多分後で全力で後悔するだろう!
私はヘルメス様から告げられた言葉の意味を未だに理解出来ずにいた……いや、正確には理解をしたくなかったかも知れません。
ただ現実逃避するわけにもいかない……。
これはフィンさんが想定した最悪のシナリオの一つ……地上での穢れた精霊の召喚。
「……
「ああ、その通りさ」
なんとも言えない表情で答えたヘルメス様。
「まっ、待つんだヘルメス! 何故
突然と話を割り込んだヘスティア様。
まあ、もっともの疑問ですよね、私だってそう思います。
「そこら辺はアルテミスに直接聞くといい、オレは出発の準備を進めてくるよ」
「ちょっ!? ボク達はまだ行くとは言っていないぞ!?」
振り返らずに部屋から出て行くヘルメス様に叫ぶヘスティア様。
「……大丈夫さ……
変に信頼されたなぁ……。
一方、ヘスティア様はぐぬぬぬと悔しそうな顔を浮かべた、まあ否定出来ないよね……ウチは基本お人好しばっかりだし……。
☆
ヘルメス様が退室した後、ヘスティア様はアルテミス様に向き合っていた。
「……行く行かない以前に、何故こうなったのか、ボクに……ボク達に説明して欲しい」
その言葉に対してアルテミス様は苦痛の表情を浮かべた。
やがて彼女は口を開く。
「……ヘスティアは何故私が
「ん? ああ、確かどっかの遺跡にある封印を護る役目があるとかそんな感じだったね……まさかッ!?」
「……ああ、一ヶ月前ぐらいに突然とその封印が解かれた、元々封印自体が弱っていた事もあり、その封印の強化の為にウラノスに応援を頼んでいた……だがそれでもそんな短期間で解かれる筈がなかった」
「第三者の介入が有った……そしてそれが
アルテミス様はゆっくりと頷いた。
「どうやったのかわからないが、奴らは私の神威の結界を突破した上に無理矢理に封印を解いた……そのせいでアンタレスが解き放たれた」
「奴らはその
「それはどうだろう……そもそも我々が駆け付けた時に奴らは丁度“ナニカ”をアンタレスに植え付けた瞬間だったんだ……」
「その“ナニカ”はヘルメスが言った宝玉の事だね」
「ああ、あの不気味なぐらい真っ赤な宝玉の事だ……」
そこでアルテミス様は一旦喋るのをやめた。
よく見ると彼女の手が震え出した。
「それからは地獄だった……」
「使役されたいにしえの
ヘスティア様の言葉を否定するかの様にアルテミス様は首を振る。
「宝玉を取り込んだアンタレスは使役される事はなかった……更なる強さを手に入れたアンタレスはその場に居た者全員を虐殺した……私の
『ッッ!?』
この場に居る全員は思わず息を呑んだ……。
依頼された
「……私は……私はただ見ているしか出来なかった……大事な
「……アルテミス」
「……私は……私はただ逃げるしか出来なかった!! みんなが戦っているのに、私はッッ!!」
「アルテミスッ!」
ヘスティア様は震えたアルテミス様を強く抱き締めた。
抱き締められたアルテミス様はヘスティア様にしがみつきながら泣き叫んだ。
家族を失った女神の泣き声はただ虚しくこの病室の中に響いたのだ。
☆
やがてアルテミス様が少し落ち着きを取り戻すと、ヘスティア様は彼女の手を握った。
「辛いのはわかる……ボクだってキミにこの話を続けさせるのは心苦しいんだ……それでもボクは知らなければならない……何故ベル君の力が必要である事を?」
ヘスティア様の言葉を聞いて、アルテミス様は弱々しく笑った。
「ああ、わかっている。まず初めにアンタレスについて説明する必要がある。元々のアンタレスは圧倒的な戦闘力を誇っている強力な
「うん、あんまりの強さに当時のキミも精霊達の力を借りる必要があるってへファイストスから聞いたよ」
「そう……だが結局アンタレスは強い
「違う?」
「ああ、宝玉を取り込んだアンタレスは最早精霊そのものだった……宝玉を取り込んだばっかりの時でさえ私の
「そんな事があり得るのかい!?」
ヘスティア様は驚きを隠せなかった。
でも私には……わかる、精霊の力を持つ
「前例のない事だから……正直私もなんとも言えない……だが精霊の力を手に入れたアンタレスの前に下界の子供達にはあんまりにも無力だ」
「だから……ベル君が持つ槍なのかい?」
「……ああ」
みんなの視線はベルが持つ槍に集まった。
信じられないぐらいの情報量を持つあの槍は……精霊を殺せるだけの力があると言うのか……まああるだろうけど。
「だがソレを使えばキミ自体が後戻りが出来なくなるだろう!?」
「……それは覚悟の上だ」
「……き、キミはそれでいいのかい!?」
「ああ」
今度はヘスティア様が顔を俯かせた、アルテミス様はそんな彼女を優しく撫でた。
「ヘスティア、危険な戦いになるのは承知の上だが……どうか私に力を貸してくれないか?」
「…………ッ!」
「……ダメ……なのか?」
「……決めるのは……“ボク”じゃない」
今度は顔を上げたヘスティア様は私たちを見た。
女神の神意ではなく……私たち自身で決める……そう言う事だね。
「……神様、僕はやるよ。この槍が僕を選ぶのならば……僕はその役割をやり遂げるよ……」
ベルは優しく微笑みながらそう答えた。
「……ベルがそう言うのはぶっちゃけわかってた。私も非力ながら力をお貸しします」
勿論、私も参加。
ベルが行くからってのもあるけれど、何故だか行かないといけないと……私の勘がそう告げた。
「勿論、リリも行きます! ベル様とレフィ様だけこんな危険な冒険に行かせるわけには行きませんですから!」
リリちゃんは力強く、そう答えた。
「おいおい、俺の事を忘れちゃ困るぜ? ヘスティア様と同郷って事はへファイストス様も同じだからな」
ヴェルフさんは笑いながらそう言った。
そんな理由でいいのかな?
「ヴェルフ様、そんな理由でいいのですか?」
リリちゃんも私と同じだった意見みたい。
「いいんだよ、こんな理由でも」
リリちゃんの頭を撫でながら笑うヴェルフさん。
あっ、リリちゃんが暴れ出した。
「まあ、こうなるよね……ヘルメスの予想通りってわけだ」
「……ヘスティア……みんな……ありがとう……本当にありがとう」
ヘスティア様に支えながら涙を流したアルテミス様。
今回は今までとは比べ物にならないぐらいキツい戦いになるのだろうね……。
そう言えば、さっきからイフリート達の声が聞こえないね。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
矛盾が沢山発生しそうな勢いだなッ!!
今更だけど!!