後で書き直すかもしれない…。
「ねえ、オッタル。私あの子が欲しいわ」
「どの子でしょうか?」
「あの透明な魂を持った可愛らしい少年よ。あっ、でもあの子の隣に居るのはいらないわ」
「ならば、排除致しますか?」
「今はまだいいわ。少なからずまだあの子の成長に役に立ってるんだもの」
「仰せのままに」
「誰の眷族なのか調べないとね。お願い出来るかしら?」
「貴方様が望むなら何でも」
「ならお願いね、うふふ」
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私とベルは現在『豊饒の女主人』に来ています。シルさんが店主であるミアさんにベルが大食いと言ったせいで頼んだ料理が大盛りになった上にベルが遠慮したせいか頼んでもいないのにお酒を出されたりもしたが、店の雰囲気や料理の味が物凄く好きなので問題ない。
そんな私たちの前に料理を運び終えたシルさんが駆け寄った。
「お二人とも、楽しんでますか?」
「はい、とっても楽しいです」「圧倒されてます……」
それをみたミアさんは「冒険者を続けたいっていうならこういうのには慣れておきな!」と豪快に笑った。
そして、店の入り口からその声が聞こえた。
「御予約のお客様、ご来店ニャ!」
その声に釣られて、ほとんどの客が入り口の方に視線を向けた。
入ってきたのは何故かエセ関西弁で喋る赤髪の女神。(あえて言おう、原作を知らないと容姿だけを見て間違いなく男神と勘違いするのでしょう。その胸は最早絶壁である)
「なんかうちが馬鹿にされたような気がした!?」
「ロキ、入り口の前に立つな、みんなの邪魔になる」
そんな女神に続いて入ってきたのは緑髪の美しいエルフ、格差社会の激しいアマゾネス姉妹、怒りっぽい犬耳の青年、筋肉モリモリのドワーフ、ショタと間違えられるアラフォーおじさん、そして……金髪金瞳の美少女。全員が紛れもなく【ロキ・ファミリア】のメンバーだ。
神ロキに怒った美しいエルフ、リヴェリア・リヨス・アールヴは由緒正しきエルフの王族であり。オラリオに居るほとんどのエルフの憧れの存在。【ロキ・ファミリア】の最古参メンバーの1人。
次にアマゾネス姉妹は双子のティオネ・ヒリュテとティオナ・ヒリュテ。双子ではあるが、性格とかが違う。笑顔を絶やさないティオナと恋する乙女()のティオネ。それでもわからない人は、姉は“E”妹は“A”で覚えればいい、特に深い意味はない。
次は怒りっぽい犬耳の青年、正確には狼人のベート・ローガ。よく聞く評価は実力主義者かツンデレ。
筋肉モリモリのドワーフはガレス・ランドロック、その怪力はオラリオでもトップクラスを誇り、噂では大きな船すらも持ち上げられるほどの力持ちだとか。【ロキ・ファミリア】の最古参メンバーの1人。
次は若い少年に間違えそうな小人族の男、フィン・ディムナその見た目と裏腹に実はアラフォー。そして強い上にかなりの策士でもある。【ロキ・ファミリア】の最古参メンバーの1人と同時に団長。
そして、最後に言わずとも我が家のベルが絶賛片思い中のアイズ・ヴァレンシュタイン。
勿論そんな彼ら以外にも他の団員も来ており、騒がしかった酒場が更に騒がしくなった。
ベルはやはりっていうべきかチラチラとアイズさんの方を見ている。自分の片思い相手がこんな近くに居るんだ、本人は気が気じゃないでしょう。
「そうだ、アイズ。あの話聞かせてくれよ!」
「あの話?」
「5階層でミノタウロス相手に間抜けそうにしていた、雑魚2人の話だよ!」
突然、何気なく始まったその話題は紛れも無い、自分たちの事だった。他の団員はそんなベートに耳を傾けてその話を聞いている。そして、その逆に隣に居るベルは体を震わせた。
「あれは絶対狙ってるだろ! なぁ! あいつらに返り血がかぶるようにお前がわざとやってるだろ!」
「……違う、そんなんじゃない」
「あの雑魚どもが血を浴び、間抜けそうな声を上げながらお前から逃げた時は傑作だった! ぎゃはははは!!」
他の団員はそんなベートの台詞と笑いに釣られて笑い始めた。ベルは更に震え出して、今にも泣きそうになった……そんなベルに私が出来るのはベルの手を優しく握るだけだった……。
「ベートさん、もしかしてかなり酔ってる?」
「ベート! いい加減にしろ! あのミノタウロスは我らのミスだ、そんなミスを棚に上げて迷惑を掛けた彼らを笑いの種にするのはお門違いにも程がある!」
リヴェリアさん? ……様? はそんなベート・ローガに怒った。だがそんなベートは逆に怒り始めた。
「雑魚を雑魚って言って何が悪い! なぁアイズ! お前だってそう思うだろ!」
「思ってません……」
「お前だってあんな雑魚より俺の方がいいと思ってるだろ!」
「……そんな事を言うベートさんは嫌いです」
突然に始まった犬耳青年の告白劇そして次の瞬間彼は見事に振られた。そんな彼の様子を見たロキ・ファミリアの団員はまたしても笑いを起こし、ベートの機嫌が更に悪くなった。
「うるせえ! だったら聞くぞアイズ! 自分より弱くて、貧弱な雑魚野郎が気持ちだけ空回ってお前の隣に立つ資格があると言いたいか? それはありえねぇ!! 何故ならお前自身がそれを許さねぇからだ!!」
ベルの震えが更に激しくなり今にも逃げ出しそうな勢い、私自身は握った手に力が入る程怒りを覚えていた。
「雑魚じゃアイズ・ヴァレンシュタインと釣り合わねぇ!! 特にあの5階層の雑魚のような連中なんて尚更だ!!」
そんな台詞を聞いて、ベルの我慢が限界に達したのか、彼は私を残し酒場から逃げ出した。それを見た【ロキ・ファミリア】の団員は食い逃げか? と騒ぎ始めたがその騒ぎもすぐに消えた。一方、逃げ出したベルに気づいたアイズは彼を追いかけようとして外まで出たがすぐ様に戻ってきた。
泣きながら逃げ出したベルを見たミアさんは私にその目を向けた。
「すみません、後日謝らせて頂きますので今日はどうか許してあげてください」
「もしかして、先の話はあんたたちの話かい?」
「恥ずかしながら、……はい」
「そうかい……ん? なんだ【剣姫】? あんたの席はここじゃないよ」
ベルの存在に気づいたアイズさんは今度はまだ残っていた私の席まで来ていたようだ。
「私はその……彼女に謝りたくて……」
「あなたが私に謝る事はありません……むしろ感謝しています。助けて頂きありがとうございます」
頭を下げた私を見て、困惑したアイズさん。
「それでも私は謝りたい……」
「それなら弟に謝ってください」
「……弟?」
「先程店から出た少年の事です」
「え? ……でもあなたはエルフ「義理の弟です」……そうなんだね。わかった、君の弟に謝りに行くよ」
「はい、本人はきっと喜びますよ」
アイズさんはそう言って納得したのようだが、納得していない人も居た。
「あん!? なんでアイズが雑魚に謝らないといけねえだよ!?」
「……だいたいあなたのせいです」
「あ゛っ゛!?」
「あなたがベルを蔑んで、彼を傷付けたからです! むしろアイズさんじゃなくあなたが謝るべきです!」
「なんで俺は謝る必要があるんだ!? 雑魚が調子に乗るな! 殺すぞ!」
「あなたの言動は何一つ怖くない! あなたは私の家族を傷つけた! それだけで十分な理由です! ……グッ!?」
ベートは相当酔っているため判断力が鈍ったせいでもあって力一杯に私の首を絞め始めた。
「ベート!?」「おい! あのバカを止めろ!」「ベートさんいい加減にして!」
背後にいる【ロキ・ファミリア】の団員は彼を抑えて、私は再び自由になった。
「大丈夫かい? ……すまない、完全にこちらのミスだ……」と心配そうに駆け寄ったリヴェリア様。
「ゲホッ……、だ、大丈夫です……」
「まさか君に手を上げるほど酔っているなんて……【ロキ・ファミリア】にあるまじき姿だ……」深刻そうな顔をしたフィンさん
「すまんのぅ、後日、こいつにはちゃんと罰を与える。だからそんな目で見るなミア」とミアさんにも謝るガレスさん。
「うちに出来る事があったら叶えよう……「……ください」……
なんて? 「あの狼人を殴らせてください!」……自分何言ってるかわかる!?」
「あの人が私にやった事は別に怒っていません! ですが私の弟の心を傷つけたのはどうしても許せません!! だから殴らせてください!」
私の台詞を聞いた神ロキは爆笑をし、他の幹部メンバーは困ってそうな顔をしたが。どうやら殴らせてくれるらしい……。ミアさんはすごくいい笑顔をした。
「ふざけんな!! なんで俺はテメェに殴られなきゃいけねえんだ!!」
「ロキからの罰だよ、いい加減にして」
「そんなの知るか!! おい、バカゾネスども! 離せ!」
「いやだよーだ」「団長命令なんだから離すわけないでしょ?」
「ちなみに彼女は魔導師だから、魔法で一撃を入れるようだ。だからくれぐれも君の魔法を発動しないようにね?」
そんな【ロキ・ファミリア】のやり取りを無視し、私は精神を統一し、目の前の敵を打つイメージをする。ベルとの会話で一瞬だけ過ぎった技。魔法を拳に乗せて敵をぶん殴る。相手はレベル5の冒険者、ただ一本や二本の魔法じゃ足りない……今持っている全てをギリギリまで上乗せし、敵をぶっ飛ばす。想像するものは簡単、炎の矢を沢山、そしてそれを自分の腕に取り込む。
『集え、炎の矢よ! 我が敵を貫け!』
『フレイム・アロー!』× 100本
「なに……あれ?」「すごっ!?」「これは驚いた」「すごい……」
「アイツ死んだな」「無茶しやがって」
「おい!? なんだそれ!? 聞いてねえぞ!! ぎゃあああああああ!!!」
そんなベートの悲鳴は誰にも聞き取れなかった。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
もしかして:ブラコン?