スピラ・スピカはいいぞ(布教)
————翌日
まだ眠そうなヘスティア様に見送られ、今日もベルと私はダンジョンに向かう。
バベルに向かって歩いている最中に突然、隣を歩いてるベルがあっちこっちを見回しだして、まるで誰かを探すかのように。その様子を見てもしかして、神フレイヤに見つかったのかな? そんな不審な動きをしたベルを見ながらそう思った。本当はベルがこのファン兼ストーカーに見つかって欲しくない、なにせ彼女は気に入った子供に試練という名の愛情表現で問答無用でこっちを殺しにかかるからね。
「すみません、これ落としましたよ?」
そんな私たちの後ろから声を掛けられた。そして振り向くとそこにはウェイトレス姿の女性が居る。あざとかわいいの人で覆面エルフ(cv.早見沙織)の親友であるシル・フローヴァさん。
そして覆面エルフ……一体何リオンなんだ……。って違う! 今はそんな話じゃない!
私が馬鹿な事を考えてる間にベルはシルから魔石を受け取った。その顔には一種の疑問があるようだが、自分の勘違いだろうと思ってそう。……弟よ、もう少し疑い深くなりましょうよ……。まあ無理だろうけど。
「あっ、それでこの人はボクの義理の姉のレフィーヤ。僕はレフィ姉って呼んでる」
「えっ!? エルフが義理の姉!?」
「はい、そうですよ? 初めまして。レフィーヤ・ウィリディスと申します」そう言って私は右手を差し出した。握手ですよー、もちろん素手で。
「……えっ!? あっ! す、すみません! 私はシル・フローヴァって言います」
驚いてはいるがすぐに私の手を握る、この反応はよく見るからもうあんまり気にしてない。何故彼女がこういう反応を見せているのかと言うとエルフは自分が認めた相手以外に決して肌の接触を許さない種族であるから、私のように気にしてない人はどっちかと言うと少数派。
「それでね、レフィ姉。シルさんが働いてる店で今夜、食べに来ませんかって誘われちゃって。神様も誘って3人で食べに行くのはどうかな? 『豊饒の女主人』っていう名の店らしいんだけど」
見事に美人局に捕まったね、この子。一人でやって行けるかな? お姉ちゃん心配だよ……。
「『豊饒の女主人』かー、少し値段を張るお店だけど料理は美味しいって評判ね。私は別に全然構わないよ?」
「じゃあ決まりですね! 御来店をお待ちしております!」
嬉しそうなシルさんに見送られながら私たちは再びダンジョンへ向かった。今夜の夕飯代を稼がないとね。
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やって参りました、5階層です! 昨晩でステイタスが上がり、私とベルは余裕を持ってこの階層の探索を出来るようになった。ベルは目の前のコボルドを次々と倒していくため、正直私の出番があんまりない。暇だからと言って別々に探索するのは論外です。ダンジョンでは何が起きるのかわからないから、けどそろそろ我慢の限界だから——。
「私にも戦わせて……よね!」そう言ってコボルドに向かってメイスを振った。そんな私の様子を見たベルは即座に謝ってから別のモンスターに斬りかかる。
それからしばらくすると、私たちの目の前にゴブリンが4体ほど立ちはだかる。そんな敵を倒そうとするベルを私は止めた。
「試したい事があるから、私にやらせて?」
ベルはただ無言で首を縦に振る、何故こんな事をしたかっていうと私は重複発動を試したかった。先日は土の壁を重複で発動が出来たから、逆に攻撃魔法にも出来るんじゃないかと私は考えた。だからイメージするのは4本の高速で目の前の全ての敵を貫く炎の矢。そして空中にそれが現れた、メラメラと燃え上がる4本のフレイム・アロー。現れた炎の矢は凄まじい速さでそれぞれ別のゴブリンを貫いて周りのゴブリンたちは魔石を残して全て灰と化した。
そんな魔法を見たベルは目を輝かせながらこちらを見ている。この子の魔法に対する憧れはわかってたけど、多分魔法を手に入れてもこんなデタラメな魔法じゃないからがっかりすると思うよ……。
今度は別の魔法を試す、己自身や武器に魔法を纏う。付加魔法(エンチャント)という類の魔法だ。だがこれは予想を超えて、私のメイスがたった一撃でボロボロになってしまった、ギルドから配布されたメイスで試して良かったよ。純粋に魔法を付加する事が出来るのなら、攻撃魔法を吸収し自分に纏わせる事も出来るんじゃない? あっ、でも下手すると死んじゃうね。やっぱなし!!
一通り魔法を試した後、私たちはダンジョンを後にし、一度ホームに戻る。
ついでにベルのステイタスを更新したヘスティア様はすぐ様に機嫌が悪くなり、バイトの打ち上げだ! と言いホームを後にした。
そんなヘスティア様を見送ってから私たちは『豊饒の女主人』へ向かうのであった。
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