私が妖精になるのは絶対間違ってる   作:ZeroRain

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短いです……。


オリオンの矢(2)

 突然と現れた女性に一瞬驚いたが、レフィーヤはすぐに戦闘体勢に入った。

 レフィーヤ以外のメンバーはその威圧感だけで彼女はフィンやリヴェリアなどと同じ領域に居る存在だと悟った。

 

「…………ッ!?」

 

 だがそれでも山吹色の妖精の猛攻は止まらなかった。

 レフィーヤは再び事前に準備された魔法の一つを彼女に放った……。

 岩から出来ていた大きな槍が彼女に目掛けて撃ち放たれたが、彼女は片腕でその魔法を受け止めた。

 

「フッ……やはり、この程度の威圧では止まらないのか」

 

 そう言って、魔法を握り潰そうとした彼女にレフィーヤは再び仕掛けた。

 

「……『拡張』」

 

 すると大きな槍に圧縮された魔力が暴発し、そこから数多な岩の槍が無情に彼女を貫いた。

 

 

 

 

 

 

 けれどその身体が数多な岩の槍に貫かれていてなお狂気に満ち溢れた笑顔を浮かびながら彼女はそこで立っていた。

 

「……面白い」

 

《パリンッ》

 

 その呟きと共に岩の槍がガラスの様に砕け散った。

 一瞬で傷が再生された彼女は直ぐ様にレフィーヤに飛び掛かった。

 

「———もっと私を楽しませろ…………なッ!!」

「……ッ!」

 

 飛び掛かった彼女はレフィーヤの首を一瞬締め付けたが、レフィーヤは直ぐに彼女の腕を魔法で切ったのだ。

 

「たかだか腕を切ったぐらいじゃ……甘いッ!!」

 

 だが信じられない速度で彼女の腕が再生され、再びレフィーヤの首が強い力で締め付けられた。

 

「……甘いのは貴女」

 

 レフィーヤは無表情でそう告げた。

 

「あ゛!?」

 

 すると何処からとなく現れた二匹の琥珀色の龍が彼女を襲い掛かった。

 

「……ッチ!」

 

 彼女はレフィーヤの身体を蹴り、その場から距離を取った。

 

「やはりお前は面白い……」

 

 彼女に蹴られたレフィーヤは何事もないかの様に受け身を取りながら追撃を仕掛けた。

 

「だがその程度で私を止められると思うなッ!」

 

 襲い掛かる龍を破壊つもりで勢いで放たれた彼女の拳は虚しく空振った……何故なら龍の狙いは彼女ではなく、今にもリリルカ達を襲い掛かろうとしたアンタレスなのだから。

 

 ———《グォォォォァアアアアッ!!》

 

「……き……貴様ァァアアア!!」

 

 次の瞬間、不意打ちを喰らったアンタレスの鳴き声と共にローブの女性の叫び声が遺跡中に鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 フワッとした意識の中で誰かの泣き声が聞こえた様な気がした。

 

「……ん」

 

 瞼を開くとそこには見慣れていた実家にある自室だった。

 

「……また実家?」

「……ヒック……ヒック」

 

 ベッドの方を見るとそこには泣きながら布団に包まった一人の女の子が居た。

 

「……あなた、どうしたの?」

 

 私は彼女に優しく問い掛ける。

 

「……ヒック……ヒック」

 

 でも女の子は質問に答えてくれなかった。

 おかしいと思った私は布団をゆっくりと捲った。

 だが布団が完全に捲られた時、先までの女の子の姿が何処にもいなかった。

 

「……どういう事?」

 

 すると今度は家の外から泣き声聞こえていた。

 素早く窓から覗く私の瞳に写ったのは森の方に歩いた“山吹色の髪“を持った女の子の姿だった。

 

「ッ!?」

 

 気がつけば私はその後ろ姿を必死に追い掛けた。

 だがいくら追い掛けてもその距離が縮まる気配が全くない。

 

「お願いだから待って!!」

 

 いくら呼び掛けても女の子は私に振り向いてくれなかった。

 

「待って!!」

 

 いくら叫んでも彼女は答えなかった。

 必死に追い掛けた私はバランスを崩し、転んだ。

 

「……どうして」

 

 不安と悔しさで自然と涙が溢れた。

 すると今度は真横に馴染んだ気配が現れるのを感じた。

 

 ———『……愛しい子よ』

 

「……あの子は……一体なんなの?」

 

 ———『……』

 

「……あの子が……本物のレフィーヤなんでしょ?」

 

 ———『……否』

 

「嘘を吐かないでよッ!!」

 

 ———『嘘は言っていない……あの子は”レフィーヤ“ではない……敢えて言うのならば……”残滓“だ』

 

「あの子が残滓って言うのならば本物は何処にあるのよ!?」

 

 ———『”本物“はずっと我の前にいる』

 

「嘘ばっかりッ!!」

 

 ———『…………嘘ではない……もう表に返すぞ』

 

 私が最後に見たのは悲しそうな顔を浮かべているイフリートの姿だった。

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 残されたイフリートの元に一人の女の子が恐る恐ると現れた。

 イフリートは少しの間、女の子を優しく尻尾で撫でた。

 嬉しそうに目を細めた女の子を見て、イフリートはあの夜の出来事を思い出す。

 

 

 

 

 

 ———「完全に砕けた魂を治すのに別の魂が必要ならば……私の魂を使ってよ」

 

 

 

 

 優しい笑顔で自分達に語り掛けた黒い髪に黒い目の少女の姿は消える事なく、イフリート達の魂にしっかりと刻まれた。




ここまで読んで頂きありがとうございます。
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