私が妖精になるのは絶対間違ってる   作:ZeroRain

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短い癖に難産でした……。


旅の途中……

 異世界での空の旅って言うのは素晴らしいって思うんです……けれど……。

 

「流石に飽きた……」

 

 そんな言葉はため息と共に思わずこぼれ落ちた。

 

「あはは、流石に四日も同じ景色ばかりだとそうなるよね……」

 

 そんな私の言葉に後ろに座っているベルが思わず苦笑いを浮かべた。

 あっ、そうそう。今は私とリリちゃんが交代していて私は飛竜の上に乗っています。

 遠くを見ているとかなりハイテンションで杖に跨るリリちゃんはいます。

 

「リリ君、危ないからあんまりはしゃがないでくれ、頼むから」

「はーい、ごめんなさい」

 

 心配そうな表情を浮かべながら見守っているヘスティア様に謝るリリちゃん。

 どうやらあの(オーブ)によって制御された杖は私が認めた人に限るが自由自在に飛ぶ事が出来るみたいです。

 ちなみにこのやり取りはもう何回目もやったので正直もう見慣れている。

 イフリートとノームによって制御された杖は落下防止も完璧らしい。

 

「それにしても流石に俺もこの景色を見飽きたぞ?」

 

 如何にも飽きたと言う表情を浮かべながら愚痴るヴェルフさん。

 

「ははは、旅って言うのはそう言うもんさ。それに今回は観光する余裕もないからね」

 

 彼の背後に乗っているヘルメス様はそう言った。

 あの神の言う通り、今回は観光の為にこの飛竜に乗る訳でもない。

 

「僕もヴェルフの気持ちはわかるけど、けどね今の僕らは観光よりも出来るだけ一刻も早く遺跡に着かないといけないんだ……」

 

 ベルはヘスティア様の後ろに座っているアルテミス様を見ながらそう言った。

 

「そうだったな……アルテミス様、軽薄な発言で本当にすみません」

 

 自分の飛竜をアルテミス様の飛竜の近くまで下げて、そのままヴェルフさんは深く頭を下げた。

 

「あ、いや、こちらこそ気を使わせて申し訳なかった……」

 

 そんなヴェルフ様に対してアルテミス様はただ軽く微笑んだ。

 アルテミス様も今は穏やか表情を見せたが心の中はきっと様々な想いでぐちゃぐちゃになっているのだろうね……。

 

 その時———。

 

「ッ!?」

 

 突然、張り巡らした感知魔法から凄まじい数の魔物(モンスター)の反応を感じた。

 

「どうしたの? レフィ姉?」

 

 心配そうに覗き込むベルだが、私は更に反応が来た方向に集中的に感知魔法を飛ばした。

 そこには数え切れない程の魔物(モンスター)の群れが何人かの村人を襲っている事がわかった。

 

「ッッ!!」

 

 私はそのまま飛竜から飛び降り、自分自身に浮遊魔法を掛けた。

 

「ちょっ、レフィ姉!?」

「この先に襲われた人達が居る! 悪いけど私は先に行くから!」

 

 そう言い捨てて、私は魔法による超加速を利用して、襲われた人達の元に駆け出した。

 

「ま、待ってよ!? クッ、リリ! 杖を僕に貸して!」

「は、はい!!」

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 着いたその場所は最早地獄だった。

 蠍の様な魔物(モンスター)が次々と村人達を蹂躙していた。

 何人か応戦している人は居るが、数が数だけに対処し切れない。

 

『ッ!?』

 

 私はそのまま数多な魔法の矢を召喚し、片っ端から蠍型の魔物(モンスター)を一斉に攻撃した。

 この魔物(モンスター)は一匹一匹が脅威ではないけれど、数だけは異常に多い。

 

「この数はキラーアントもドン引きする数かもね……」

 

 そしてただ下手に魔法をぶっ放して良いって言うわけでもない。

 

「村人を巻き込みそうで……下手に魔法を撃てない……」

 

 その為にいつも以上に集中力が必要……。

 イフリート達が居ればもっと楽だろうけど……今の私にあの(オーブ)を二つ以上作ることができない……要練習ですね。

 

「出来ない事を嘆いても仕方がない、出来ないのならば自力で制御をすれば良いだけだから!」

 

 次々と魔法の矢を放ちつつも一本一本制御を行う。

 ベルとヴェルフさんが前方で戦う時は彼らに当たりそうな魔法だけ制御をしていたが、今は多数の人達が居る、その負担はその何倍も何十倍にもなっている。

 

「……このままじゃジリ貧だね」

 

 自分で言うのはアレなんだけど……自力で飛びながら百本単位の魔法を制御するって言うのは改めて頭おかしい……。

 けどそのおかしな光景を上回るのがこの蠍共だ。

 倒しても倒しても倒し切れないと言う無限湧きじゃないかって疑いたい気持ちにもなる。

 

「レフィ姉! お待たせ!」

 

 ベルは杖に跨りながらやって来た。

 やってきた彼は杖を残してそのまま地上に飛び降りた。

 

「村人の皆さん、一刻も早く避難してください! これより僕も加勢します!」

「あんたらは一体!?」

「僕らは旅の冒険者です!」

「た、助かった!」

 

 今まで戦っている人達はベルの登場により今までの絶望にありふれた顔が一気に明るくなった。

 私が来た時はそんなには成っていなかったけどねぇ……。

 いや……何も言わずにそのまま魔法をぶっ放したからそりゃそうなるよね……。

 

「セイッッ!! ハァアアッッ!!」

 

 ベルは村人を襲った蠍を片っ端から片付けた。

 

「レフィ姉! 村人の方は僕に任せて!」

 

 君って本当……よく出来ている弟だとつくづく思うよ。

 

「うん、任せて」

 

 逃げ回っている村人達はベルが何とかしているのならば私は周りを一斉に殲滅するだけだ! 

 

 空中に数千本の魔法の矢を召喚する……人々を巻き込む心配はもうない……ならばもう遠慮は要らない……そっちは脅威的な数を持つのならば……こっちはそれを超えれるだけの殲滅力を持っていけば良いだけ……ただそれだけ……。

 刹那に、無数の矢が天から降り注ぎ、蠍達を貫いた。

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 ここからでも見える天から降り注いだ無数の矢の雨。

 その破壊力と裏腹にとっても美しくとっても神秘的でそして同時とっても懐かしかった。

 

「アレはレフィ様ですね」

「違いないな……あんな出鱈目な魔法はアイツ以外思いつかん」

 

 レフィ君とよく冒険をしている二人は最早慣れていると言わんばかりの感想をこぼした。

 

「マジで!? レフィーヤちゃんってもうこれ程なのかッ!?」

 

 ヘルメスはもう何度目かわからない変なテンションになり。

 

「……まるでキミだね」

「…………」

 

 アルテミスは驚きのあんまりに目を開いた。

 今、ボク達の目の前に起きた出来事はまるでアルテミスの権能の一つだからだ。

 まあそれに比べたら数も威力もまだまだだけど、それでもこの無慈悲に天から降り注いだ数多の矢達は黒い蠍の魔物(モンスター)を次々と葬った。

 この光景はまるでアルテミスの怒りそのものみたいだ……。

 

「……ああ、だがこの程度ではアンタレスを倒す事は不可能だ」

「そうか……」

「だが心が少し楽になった……と思う」

 

 とっても悲しそうな声でアルテミスが呟いた。

 アンタレスを倒さない限り彼女はその苦しみから解放される事はないのだろうか……。




ここまで読んで頂きありがとうございます。

次話はまだ未定ですが、今週中に出せる様に頑張ります!
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