私が妖精になるのは絶対間違ってる   作:ZeroRain

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少しずつ投稿ペースを戻したい所です。

短いですがよろしくお願いします。


アンタレス(2)

 リリ達が遺跡に突入してからどれぐらい時間が経ったのだろうか? 

 対処は出来たものの押し寄せる敵の群れが途切れる事なく続いた。

 

「……ハァハァ」

 

 ヴェルフ様は上がり始めた息を必死に整える。

【ヘルメス・ファミリア】の様な高レベル冒険者は兎も角、レベル2に成り立てのリリ達にとってこの連戦はかなり厳しいものだった。

 

 ———キシャァッ!! 

 

 そしてヴェルフ様が疲労で油断している所に敵の内の一匹が襲い掛かった。

 

「クッ!?」

「ヴェルフ様!?」

 

 そんな時、一本の矢が襲い掛かった敵を貫いた。

 

「二人とも一旦下がって」

 

 後衛の方から弓を握っていたベル様がリリ達に声を掛けてくれた。

 

「……わりぃな」

「ごめんなさい……」

 

 謝っているリリ達に対してベル様はニッコリと笑った。

 それからリリ達は渡されたポーションを飲み、そして体力を回復しながら後衛でサポートに回った。

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 時間が経つに連れて、状況が悪化し始めた。

 リリ達を襲い掛かる魔物(モンスター)が更に数を増した。

 

「アスフィ、このままだとキリがないぞ?」

 

 前衛組のリーダーを任されたファルガー様はそう言った。

 

「……ファルガーの言う通りだ、このままだといつまで経っても中心部に辿り着く事は出来ないよ?」

 

 セイン様もファルガー様の言葉に賛成の様だ。

 

「……ならば、ここからは魔法で敵を一気に殲滅して、駆け抜けましょう」

 

 その言葉を聞いた覆面のエルフやメリル様は詠唱を始めた。

 彼女達に続いて、リリも腰にある矢筒に入っている一本の“矢”を抜いた。

 

「リリ君、それは“今”じゃないんだ」

 

 ヘスティア様に止められて、“矢”を放つ事を辞めた。

 

「……すみません」

「ううん、キミが謝る事はないよ……ただその”矢“は出来れば取っておきたいんだ」

 

 そう言われて、リリは手元にある”矢“に視線を落とした……これはレフィ様がこの旅の途中で作った試作品の一本……。

 ヴェルフ様が精製金属(ミスリル)で鏃の部分を作り……そしてレフィ様がそこに魔法を刻んだ……正真正銘の魔法の矢。

 試作故に、出来たのは2本……火と大地だけ。

 その威力も未知数だったが作った本人曰くいつも使っているスクロールの100倍以上の魔力が込められている。

 

「……レフィ様は何故こんなモノをリリに渡したのですかね?」

「まあ、彼女の事だからね。リリ君に役立つと思って作ったんじゃないかな?」

「……そんな軽い動機でこんな常識破れのアイテムを作らないで欲しかった」

 

 ため息を吐きながらリリはそんな琥珀色に輝く矢を再び矢筒に戻した。

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 突入してから数時間、襲い掛かる敵を倒しながら進むベル達はようやく中心部の入り口と思われる扉を発見した。

 そしてそこには———。

 

「……武器や旗が沢山散らばってますね」

 

 周りを見渡すと、そこにはかなりの数の装備品があるものの“死体”だけが存在していなかった。

 

「……まさか、アンタレスが喰ったっていうのか?」

 

 誰かがそんな言葉を呟いた。

 

「……私は戻ってきたよ……君達の無念を晴らす為に……ここへ戻って来たよ……」

 

 アルテミスがその場に膝から崩れ落ちながら泣いていた。

 そしてその時、ベルは一瞬だけアルテミスの周りに無数の光が彼女を包み込んだのを見た。

 

「……ッ!?」

 

 だがベルが瞬きをしていると、その光が綺麗さっぱり消えていったのだ。

 

「……今のは」

 

 そんな光景に驚いたベルの横目に、リリルカはある事に気づいた。

 

「……もう目の前に居る筈なのに何故リリ達は襲われていないのでしょうか?」

 

『ッ!?』

 

 その言葉を聞いたみんなは息を呑んだ。

 

「……俺らは随分と舐められているみたいだね」

 

 ヘルメスは肩をすくめながらそう言った。

 

「……最早、ヤツにとって我々は格好の餌食に過ぎないからな」

 

 ヘスティアに支えられながら立ち上がるアルテミスが扉を睨む。

 

「……ならば好都合です。ここで最終調整を行いましょう」

 

 そう言ってアスフィはサポーター達にポーションを配る様に指示を出した。

 

「おい、ベル」

 

 そして装備を確認しているベルにヴェルフが声を掛けた。

 

「? ……ってうわっ!?」

 

 ヴェルフから渡されたのは1本の剣だった。

 

「一応、耐久重視の魔剣だ……万が一の為に持ってけ……ただ“器”で使う場合はあんま期待すんなよ?」

「……うん、ありがとう」

 

 ベルは道中に使った弓をリリルカに渡し、必要最低限だけの装備を身に付けた。

 腰にはヘスティア・ナイフと2本の短剣が鞘に収まっている、彼の背中には“最終兵器”である“槍”と先程ヴェルフから受け取った魔剣。

 そして持っていたポーションホルダーにはエリクサーなどの高級のポーションが入っている。

 

「……ふぅ」

 

 ドクンドクンと高鳴る心臓の鼓動と共にベルが先程まで感じた緊張感が徐々に薄れた。

 

「……では、行きましょう」

 

 アスフィの号令と共に最後の扉が開かれた。




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