勢いに任せて2話目です。
7/6》 TSタグを外したため。少し修正。
➖村外れの一軒家にて
ふむ、いつもなら孫と一緒にもう寝ておる時間だが、何故か今夜に限って嫌な予感がしておる……。
うむ、この予感を信じよう……。眠っている孫の髪を撫でてから、その老人は立ち上がった。その手には冒険者が自慢する武器ではなく、この村で作った斧があった。
「ベルよ、お爺ちゃんちょっと出かけるぞ」
ワシの言葉を聞いたか「うにゅ」と寝ぼけたベルから返事が聞こえた。
うむやっぱりワシの孫は一番じゃ! 将来はきっとワシ似のレデイースキラーになるに違いない!!
老人は森に向かって進んでいく、向かったその先にある出会いへ 。
そこにはまさに今だ! と言わんばかりに目の前には人を殺そうとするゴブリンと小さく蹲った少女という光景が広がっていた。
ワシは斧でそのゴブリンの首を切り飛ばした。まったく女子には優しくあるべきじゃろ!
はてさて、後はこの小さな女の子だけじゃのぅ……ざっと見た限りうちの孫とあんまり年が変わらない様だ。
とりあえず、ずっと黙っとるのもあれじゃのぅ……
「なんじゃ、嫌な予感がすると思ったらこんな所にエルフ娘が居るとはのぅ」
ワシの言葉を聞いて、女の子は顔を上げた、涙で無茶苦茶になっているがそれでもわかるほど可愛い顔、微かに聞こえる泣き声からでもわかる可愛いらしい声。安心したのかワシの顔を見た途端に女の子は気を失った。
「まったく、何故こんな辺境の地にエルフがおるんじゃ? ……いや、考えたらきりがないのぅ。まずはこの子を安全な所に連れて行く事が先決じゃ」
女の子を腕に抱きながら、ワシは自分の家に帰るために歩き出す。こうして、ワシとベルに新しい家族が出来たのであった。
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「うわっ!? って……あれ? ここはどこ?」
おはようございます、私です。昨晩バケモノに追いかけ回されて死にそうな体験をした後に気を失った私ですが。現在、知らない所にいます……。ここは最後に見たあの老人の家のでしょうか? とりあえずお礼をしなきゃ……。
ギィと扉の方から音が聞こえた気がして、そちらに顔を向けると。そこには小さな兎が居た。いや正確には小さな兎の様な少年がそこに居た。白髪に真っ赤な瞳、そして保護欲をそそるその顔。多分この子は『主人公』の『ベル・クラネル』だろう。
「あーえっと? こ、こんにちは?」
私から声をかけられるのは予想していなかったのか、ベルは可愛くビクッとなって。
「こここっこんにちは」と赤面をしながら彼は返事をした。
「ちょ、ちょっと待ってて! お爺ちゃんに君が起きたこと伝えてくる!」と言いながらすごい速さで逃亡した兎をただただ見つめる私であった。
それから数十分? ぐらい時間が過ぎた。扉を開く音がした。扉の奥から現れたのは昨日見た優しそうな老人に加えて兎のベル君、そして村の医師かな?
医師に軽く見てもらって帰ったあとに老人は私に声をかけた。
「何故あの場所にエルフの娘であるお主が一人で居ったのじゃ? あぁ、ワシには嘘は通じんからのぅ、それとワシの事はお爺ちゃんでいいからのぅ」
「……わかりません、気がついたらあの森の中に居ました」と正直に言うしかない自分がここに居る。
「ならお主が覚えてる限りでもいい、聞かせてくれんかのぅ?」
昨晩、自分に起きた不可思議な現象を老人もといお爺ちゃんに説明をした。
「ふむ、ただの
「えっ?」思わず間抜けな声が出てしまった。
「なんで? 私わけのわからないやつだよ!? そんなんでいいの!?」
「なんじゃ? お主が気にするでない! どうせ小童が一人増えた程度であんまり変わらん! あ、それとお主の名前も決めないとな!」
「そんなんでいいの!? もうやだぁ! 強引すぎるよこの人!!」
「で? お主の名前はどうするんじゃ?」
「うっ……名前は……その……レフィーヤ。この体の名前はレフィーヤ・ウィリディスだと思う」
「ほぅ、レフィーヤか……うむ! いい名前だ! ならば愛称はレフィとかはどうだ?」
「知りませんよ!? 愛称とかもう勝手にしてください!!」
「なら次はワシの孫も紹介せねばならんのう! おい〜ベル!!」
扉の奥から「はーい」と元気で可愛いらしい声が聞こえた。そしてその声の主は今この部屋に入ってきた。
「どうしたのお爺ちゃん?」
「おぉ、ベルよ。こいつはレフィーヤ。今日から一緒に住むことになった新しい家族だ! 気楽にレフィと呼ぶがいい!」
「か、軽いですね?! もう……お爺ちゃんから紹介された通り、レフィーヤです。よろしくね? ベル君」と右手を差し出した。
ベルはそんな右手を見て困ったように笑う。あぁ、そういえばこの世界のエルフって同族以外にはあんまり肌を許す種族じゃないらしいね。そんな困ってるベルを無視するかのように強引にその手を握った。どうやら私も相当強引な人のようだ。
「あ、う、うん。よろしくね。レフィーヤ」
照れて顔を真っ赤にしたベルが最高に可愛いと思う、異論は認めない。
「で、でも……いいの?」
「何がですか?」
「そ、その……エルフってあんまり他種族に触れられたくないんじゃないの?」
「あぁ〜そんな事ですか? 命の恩人とそのお孫さんですよ? そこで拒絶したらそれこそ失礼かと私は思うわけですよ。それに……」
「そ、それに?」
「こ、これから家族になる人たちを赤の他人なんて言う訳ないじゃないですか」
顔が熱くなってるの確信しながら私は彼らに微笑んだ。
それを聞いたベルはそれはそれはもうキラキラした目で私を見つめた。後ろに控えてるお爺ちゃんも私に優しく微笑んだ。
子供には優しいが女絡みのトラブルが絶えないお爺ちゃん。
そんなお爺ちゃんの影響を受けて、大きくなったら英雄になってハーレムを作る! と宣言する純粋な弟(私の方が一つ上のためお姉ちゃんと呼ばれる様になった)
問題ばっかりだけど(主にお爺ちゃんのせい)、これが私の大好きな家族です!
あっ、ちなみになんか最近魔法が使える様になったよ!
ここまで読んで頂いてありがとうございます。