私が妖精になるのは絶対間違ってる   作:ZeroRain

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※《c》オリ展開注意報《/c》※

なお主人公は登場しません。


アンタレス(5)

 戦闘が長くなるに連れて、苛立ちを覚えたアンタレスはその尻尾で周囲を薙ぎ払った。

 

「グアァ!」

「キャーッ!」

「クッ!?」

 

 最前線でアンタレスの注意を惹きつけたファルガー達が一斉に吹っ飛ばされた。

 ずっと前衛で立っていた彼らの装備が最早限界に達し、これ以上の戦闘が困難な状況になっていた。

 

「此方がボロボロになる一方で彼方はダメージを受け無い……」

 

 周りの状況を見渡したアスフィがそう呟いた。

 

「ファルガー、みんなを連れて一回下がりなさいッ! ホセ、セイン、スィーシアはファルガー達の仕切り直しが終わるまでアンタレスを注意をッ! リオン、ベル・クラネル、ヴェルフ・クロッゾ、貴方達もお願い出来ますか?」

 

「わかりました! 轟けッ! 『不滅の雷』(ユピテル)

「了解だッ! 喰らえッ! 『水華』」

 

 アスフィの指示を聞いた彼らはそれぞれの攻撃を放った。

『ルミノス・ウィンド』を放つリューに、複数の雷の槍を撃ち出したベルそして【クロッゾの魔剣】を使用したヴェルフ。

 

 攻撃をもろに喰らったアンタレスは少しよろめいたがすぐに何事もないかの様に立ち直った。

 そしてアンタレスに与えたダメージも徐々に回復し始めた。

 

 その様を見たアスフィ達の表情が更に厳しくなった。

 いくら頑張っても彼らが試した全てが振り出しに戻る……。

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 そんな絶望的な状況の中にベルは己の中にある引き金を引いた。

 ベルは背中に有った魔剣を引き抜いて、それに不滅の雷(ユピテル)を纏わせた。

 

 ———(……やるしかないんだッ!!)

 

 彼はその胸にある想いを燃やした。

 イメージするのはやはり、アルゴノゥトだ。

 あの巨大な敵(ミノタウロス)の前に決して諦める事なく立ち上がる彼の姿を……何度も何度も想い描いた……。

 

 ———リーン……リーン……。

 

 ———(……けどそれだけじゃダメだ! ……アルテミス様を救いたいと言う想いを燃やせ……己の全てを賭けろッ!)

 

 生贄にされた姫()を救い出す為にアルゴノゥトは無謀な戦いに挑んだ……ならば僕だって出来る筈だ! 

 アルテミスを救いたいと願った彼の想いが引き金となり、18階層の時ほどまでには行かないが鐘楼の音が周囲に響き渡った。

 

 ———ゴォン……ゴォオン……。

 

 ———(……2分フルチャージ……この一撃に僕の全てを賭けるッ!)

 

 そう決めたベルは全力で駆け抜けた。

 『不滅の雷』(ユピテル)『英雄願望』(アルゴノゥト)で強化された彼の身体は凄まじい速度を叩き出した。

 そしてベルの動きに合わせる様にリューとヴェルフはそれぞれの攻撃を繰り出した。

 リューが放った無数の緑色の光の球が一斉にアンタレスに襲い掛かる、それと同時にヴェルフは自分が鍛えた魔剣で自然災害の様な現象を起こした。

 

「これがッ!! 僕の全てだッ!!」

 

 アンタレスは回避行動を取ったが、それだけではベル達の攻撃から逃れる事は出来なかった。

 

「キィィシャアアアアッッ!!!」

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 アンタレスの叫び声が遺跡に響き渡ったが回避行動を取っていた為、その魔石は未だ無事だった。

 

 命の危機を感じたアンタレスは必死にベル達から逃げようとして、部屋の中にあるもう一つの入口の方にその身体を引き摺った。

 

「逃げるつもりか!」

「させるかッ!」

 

 ホセとセインはそんなアンタレスにトドメを刺す為に動いた。

 

『我が女神の意志の為にッ!』

 

 だけど真っ白なローブを纏った複数の人間が彼らの道を阻む。

 

「何なんだい、あの連中は!?」

 

 突然と現れた謎の集団にヘスティアは驚きを隠せなかった。

 だがヘスティアとは違ってヘルメスにはその白いローブに見覚えが有った。

 

「……闇派閥(イヴィルズ)

 

 そしてアンタレスの前に一人の美女が姿を表した。

 

「うふふふふふ♪」

 

 その美女の姿を見たヘスティアは思わず目を開いた。

 一方、ヘルメスは帽子を深く被り、アルテミスは溢れ出す怒りを隠しきれなかった。

 神達はその美女を見た瞬間……全てを悟ったのだ。

 

「……キミが今回の件の黒幕なんだね」

 

 悲痛な表情でヘスティアはそう呟いた。

 

「アーテ……」

 

 アーテと呼ばれた美女はただ楽しそうに笑うのだった。

 

 アーテと呼ばれた女性はゆっくりとアンタレスに近づいた。

 

「何故こんな事をしたんだッ!」

 

 ヘスティアの叫び声を聞き、彼女は足を止めた。すると彼女はヘスティア達に向かってニッコリと笑うのだった。

 

「あらあら、変な事を聞きましたね、理由は単純よ? それが『私』(わたくし)だから」

 

 クスクスと楽しそうに笑った彼女にヘスティア達は戦慄を覚えた。

 そのとき、彼女の背後からは狂信者の一人が『ナニカ』を引き摺った。

 

「アーテッ! 君は一体何をしようとしている!?」

 

 引き摺られたその『ナニカ』を見たヘルメスは思わず声を荒げた。

 それもその筈だ……何故ならその『ナニカ』は紛れも無く———

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『神』なのだから。




ここまで読んで頂きありがとうございます。

感想や誤字脱字報告をいつもありがとうございます!

ここに来てギリシャからオリ神を一柱を打ち込みました。
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