私が妖精になるのは絶対間違ってる   作:ZeroRain

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頑張ってるけどやっぱり短い……。
申し訳ない気持ちでいっぱいです。


アンタレス(1)

 そして夜が明けると同時にベル達は遺跡の前に立っていた。

 遺跡突入の準備を済ませている眷族(こども)達を横目にヘスティアなどの神達は一つの扉の前に立っていた。

 

「この遺跡には私が施した特殊な結界が張られていた……筈だった」

「君が施したその結界が破られて、闇派閥(イヴィルズ)の連中がアンタレスを復活させた……で合っているのだな?」

 

 ヘルメスの指摘に慣れた手付きで扉を開こうとしているアルテミスは小さく頷いた。

 

「そしてアンタレスの再封印と結界の再構築の為に私達は無謀な戦いに挑んだ……」

「……アルテミス」

「彼女達の犠牲を持っても再封印は叶わなかった……だが遺跡に結界を張り直す事に成功した……」

 

 復讐に燃える眼差しのアルテミスに対してヘスティアとヘルメスはなんとも言えない表情をしていた。

 同郷神である誇り高い月の女神がこの様に復讐に囚われていい筈がない……二柱の神は心の底からそう思った。

 

「アルテミス」

 

 そんな彼女にヘスティアは弱々しい声で呼び掛けた。

 

「……言わなくてもわかっている……間違っている事だってわかっている……だがこれは……これだけは許せないんだ……お前に悲しい想いをさせるかもしれない……だがこれだけは許してくれ……」

 

 その答えにヘスティアは何も言えなくなった。

 ヘルメスはそんな彼女の頭を優しく撫でた。

 

「……俺も言いたい事が山程あるが……ここは一つだけ言おう……俺が認めた”英雄“はしつこいぞ?」

 

 ヘルメスの言葉を聞いてアルテミスは一瞬その手を止めたが、彼女はすぐ様に最後の仕掛けを解いた。

 

「……そうか」

 

 そんな言葉と共に遺跡の扉が開かれた。

 こうやってベル達による遺跡攻略が開始された。

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 遺跡の中は最早不気味としか言いようがない場所だった。

 アンタレスの卵らしい物体が天井や壁に無数に張り付いていた。

 

「うわぁ……ヌメヌメしてて気持ち悪いですね……」

 

 嫌そうな表情を浮かべながらリリルカが愚痴った。

 

「何言ってんだお前だってあれぐらいの気持ち悪いモノ作ってるだろ? すげえ臭えし」

 

 そんなリリルカに対してヴェルフは呆れた声で返した。

 それを聞いたリリルカは不服そうに彼を睨む。

 

「アレは何より臭いが凄かったよねぇ……」

 

 ベルも苦笑いしながらその”物体“の事を思い返した。

 

「アレはわざとそうやって作ったのですから仕方ないじゃないですか」

「それは勿論わかるんだけどね……でもやっぱりあの衝撃が凄かったねぇ」

「違いないな……っとどうやらもうお客さんが来たみたいだ」

 

 ヴェルフのその一言で和気藹々の【ヘスティア・ファミリア】の雰囲気が一気に変わった。

 彼らの前方から黒い魔物(モンスター)がウジャウジャと現れた……アンタレスの眷族だ。

 

「では、出発時に決めた通り。道中での戦闘はベル・クラネルに極力戦わせない方針で行きます」

 

 アスフィの一言でリリルカ達や【ヘルメス・ファミリア】が一斉に動き出した。

 そして本命であるアンタレスとの戦いを見据えているベルは静かにその戦いを見守っていた。

 その戦闘が終わり、再び歩き出したその時にヘスティアはベルに話しかけた。

 

「平気かい?」

 

 ベルはこっくりと頷いた。

 

「……今の僕に出来る事はただ体力消耗を極力しない事ですから」

「本来はこの道中こそレフィ君が最も輝く場面と思わないかい?」

「あぁーそれは思ってます」

 

 ベルは柔らかい笑顔でそう返した。

 

「……もうキミの心配は要らないみたいだね!」

 

 ヘスティアは満足そうな顔でベルの背中を思い切り叩いた。

 

「……後悔をしない為にボク達が出来る事を全てやろう!」

「はい!」

 

 そう言ってベルとヘスティアは二人揃って右手を挙げた。

 それを見たヘルメスは思わず笑った、その一方、ヘルメスの隣に居たアルテミスはただ無表情でそれを見つめるだけだった。

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

「ねぇ、もうみんな出発したよね? 間に合うかな?」

 

 現実では未だ眠っているエルフの少女、レフィーヤは焦りを隠せなかった。

 

 ———「……後もう少しだから落ち着いて?」

 

 何処からともなくそんな声が響いた。

 

「で、でも……」

 

 ———「大丈夫、自分の家族を信じなさい」

 

 そう言って頭に響くその声が無くなった。

 

「……みんな」

 

 今の彼女に出来る事はただ祈るだけだった。




ここまで読んで頂きありがとうございます。

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