た後、リリは二階にある自分の部屋に向かいました。
———中途半端に手を出すよりかは堅実に進めた方が、時に必要だと僕は思うんだ。
———まずは自分の長所を伸ばした方が私はいいと思っている。
本日、フィン様やリヴェリア様に相談した時に言われていた事を思い出した。
「……中途半端よりは……自分の長所を」
リリは部屋の前で立ち止まっていた。
そもそもリリの長所とは?
レフィ様の様な圧倒的な魔法も無ければ、ベル様の様に前衛に務まる訳でもない……ヴェルフ様の様に装備を作れたりする事も出来ない……。
状況に合わせて、様々な戦い方をするのが今までのリリでした。
マジックスクロールで応戦する時もあれば、クロスボウで援護をする事もある。
前衛が消耗して代わりに前に出た事もあれば、混戦になると臨時の指揮だってやる時もあった……。
どれもが……中途半端……。
そんな中途半端なリリが【調合】に手を出すと無理がある……そう言うのは引き続き
【魔導】も【怪力】も、あの二人のサポートを務まると、余計に中途半端になってしまう。
【耐異常】は一番堅実なのですが……これだけのレアアビリティを無視して取るべきなのでしょうか?
———リリの好きなのを取るといいよ。
———やっぱり、リリちゃんが欲しいと感じる物を取るといいよ。
———これはキミの物語だからね、誰かに任せるよりかはリリ君が一番欲しかった物を選ぶといいよ。
以前言われていた事を思い返しながら部屋に入った。
本当はわかっている。
元より欲しかった発展アビリティは既にあった。
けれど発現可能なレアアビリティの数々を見て……悩んでしまった……。
「……迷う事なんて……必要なかったのに」
自分の部屋を見渡すと少し違和感を感じた。
それはテーブルの上に綺麗に包まれた箱が置いてあったのだ。
———リリちゃんへ。
箱の上に置かれた手紙にはそう書いてあった。
リリは箱を包んだ紙を綺麗に取り外し、中を覗いてみるとそこには真新しいブーツが入っていた。
そしてそのブーツを手に取るとわかる……見た目とは裏腹にその軽さを。
「【へファイストス・ファミリア】の
一体どうやってこんな高級品を……いや……まあ……書いてある名前を見れば一目瞭然だけど……。
そのままブーツを抱き締めたまま、リリは台所に向かって走り出した。
「ふんふふん♪」
台所には相変わらず鼻歌を歌いながら料理をしているレフィ様。
そして食器を準備しているベル様の姿もあった。
「あの!!」
大声でそう叫ぶと二人ともの視線がリリに向けられた。
「これ!! ありがとうございます!!」
きょとんとしているベル様とニッコリ笑っているレフィ様。
「うん、どういたしまして」
リリの反応を見て嬉しそうに笑うレフィ様。
「え? なに? 僕はさっぱりだけど!?」
そして困惑しているベル様。
「「なんでもないです!!」」
私たち二人は声を揃えながらそう言った。
「えぇ〜!? 僕にも教えてよ!?」
そんなリリたちに不服そうな顔を浮かべたベル様。
そんな彼にリリ達はただただ笑っていた。
「みんな、ただいま!!」
そして、帰ったヘスティア様の声が聞こえた。
『おかえりなさい!!』
みんなで揃ってその声に返事した。
それからはただただ穏やか時間を過ごした。
どうか、こんな素敵な日々がずっと続きます様に。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
そろそろ突入するかなぁ?