私が妖精になるのは絶対間違ってる   作:ZeroRain

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2000文字あればいいなぁと思いながら書いている。

誤字脱字の報告や感想いつもありがとうございます!!


眠れる妖精

 今、僕達はヘルメス・ファミリアの野営地に居る。

 傷付いたレフィ姉を連れて撤退する僕達は直ぐに彼らと合流する事が出来た。

 まああんなに派手な魔法がいきなり現れたらそりゃ居場所が直ぐにわかるか……。

 

「納得行かねぇ……」

 

 ヴェルフは何度目かわからない愚痴を溢す。

 

「ヴェルフ、その話はもう良いって決めたでしょ?」

「そう言うけどな! やっぱ俺は納得行かねえ! レフィーヤが倒れた途端に全ての攻撃が止むってアイツは完全に俺らを舐め過ぎているだろ!?」

「それは……」

 

 僕はそれを言い返せなかった、

 実際、僕らが無事に合流出来た理由はそれだったから。

 アンタレスからすればレフィ姉抜きの僕達は気にする必要なんてない、例え僕達が“槍”を持ったとしても自分を倒せるとは思っていない。

 恐らくアンタレスはそう思っているのだろうね。

 

 ———何も出来ないのが悔しい……。

 

「……まだ起きてるのかい?」

「神様……」

 

 水が入っていた桶を持った神様が僕達に声を掛けた。

 呆れた顔を浮かべたがその顔に若干疲れが見えている。

 レフィ姉が倒れてから神様とリリはずっと看病していたので無理も無い。

 

「レフィ君のお陰でアンタレスは”槍“への警戒を薄めている、ボクらの道はまだ閉ざされていないんだ」

 

 そう言ってヘスティア様は僕の背中にある”槍“に視線を向けた。

 

「そしてチャンスは明日の遺跡攻略だけだ。それを見逃すと……恐らく次はない」

 

 そう言って神様は僕の頬を優しく撫でた。

 

「レフィ君は必ず治る、ボクは断言出来る。ただ明日には間に合うかどうかは……わからないんだ。彼女が抜けた穴は【ヘルメス・ファミリア】がカバーするとは言え、辛い戦いになるのは間違いない……それでも……お願い出来るかな?」

 

 神様はそう優しく呟いた。

 そして僕の答えだって勿論もう決まっているんだ。

 

「———はい!」

 

 僕は僕が出来る事を全力で打ち込むだけだ、だから……姉さんも早く帰ってきて。

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

「うぅッッ……」

 

 レフィ様がまた魘されている……。

 野営地に着いた時からずっとそうでした。

 ですがレフィ様はただ魘されるだけでは無く、高体温による汗が止まる事はなかった。

 その他には塞がれた傷口からは謎の模様が広がり始めたが、不思議な事に今はもう傷痕周りにしか残っていない……。

 リリはヘスティア様と一緒にそんなレフィ様の看病を続けている。

 

「リリ君、帰ったよ」

 

 新しい水が入っていた桶を持ったヘスティア様が戻ってきた。

 

「お疲れ様です」

「何か変わったかい?」

「いいえ、特には」

 

 ヘスティア様はリリの答えを聞いてただ「そうか」と言って、レフィ様の身体を優しく拭き始めた。

 

「……ヘスティア様」

「なんだい?」

「レフィ様は本当にスキルで対抗しているのですか?」

 

 ヘスティア様は言った、レフィ様は状態異常の無効化するスキルを持っていると……ただ無効化スキルを持っているのならば、何故彼女がこんなにも苦しんでいるのだろうか? 

 

「……何故最初から無効化されないのはボクもよくわからないが、あの変な模様が徐々に消えたのは無効化スキルがちゃんと発動している証だよ。それにちゃんとステイタス更新で確認したしね」

 

 倒れているレフィ様のステイタスを無理矢理に更新して、件のスキルを確認する程心配だったヘスティア様は困ったように笑った。

 

「……ヘスティア様はもう少し休むべきです」

「その言葉そのままキミに返すよ?」

「……ですよねぇ」

「明日は遺跡突入があるんだ、ベル君のサポーターであるキミには出来れば休んで欲しいんだけどね?」

 

 苦笑いしながら延々とレフィ様の汗を拭くヘスティア様はそう言った。

 

「リリは確かにベル様のサポーターなんですが、同時にレフィ様のサポーターでもあるんですから……明日の遺跡攻略時に支障がない程度にお世話します」

「キミも頑固だね」

「なんたって、リリはヘスティア様の眷族ですから」

「いやいや!? ボクはそんなに頑固なのかい!?」

「ええ、意外と」

「なにをー! このストロベリーモンスター!」

「苺は関係ないでしょ!?」

 

 それから先までの重苦しい空気が消え、まるでホームに居るかの様な空気が流れ始めた。

 気紛らわせ程度にしかならないと思いますが、ずっと落ち込んでいるヘスティア様を見たくなかったです。

 しばらく騒ぎ出すとテントの入り口がバサッと開かれた。

 

「……何やってるんだ、お前達は」

 

 ジト目でリリ達を見下ろしているアルテミス様がそこに立っていた。

 

「別に戯れるなとは言わない、だがもう少し小さい声でやれないのか?」

「「ご、ごめんなさい」」

「それでレフィーヤは?」

「呪い自体がもう殆ど残って居ない……とりあえず峠は越えたと思う」

 

 ヘスティア様の答えを聞いて、アルテミス様は何とも言えない表情を浮かべた。

 

「精霊の呪いを身に受け、たったの数時間で克服しているんだぞ!? おかしいと思わないのか!?」

「いやだって、レフィ君だし?」

 

 精霊の呪い、あの時レフィ様を貫いたのはその類の魔法だってアルテミス様が言った。

 それも最も強力な呪いの一つである、魔導士殺しの呪いだったと言ってました。

 その呪いが発覚した時、神達の反応が二つに分かれた。「そんなのありえない!」と驚くヘスティア様とどうすれば解呪が出来るんだと悩んでいるヘルメス様とアルテミス様。

 ヘスティア様の反応がおかしいと感じたヘルメス様はその理由を聞いてみたら。

 

 ———「レフィ君は状態異常無効化スキルを持っているんだ。だから本来なら呪いなんて受けない筈だった」と答えた。

 

 最初は馬鹿なとみんな思っていたが、万能者様の証言でヘスティア様が言ってた事は本当だって証明された。

 

 ———「以前あった24階層の事件で、彼女は麻痺などの状態異常を一切喰らわなかった、だが何故か敵は彼女の身体を乗っ取る事は出来た」

 

 それを聞いてみんなはレフィ様のスキルを「万能そうに見えて、穴だらけの無効化スキル」と評価した。

 だけど、今そのスキルが徐々に呪いを克服しているのを見ると、やっぱり出鱈目だと改めて思う。




ここまで読んで頂きありがとうございます。
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