私が妖精になるのは絶対間違ってる   作:ZeroRain

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ほとんどリヴェリア様


女王が見た若き妖精

 ————リヴェリア・リヨス・アールヴは言葉を失った。

 

 事の始まりは、自分たちが見逃したミノタウロスが5階層まで逃げ出し、他ファミリアの冒険者を襲った事から始まった。そこでベートとアイズはそんなミノタウロスに襲われた2人の駆け出し冒険者を助け出しそして彼らに逃げられた……らしい。

 ベートはそんな彼らの様子を酒の席の笑い話にしたのだ、自分たちのミスであるにもかかわらず。

 

 ……そして最悪の展開が起こる。

 

 自分たちが宴会を開いたこの酒場に、その冒険者達が居た。ベートは彼らを笑いながら侮辱し、それに耐えれなかった2人のうちの片方が酒場から逃げ出した。アイズは逃げ出した方を追いかけようとしたが、すぐに戻ってきて、残っている1人に声をかけた。

 

 その冒険者……いや、同胞の少女の言葉を聞いて、私は驚いた。他種族を弟と呼んだその少女が望んだのは弟への謝罪であった。……だがここで酔っ払ったベートが横槍を入れ、彼女と言い争いになった。ここで又もやベートが予想外の行動を起こし、なんと冷静じゃないベートは彼女の首を締めた。それを見たフィンはすぐ様にベートを抑える命令を出した。……あのアホにはしばらく禁酒命令をする必要があるな。

 ベートから助けられた彼女に私、フィン、そしてロキが話しかけ、一方でガレスは今にも爆発しそうなミアを宥めている。ロキは謝罪として出来る事があれば叶えさせると言いだした。そこで彼女が願ったのはベートに一撃を入れたいとの事だった。それを聞いたその場に居た全員は言葉を失った。ミアは凄く嬉しそうだったが。

 

 フィンは彼女の戦闘スタイルを聞き、彼女は魔導師と答えた。ベートとは相性が悪い、何故ならベートの魔法は魔法を吸収する力を持っているからだ。当然それを聞いたフィンはベートにそれの使用を禁止した。これはお前への罰の一部だ、甘んじて受け入れろ、もちろん帰った後も罰は待っている。

 

 そこでまたもや予想外の出来事が起きた。彼女は短文詠唱で数多な炎の矢を召喚し、自分の腕に纏わせるようにしてベートを殴った。それを受けたベートは少し顔をしかめた。レベル5のベートが駆け出し冒険者の攻撃からダメージを受けるとは、短文詠唱であの威力……彼女がもし【ロキ・ファミリア】に入団していれば、私の後釜になっていてもおかしくなかったかもしれないな……。

 

 ベートの方は外傷が無く、少し毛が焼けたせいで焦げたぐらいだが、彼女の方は魔力を使い切ったせいなのか疲労が目に見える。いつ精神疲弊(マインドダウン)が起きても不思議ではない。

 

「ご苦労様、本当に見事な魔法だ。……もし良ければ名を教えて欲しい」

「……【ヘスティア・ファミリア】所属のレフィーヤ・ウィリディスって言います」

「むっ? 聞いたことないファミリアだな……」

「……はい、約一週間前に出来たばかりのファミリ……ア……で……すぅ……」

 

 そう言って彼女は意識を手放した。そんな彼女を支えながら私はベートを見た。

 

「どうだ、ベート? 一週間前に冒険者に成り立ての彼女の一撃は?」

「……チッ、雑魚は雑魚だ! その結果は変わらねえ! どんなに威力が高くても撃った後に精神疲弊(マインドダウン)起こすなんぞ話にならねえ!」

「フッ……彼女はまだこれからだ……あぁ、うちに来なかったのが惜しいぐらいにな」

 

 そんな私とベートの裏でロキが「嘘や!!! あんな子がドチビの所のなんて信じられるかあああああ!!!」と叫んでいたのはまた別の話だ。

 

「ミア、彼女は私たちがホームに……」

「ダメだ……」

「何故?」

「悪いが、彼女とその弟を傷つけたあんたらにはあたしは任せたくないね」

「……そうか、ならこれを彼女に渡して欲しい」

 

 そう言って私は大きな宝石をミアに渡した。私が渡したのはエルフの森から稀に取れる魔法杖の核と言うべきのモノ。本来、私が後継者を見つけた時にこれで杖を作り、そして贈る予定だったものだ。

 

「リヴェリア……それって……」

 

 私が渡したものを見てアイズは思わず声を上げた、アイズはあの宝石の意味を理解しているから。フィンとロキは多少驚いたがそれでも私の行動を黙認した。

 

「それは杖の核になるもの、彼女への謝罪の品だ」

「謝罪の品にしては随分と太っ腹じゃないか。なんか裏でもあるのかい?」

「なに、素晴らしい魔法を見せた駆け出しの若き同胞にちょっとした贈りものに過ぎない。それにその宝石を彼女に贈るべきと直感で感じていてな。その勘を私は信じるよ。そして、もし彼女がそれを売ったとしても私は彼女を非難しないさ」

「そうかい、あんたがいいって言うならあたしは何も言わんよ。……リュー、その子を二階の部屋に運びな」

「はい」

 

 指示された女給は私からレフィーヤを受け取り、二階に上がった。そんな彼女を見送った後、フィンは私に声をかける——

 

「本当に良かったのかい? あの宝石は君の後継者になるものへ贈る予定だった物だろう?」

「ああ、だが問題ない、また別の物を用意すればいいだけさ」

「カカッ、頭の固いエルフにしては随分と甘いじゃないか」

「うるさいぞ、筋肉ダルマ」

「やれやれ、君たちはいくつになっても本当に変わらないね、似た者同士の癖に」

「「貴様だけには言われたくないぞ! 若作りめ!」」

 

 そんなやり取りの後、未だ羨ましそうにレフィーヤ・ウィリディスを見ていた他の団員達には「あれは彼女に対する謝罪の意味を込めて贈った品だ。余計な事はするなよ?」と釘を刺した。

 

 一方アイズ達は。

 

「ねぇ、アイズ、リヴェリアがあの子にあげた宝石っていくらぐらいするの?」

「アレは凄く貴重な物だから、5000万ヴァリスぐらいってリヴェリアが言ってた」

「5000万ヴァリス!? そんな高いものあげちゃうんだ……リヴェリア凄いなぁ……」

「うん……そうだね……」

「やっぱまだ気にしてる?」

「……うん」

「そっかぁ、……早くもう1人の子にも謝る事ができるといいね」

「あんた達! いつまで外に居るの? 早く入りなさい!」

「やば! ほらアイズ! ティオネが怒る前に戻らなきゃ!」「うん」

 ➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

 

 ミア母さんから任された同胞をベッドに下ろし、眠っている彼女を見る。一週間であれ程の魔法を使える同胞……。何故か彼女との縁はこれからも続くだろうと心の何処かで感じていた。

 

「貴方は凄いです、ウィリディスさん。貴方はきっとクラネルさんと共に大きな事を成し遂げられるのでしょう。そんな貴方の未来、楽しみにしています」





ここまで読んで頂きありがとうございます。

しゅじんこうは もりのしずく をてにいれた
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