短いですがよろしくお願いします。
アスフィ達と同様、ヘスティア達も撤退の準備を進めていた。
「よし、準備完了だ、けど残念な事にメリルの足はそれしか見当たらないけどね」
ヘルメスの言葉を聞くとヘスティアは自分が抱えた小さな包みに視線を落とす。
「……片足でも有れば治るって本当かい?」
「いつもなら兎も角、今の俺は大真面目だよ? メリルの事は聖女様に頼むつもりさ、彼女なら間違いなく治せるよ」
相変わらず胡散臭い笑顔で笑ったヘルメスにヘスティアは思わず長い溜め息を吐いた。
「……もし足が治っても復帰が困難な場合……僕が彼女の面倒を見るよ」
「……ははは、その時はお願いしようかな」
一瞬、言葉が詰まったヘルメスはヘスティアの背後をちらっと見た。そこにはアルテミスの姿があった、彼女は動く素振りを見せずにずっと何かをブツブツと呟いていた。
「……アルテミスもどうにかしないと」
「全く持ってその通りだけど、残念な事にそれは後回しだ」
「……わかっているよ」
ヘスティアは棒立ちのアルテミスの手を引っ張り、扉に向かって走り出した。
「……ハァ……本当にままならない旅だな」
ヘルメスはちらっとアーテを見た、そんな彼女は今も相も変わらず楽しそうに笑っているのだった。
☆
「リリ君、ヴェルフ君! 早くこっちに!」
ヘスティアはやって来る二人に何度も呼び掛けていた。
「「ヘスティア様!」」
彼女の前までやって来た汗だらけのヴェルフと直ぐにでも泣き出しそうなリリルカそしてヴェルフの背中にぐったりのベルの姿を見て、ヘスティアは悲しそうな表情を浮かべた。
「……すまないがヘスティア、感情に憑かれる余裕はない。ここから一刻も早く出るぞ」
ヘルメスの言葉で我に返ったヘスティアは直ぐに頷いた。
だが彼らが扉を潜ったその時———。
———キィィシャアアアアッ!!
再生を終えたアンタレスは彼らに向かって信じられない速度で迫ってきた。
「予想より復活が早いぞッ!?」
それを見て声荒げたヘルメス。
「アルテミス、早く扉を閉めるんだ!」
「……みんな……ごめんなさい……ごめんなさい……」
「アルテミスッ!」
ヘスティアの呼び掛けに全く反応を示さないアルテミス。
「しまった!?」
迫り来るアンタレスを止めようとしたリューとアスフィは狂信者達に邪魔されていた為、アンタレスの猛進を止めれなかった。
だけどそこで小さな人影が現れた。
「……どうか、みんなを守って下さい。『貫け! 希望の流星ッ! 【シューティング・スター】』」
小さな人影はリリルカだった、突然と現れた彼女は琥珀色の矢を即座に放ったのだ。
———パキッ
そして同時にリリルカ自身が持つ弓から嫌な音が聞こえていた。
———「その弓には
その弓は出発時に勝手に服を作ったお詫びにヘルメスから贈られた特別なショートボウだ、それにも関わらずヒビを入れるなるほどその矢の威力が凄まじかった。
そしてそんな矢に直撃したアンタレスは数
「……嘘でしょ!?」
それを見たリリルカは思わず言葉を失った。
「……もう一本」
彼女は二つ目の矢を抜こうとしたが、彼女はその途中でその手を止めた。
(……これじゃ意味が無い)
残っていた“魔法の矢”は“火属性”のみだった。
その故にアンタレスに放っても何の意味もない一撃となるだろう。
だがリリルカが悩んでいる間にアンタレスは既に次の攻撃を撃ち放ったのだ。
「ッ!? ———つ、『貫け! 希望の流星! 【シューティング・スター】!!」
それに気づいたリリルカは素早く矢を撃ち放った。
———パリンッ!
砕け散る弓と共に放たれた“魔法の矢”は真正面からアンタレスの攻撃とぶつかり合った、リリルカの矢は一瞬だけ攻撃を耐えていたが、直ぐ様に押し負けたのだ。
(……やっぱり威力の差は覆せない……でもッ!)
だがリリルカの攻撃も無駄ではなかった、あの矢のお陰でアンタレスの攻撃が僅かにずれたのだ。
———ズドォォンッ!!
そんな僅かにずれた攻撃がリリルカ達を横取って、彼女達に当たる事はなかった。
その結果にリリルカは血だらけの手のひらを強く握りしめていた。
———(……こんなじゃ……ヘスティア様を守れません)
浮かない表情をしたまま、リリルカは立ち尽くしたアンタレスを見つめた。
☆
———キィィシャアアアアッ!!
攻撃が外れたと理解したアンタレスは怒り狂い、再び攻撃を撃ち放とうとした。
その時———。
———ドガァアアアアアアンッ!!
元々筒抜けだったエルソス遺跡の天井から何か落ちてきて、そしてそれがアンタレスに直撃したのだ。
「……クッ!?」
「な、何が!?」
周りに居たリューとアスフィもその衝撃をもろに受けたが彼女らは直ぐに受け身を取った。
だがそれは狂信者達も同じ……筈だった。
一筋の光が再び落ちて来た、だが今度はリューとアスフィの周りに結界らしき物が張られていた。
「「……!?」」
———ズドォォンッッ!!
二度目の衝撃で周囲の狂信者達が全て吹き飛ばされた。
衝撃で上がった煙の中から一つの人影が立ち上がる。
「……あらあら?」
突然な出来事にアーテは驚きを隠せなかった。
空からやって来た乱入者は着ていた黒いコートやその山吹色のポニーテールを靡かせた。
「……
乱入者がポツリ呟かれたその言葉の直後に様々な色の魔法陣が空中で無数に現れた。
「
美しくも幻想的な雨が狂信者達に向けて無慈悲に降り注いだ。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
気が付けば初投稿からもう一年が過ぎました……そして思った……成長しないな俺。