私が妖精になるのは絶対間違ってる   作:ZeroRain

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遅くなってすみません。


出発だ!

 やってきたのはオラリオを護る外壁の上。

 ぶっちゃけあんまり頼りにならない曖昧な前世の記憶だと、ベルがアイズさんとこっそり特訓している場所だね。

 

「ふふふ、どうだい? このヘルメスが用意した特注の旅の服装は?」

 

 ヘスティア様を含めた私達はヘルメス様に用意された服装に着替えさせられた。

 ベル、リリちゃん、ヴェルフの服装は如何に高級品の冒険者の服装に着替えた……。

 さてさて、私の服は……。

 

 ピンクのリボンが付いている大きな黒いとんがり帽子に大きな黒いコート……なるほど。

 コートの下は白いシャツに紺色のスカート、そして赤いリボンのネクタイ……靴は茶色の革のブーツ……待って! おかしいから! 

 これはどう見ても冒険者や魔導士の服装じゃないよね!? 

 

「ヘルメス様! 何ですかコレは!?」

「それはレフィーヤちゃんの為にオレが用意した特製の魔女の衣装なのさ! だって旅といえば魔女だろ?」

「何故に!? 色々可笑しいです!」

 

 旅(イコール)魔女なんて一体誰が決めた!? 

 もしも本当だったら他のみんなも同じ衣装を揃えてよ! 

 

「ハハハッ、天界では常識だ」

「そんな天界に住む神々ってなんなの!?」

「まあ、落ち着いてレフィーヤちゃん。そもそもその服装はレフィーヤちゃんの普段着とあんまり変わらないから気にしない気にしない」

「クッ……反論出来ない……」

 

 私は思わず崩れ落ちた。

 いや、まあ、確かに側から見れば日常的にどっかの学園の制服を着ている人にしか見えないけれど!! 

 

「オレとしてはその服装を経ったの数時間で揃えた事を褒めて欲しいんだけどね?」

 

 さあ、褒めてくれたまえ! と言わんばかりにドヤ顔を見せたヘルメス様。

 

「……男であるベル様とヴェルフ様は兎も角、リリ達のサイズはどうやって知ったんですか?」

 

 リリちゃんは冷たい目でヘルメス様を見つめた。

 

「……それは、企業秘密さ♪」

 

 爽快に笑いながら変態はそう言った。

 

「ヘスティア様! この変態全然懲りてません!!」

「ヘルメス、どうやらキミとはキッチリ話し合いをしないといけないみたいだね」

 

 ヘスティア様も絶対零度に等しい冷たい目でヘルメス様見つめる。

 

「は、はははは。いやぁー今日はいい天気だなぁー旅の始まりに合う素敵な天気だー」

「……今日は思いっきり曇りだけどな」

「ヘルメス様……」

 

 ヴェルフさんとベルが哀れそうにヘルメス様を見つめた。

 

「……どうやら賑やかな旅になりそうだ」

 

 離れている所からアルテミス様は儚げな表情で私達のやり取りを見守っていた。

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 一通りの装備の確認を済ませ、私達はヘルメス様からの出発の合図を待っていた。

 ヘルメス様曰く、今回は特別な方法で目的地に向かうらしい。

 

「なぁ、ヘルメス。まだなのかい?」

 

 ヘスティア様は若干疲れた顔でそう言った。

 出発までの時間が短過ぎてかなりドタバタだったからねぇ……。

 

「いや、もう来たよ」

 

 意味深な事を言いながら空を見上げたヘルメス様。

 

 ヘルメス様の視線の先にはなんと三匹の飛竜がいた。

 

『ッ!?』

 

 突然と頭上に現れた飛竜の存在に私達は驚きを隠せなかった。

 リリちゃんなんてクロスボウに矢を装填し始めたし。

 

「リリちゃん、アレを撃つのはやめてね?」

「何故ですか!?」

「あの子達からは敵意がまったく感じないの」

「……わかりました」

 

 取り敢えずリリちゃんに釘を刺した。

 リリちゃん自身はかなり渋っていたが、どうにか納得した様です。

 

『おおおおおおおおおおおれええええええええええがあああああああッッ!!!』

 

 そしてそんな叫び声と共に何者かが飛竜の背中から飛び降りた。

 大きな音と共にその者は姿を表した。

 その正体は——————。

 

「ガネーシャだッ!!」

 

 象の仮面を被った男神、ガネーシャ様でした。

 そしてよく見たら足が外壁に嵌っている。

 

「みんなお待たせ、これからオレ達はこの飛竜達を使って、大陸の果てにある遺跡に移動するのさ!」

「こ、この子達って言っても危険はないですか?」

 

 ベルは恐る恐る聞いてみた。

 彼の後ろには同じく恐る恐ると飛竜に近づくリリちゃんやヴェルフさんの姿があった。

 君たち、ガネーシャ様を手伝う気はないの!? 

 

「大丈夫だッ! 何故ならこの子達は卵の頃から我が【ガネーシャ・ファミリア】に育てられた大事な子供達なのだッ!」

 

 必死にハマった足を抜けようとしているガネーシャ様はそう言った。

 あっ、リリちゃんが手を貸してくれる様だ。

 あんな大きなガネーシャ様を軽がると持ち上げるリリちゃん、スゴっ……。

 

「安全性が保証されるのはわかったけど……これじゃ例え二人乗りしてもここにいる三匹だけじゃ足りないだろ?」

 

 ヴェルフさんのいう通り、二人乗りをしても、出発するのは私、ベル、リリちゃん、ヘスティア様、ヴェルフさん、アルテミス様、ヘルメス様の合計7人……一人乗れないですね。

 

「アルテミスはベル君やヘルメスと乗るのは厳しいからボクと乗るのはいいとして……確かにこれじゃどう考えても足りないね、どうしてだい?」

「ぶっちゃけッ! 残ったのはこの三匹だけだったッ!」

 

 いや、それはそんな自信満々に言う事じゃないから……。

 

「あぁーほら、さっきオレは言っただろ? オレの眷族(こども)達が先行部隊として行ってるって」

 

 申し訳なさそうにヘルメス様は事情を説明した。

 

「……つまりは殆どの飛竜は全部キミのところが使ったから残ったのはこの子達しかいなかったと?」

「そういう事だッ!」

 

 ヘスティア様の疑問に大きな声で返事したガネーシャ様。

 となると……。

 

 ———我が力を貸そうか? 

 ———「イフリート!? 今までどこに!?」

 ———少し野望用でな、それよりどうする? 

 ———「で、でも出来るのかな? かなり距離があるんだよ?」

 ———あのトカゲ共に速度を合わせれば良いのだろう? それぐらいはこの間やった様に(オーブ)を応用すれば可能だ。

 ———「いや……トカゲってあなたの事だよね?」

 ———我はトカゲではない! ……それより、どうだ? 練習も出来るのだぞ? 

 ———「ならば言葉に甘えて……っていうかノームは?」

 ———ヤツも直に戻る、その間にヤツの分の(オーブ)は我が預かろう。

 ———「二個同時に制御出来るんだ……」

 ———お前もいつか出来る様になる、要は慣れだ。

 

 そんなんでいいのか? 

 

「ヘスティア様」

「ん? なんだい?」

 

 席を決める為の話し合いをしているヘスティア様に声をかけた。

 

「私は自前で行くので大丈夫です」

「じ、自前!?」

 

 指輪から杖を出し、そして以前と同じ様に魔法で二つの球体を作った。

 移動の要になる杖の制御を完全にイフリート達に任せる予定なので、移動中の精神力(マインド)消費の心配もない……便利だよね……。

 私はそのまま浮かんでる杖に座り、乗り心地を確かめた。

 

「……うん、乗り心地は快適ですね」

「き……キミは本当に……」

 

 突然に頭を抑えたヘスティア様……ごめんなさい。

 

「狡いです! リリも乗りたいです!」

「あははは、じゃあ乗ってみる?」

「やった!!」

 

 私が譲ったら嬉しそうに杖に座るリリちゃん。

 けど後ろには羨ましそうに彼女を見つめるベルとヴェルフさん……。

 まあ、彼ら自身も乗りたいらしくて、しばらく乗った後リリちゃんは渋々と譲った。

 私が離れていても効果があるのは恐らく(オーブ)のお陰、なのでこれから私以外の人に貸す事も可能ですね! 

 

「こ……こんなの……ありなのかい?」

「少なくとも、オレが知っている限りアスフィやリューちゃんには出来ない芸当だね」

「だ……だよねぇ……ああ……へファイストス達になんて言えばいいんだ……」

 

 涙目で崩れ落ちたヘスティア様と引き攣った笑顔で返事するヘルメス様。

 そしてそんな泣いているヘスティア様を慰めたのはアルテミス様でした。

 

「ヘスティアは苦労しているのだな……」

「わ、わかってくれるのかい!?」

「ああ、だがなんだか……ヘスティア自身も楽しそうに見える……」

「ちょ!? ボクはマゾじゃないぞ!?」

「いや、別にそういう意味で言っているわけではないが……」

 

 なんだか女神様達が騒がしいけど、気にしない様にしよう……。

 

 みんなで話し合った結果、組み合わせはベルとリリちゃん、ヘルメス様とヴェルフさん、そしてヘスティア様とアルテミス様で決まった。

 そして私自身は基本杖で移動して偶にはベルとリリちゃんと交代という扱いで決まった。

 

 さて、これは私達は短い様で長い旅の始まりだ。




ここまで読んで頂きありがとうございます。

次の更新はは2日後を目安に頑張ります!
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