私が妖精になるのは絶対間違ってる   作:ZeroRain

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書いてる最中に2回データが消えて泣きそうになった


ミアさんマジでオカン※

 目が覚め、そこに広がる見た事の無い風景。

 

「……知らない天井……なんて」

 

 一度言ってみたかった台詞だ、うん。

 

「……それにしてもここってどこだろ?」

「ここはあたしの店の二階だよ」

「あっ、ミアさん。……ご迷惑をお掛けしました」

「冒険者にしては律儀なやつだな、あんたは。あんまり冒険者には向いてないじゃないか?」

「……そうでしょうか? そうだとしても、一応弟との冒険に憧れて、一緒にオラリオにやって来たんですけどね」

「あんたの行動基準は弟かい?」

「……まあ、はい」

「ったく、ブラコンを拗らせたエルフなんて、厄介な者が厄介な病を持つなんてな……」

「うぅ……」

 

 会話が終わり、ミアさんはため息を吐き。そしてポケットから袋に入っている何かを取り出し、再び口を開いた……

 

「これがロキの所のリヴェリアからあんたらへの謝罪の品だそうだ」

「リヴェリア様から?」

「そう、まあ受け取りな!」

 

 そうやって彼女はその袋を私に投げた。それを受け取った私はすぐ様に袋を開き、中に入っているものを見た。大きな宝石だ……

 

「うわぁ、綺麗……って、あ、あの……これって?」

「魔導杖の材料になる宝石だそうだ、使うか使わないかはあんたに任せるってあいつが言ってたな」

「えっと、それって? 「売ってもいいってわけだな」売るなんてとんでもないですよ!?」

「そうかい? まあ、それの値段は一応5000万ヴァリスらしいから売ったらそれなりの装備を揃えるだろうな」

「ご、5000万!? こ、これが!? こ、こんなの受け取れないですよ!?」

「それはもうあんたのものだから今更あたしに言ってもしょうがないだろ」

「か、返しますよ! 「返しても多分断られるぞ、あいつは頑固だからな」あうぅ……」

「素直に受け取りな、そして帰る時うちの誰かがあんたを送る。襲われる可能性あるからな」

「に、荷が重いです……」

「何言ってんだ、あんたは昨日レベル5に真正面から喧嘩を売ったんだ、こんぐらいは誤差だ誤差! ハハハハハ!」

「絶対誤差じゃないです!! ……はぁ」

「もし売るならあたしに言いな「えっ?」……あんたみたいなヒヨッコをみて騙そうとしてる連中は沢山いるからな、あたしのコネで売った方が安心だ」

「……どうしてそこまで?」

「あんたを気に入ったからさ! 理由はそれで十分だ」

「豪快な人ですね」

「これでも元冒険者だからな、こんぐらいじゃないとやってられないよ」

「な、なるほど……」

「それでどうするんだい?」

「主神が心配すると思うので帰ります」

「弟はいいのかい?」

「あの子は大丈夫ですよ、私信じてますから」

「そうかい……」

 

 今頃彼は想いを燃やしてるから邪魔されたくないでしょ。それに手伝いに行きたくても、今の状態の私は間違いなく足手まといだから。……非常に悔しいけど追いかける事は出来ない。

 帰る前に私は——

 

「……私の攻撃はあの人に届きましたか?」

「……はっきり言うけどいいかい?」

「はい」

「届かない、これっぽちもね。アイツは怪我ひとつもなくピンピンしていたさ」

「やっぱりそうですか……」

「けどな、あんたに殴られた後のアイツの反応はそれとは正反対だ。確かに外傷を与える事は出来ないがね、おまえさんは間違いなくアイツの心にはダメージを与えたさ。だからそんな顔をするな、可愛い顔が台無しじゃないか」

「う゛ぅ゛……」

「悔しいかい? 「はい……とっても……」ならその悔しさを忘れるんじゃないよ、なにせこれからさ」

「……これから?」

「お前さんがあたしらに見せた”可能性“のね」

「そんなのわかりません……」

「わからなくていいさ、おまえさんはおまえさんらしく生きればいいから。あたしはお前さんを応援してるよ」

「……ありがとうございます」

 

 ➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

 

 ミアさんとの会話を終え、私は店員の1人(ポンコツエルフ)に送られ、ホームへ向かった。ホームに着いた私が見たのは傷だらけのベルに抱きついたヘスティア様。

 

「神様……僕、強くなりたいんです……」

「……」

「みんなを……神様を……レフィ姉を守る力が欲しいんです……」

「……成れるさ、キミが望むなら」

「はい……」

 

 ヘスティア様はベルを優しく抱きしめた。

 

「……所でベル君、レフィ君は?」

「…………」

「ベル君……」

「さ、酒場に置いてきた……」

「キミは本当に……」

「神様!! 謝るの手伝って!! お願いします!!」

 

 ベルはヘスティア様に泣きつき、救いの手を求めていた。そのヘスティア様は私の視線に気づき、これから起こる事を察した。

 

「お姉ちゃんを守るって言いながら、そのお姉ちゃんを酒場に置いて逃げ出した弟ってどこの誰かな?」

「ひっ!? ……お許しを!!」

「今すぐお説教したいけど、もう疲れたから後にするよ。リューさん、ここまで送って頂きありがとうございました」

「いいえ、ミア母さんの命令ですから。ではおやすみなさい」

「うちのレフィ君を送ってくれてありがとうね、エルフ君」

「あ、ありがとうございます!! 明日謝りに行きます!!」

「いいえ、とんでもないです。……それとクラネルさん、また来て下さい、シルもミア母さんもきっと喜びます」

「は、はい!!」

 

 ➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

 

 ホームに入った私、ベルそしてヘスティア様はすぐに眠ってしまった。

 目が覚め、遅めの朝ご飯を準備をしている私とは別でベルはステイタスの更新を行った。そんなベルのステイタスを見たヘスティア様はため息をついたが癇癪は起こさなかった。強くなりたいと願ったベルを応援したいからだろう。

 

 ➖➖➖➖➖➖➖➖➖

 ベル・クラネル

 レベル1

 力 H 145 → G 246

 耐久 H 101 → H 189

 器用 H 154 → G 265

 敏捷 G 276 → F 339

 魔力 I 0

 

 魔法

「」

 スキル

「──-」

 ➖➖➖➖➖➖➖➖➖

 

 相変わらず凄まじい成長である。……そんなベルの更新が終わると今度は私の番だ。ステイタスを更新してる間、私は酒場で起こった事をヘスティア様に説明した。

 

「まったく、ロキめ! レフィ君に何があったらどうすればいいんだ! 訴えてくる!」

「多分そんな事をするだろうと先読みをしたからこれを渡したと思います」

 

 私はリヴェリア様から貰った宝石をヘスティア様に見せた。

 

「こ、こんな大きな宝石を!?」

「はい、ですが、ただの宝石ではないらしいです」

「と言うと?」

「これは魔導杖の材料だそうです」

「これがかい?」

「とっても貴重な物で値段は5000万ヴァリスもするそうです」

「ごっ!? ぐぬぬ……確かにこれでは訴えられないね」

「そもそも私は訴えるつもりはありません」

「えぇ!? 本当かい!?」

「ですから代わりにベルを侮辱した男を殴りました」

「なるほどね……キミがそう言うならボクはもう納得するしかないね。さあ! キミのステイタスを更新しよ!」

 

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 レフィーヤ・ウィリディス

 レベル1

 力 H 101 → H 121

 耐久 I 64 → H 112

 器用 H 107 → H 132

 敏捷 H 101 → H 123

 魔力 F 301 → C 532

 

 魔法

「四大元素魔法(エレメンタルマジック)

 ・可能性の魔法

 ・効果は発動時のイメージ依存」

 

 スキル

「四大精霊の寵愛

 ・魔法効果にプラス補正

 ・魔力消費軽減

 ・状態異常無効」

 

「妖精の親愛

 ・魔力アビリティに成長補正極

 ・愛想が続く限り効果が持続し同時に向上する」

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「ベル君よりマシかなぁって思ったけど、そんな事なかった! 魔力だけで200以上ってなんだよ!?」

「な、なんか……すみません」

「はぁ……」

 

 更新が一通り終わったらヘスティア様は私とベルにこう言った。

 

「ボクは2、3日ぐらい留守にするよ! だからボクがいない間は無理をするんじゃないよ! いいかい!」

「「は、はい」」

「それとレフィ君、あの宝石をボクに渡して欲しい」

「は、はい……でも売らないでくださいよ?」

「もちろん! ボクに任せて。それじゃあ、行ってくるよ二人とも」

「「いってらっしゃい!」」

 

 ➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

 

 キミ達は強くなりたい、家族を守りたい、それなのにボクは何もしていないなんて、ボクはそれを許さない! だから……だからボクはボクが出来る事をやるしかないんだ……。





ここまで読んで頂きありがとうございます。

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