私が妖精になるのは絶対間違ってる   作:ZeroRain

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又の名は……闇の中の兎。

かなりグチャグチャなので後日修正するかもしれない……しないかもしれない。


オリオンの矢(3)

 そこは深い闇の中だった。

 光もない真っ暗なその空間にベル・クラネルはただ一人で立っていた。

 だが不思議な事に彼は自分をしっかりと認識出来ている。

 

「ここは一体?」

 

 ベルは何故自分はこの場所に居るのか思い出そうとするが、いくら考えても答えは出ない……。

 

「困ったなぁ……」

 

 その時、彼はある違和感を感じた。

 

「———え?」

 

 アンタレスに切られた筈の右腕が綺麗に治っていたのだ。

 

「あの痛みは本物だった……けど何故腕はちゃんと付いている? ここは夢の世界なのかな?」

 

 そう考えたベルは再び周りを見渡す。

 そして今度は何処からとなく弱々しい呼び声が微かに聞こえた。

 

 ———「……おねがい」

 

「誰かが……呼んでる?」

 

 ベルはその声の元へ足を運ぶが、だが今度は全く別の方向からその声が聞こえていた。

 

「あれ?」

 

 ———「……助けて」

 

 彼がその別の方向に行くと今度はまた別の場所から声が聞こえる……それが何度も繰り返された。

 

「……なんで?」

 

 ———「あのヒトを……救って欲しい……」

 

 ベルは再び周りを見渡す、そこは変わらず真っ暗な闇の中だった……。

 

 ———「オネガイ」「タスケテ」「イタイヨ」「ヤダヤダ」「ドウシテ」「スクッテホシイ」

 

 すると今度は様々な方向から声が聞こえた、だけど前と違って、声が何故か楽しそうにベルを嘲笑ったのだ。

 

「……似てるけど……違う」

 

 ———「……助けて」

 

「ッ!」

 

 その弱々しい呼び声に応えて、ベルは再び歩み出す。

 だがもうすぐ着くと思ったらその声が聞こえなくなった。

 耳を澄ませると、相も変わらず楽しそうな呼び声が彼を呼んでいる。

 ベルはその声の中から再び弱々しい声を探り、そして見つけた。

 

「……今度はあっち」

 

 ベルはそれを何度も何度も何度も繰り返した。

 失敗する度に嘲笑う声が増え、それでも尚彼はその足を止めなかった。

 そして気づくと、ベルの周りには彼を嘲笑う声しか聞こえなくなった。

 

「……」

 

 それでも少年は歩み続ける。

 たった一つの救いを求める声を探しに。

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 どれぐらい歩いたのだろうか? 

 自分に問い掛けても答えは出ない。

 周りには僕を嘲笑う声で一杯なのに、不思議と不安も感じない。

 

 ———「クスクス」「タスケテタスケテ」「オネガイオネガイ」「アハハハ」「ヤダヤダ」

 

 いくら馬鹿にされようが……いくら見下ろされようが……僕に出来る事はただ進むだけだから。

 

「……あれ?」

 

 そしてその笑い声さえも消えていた……だけど今度は僕の目の前にベートさんが立っていた。

 

『テメエみてえな雑魚は雑魚らしく引っ込んでろ!』

 

「……散々言われた筈なのに懐かしく思える」

 

 その言葉を吐いたベートさんを見て思わず苦笑いが出た。

 出会った頃は兎も角、僕に稽古を付けたベートさんはそんな事を言わない……、僕はそう信じてる、紛い物なんかに僕は騙されない。

 僕はそのまま偽ベートさんを無視して、前へと進んだ。

 

『———オイ、雑魚無視すんな!!』

 

 絶対言わないとわかっているから僕の歩みは止まらなかった。

 それからしばらく偽ベートさんの他に色んな人が現れ、彼らもまた次々と僕に罵倒を浴びわせた。

 リリにヴェルフにリューさんなどなどが次々と現れた。

 

「……なんのつもりかわからないけれど、君がいくらやろうとも僕はこの足を止めるつもりはない」

 

 そう言うと、みんなの幻が一斉に消えた、そしてその代わりにアイズさんとレフィ姉らしき姿に変わろうとした———

 

 

 

 

 がそれは叶わなかった。

 

 

 

 二人の幻が完成する前に何処からとなく現れた光が幻を掻き消した。

 幻を消した光はそのまま僕の前までやって来た。

 

「……助けてくれたの?」

 

 予想はしたがやっぱり光は何も答えてくれなかった。

 だが次の瞬間、光が眩く輝き始めた、その輝きが収まると一つの道筋がそこに出来ていた。

 

「この先に僕を呼ぶ声があるの?」

 

 そう聞くと光は上下に移動した、たぶん……「そうです」だと思う。

 

「だ、誰なのかわからないけど、ありがとうございます!」

 

 軽く光に礼を言って、僕は光が示した道を走った。

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 ベルが去った後、その光は人の形を取った。

 光が形を取ったのはヤケに高そうな鎧を着ている白髪の青年の姿だった。

 青年はこれからベルの冒険に想いを乗せながら楽しそうに笑った。




ここまで読んで頂きありがとうございます。
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