私が妖精になるのは絶対間違ってる   作:ZeroRain

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続きを軽く書きました。

冒頭のやり取りに違和感ありまくり…


やっぱブラコンですね

 ———【へファイストス・ファミリア】のホーム。

 先日フィンと共にこの場に来たロキは再びへファイストスに会いにきていた。理由は言わずもがな借金の女神ことヘスティアと共にレフィーヤの秘密を共有する仲間を増やすためである。

 まあ、巻き込まれたヘファイストスは堪ったもんじゃないが。

 

「……ロキ、悪いけど遠征の話はまだ纏まってないわ」

「いいや、今回は違う話や」

「違う話?」

「ファイたんはドチビ……ヘスティアの眷属のレフィーヤたんの事知ってるやろ?」

「……あなたがヘスティアの事名前で呼ぶなんて……」

「……その話は後や、それでレフィーヤたんの事は?」

「……なんか嫌な予感はするけど……ええ、まあ知ってるわ。ヘスティアが彼女を眷属にした時、私に紹介してくれたんだもの」

「そっかぁ、知ってるなら話が早い。ヘスティアも呼んで3人であの子のについて話がしたい」

「……なんでそこで彼女の名前が出るのかしら?」

「今日からあいつがここでバイトしてるの事前に聞いたんやからな。せやから、うちとファイたん、そしてヘスティアとの話し合いをしたいっちゅうわけや」

「いつからあなたがヘスティアと仲良くなったのかしら?」

「それはヘスティアが来たらまとめて説明したる、ほな、呼ぼうか」

 

 こうしてロキとヘスティアはヘファイストスを巻き込んだのであった。神友の巻き添いを食らってしまった哀れな女神である。

 

 ➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

 

 ヘスティアとロキがヘファイストスとの面会が行われたと同時刻に。ベルとレフィーヤは魔石換金を終えて、「豊饒の女主人」を目指してる所だった。育ち盛りのベルは終始笑顔で今日は何食べるかなと姉に語り掛けていた。その時、路地裏から言い争いの声が聞こえていた。

 

 もちろん、その声を聞いたベルはすぐさま駆けつけた。レフィーヤはお人好しすぎる弟の性格を心配しつつも彼の後を追った。そして彼女がその場に着いた時には一人の冒険者とベルが睨み合い、いつでも切り合いが始まりそうな雰囲気をしていた。よく見るとベルの後ろには座り込んでいた小人族の少女が居る。その少女はベルの背中、否。彼のナイフの鞘を見て固まっている。

 冒険者が剣に手を伸ばそうとしたのを見てレフィーヤは魔法を発動させようとしたのだが再び声が聞こえた、今度はよく聞く声だ。「豊饒の女主人」の店員であるリューがベルと冒険者の言い争いを聞いて駆けつけてくれたのだ。そんなリューの威圧に圧倒され、冒険者はその場から去っていった。その隙を見て小人族の少女もその場から逃げていた。

 

「リューさん、ありがとうございます!」

「いいえ、気にしないで下さい。あなた方に何かがあるとシルとミア母さんが悲しみます。……それに少し余計な事かもしれません」

「どういうことですか?」

「……あなたの姉が先程の冒険者に魔法を撃つつもりでしたよ?」

「えぇ!? そ、そうなの?」

「え? まあ、そうだよ? あっちが武器抜いたら『業火の戦斧』をぶっ放す予定だったし」

「ちょ!? そんな物騒な魔法をこんな街中で使わないで!?」

「ごめんごめん、ベルがあんな冒険者に怪我させられるの嫌だから思わず詠唱しようとしてた」

「……聞いての通り、あなたの姉は過保護な所があるので下手すると先程の冒険者は再起不能になる可能性すらありました。なので気をつけてください……」

「あ、うん……そ、そうだ! あの女の子は!?」

 

 ベルは逃げるかのように話を摺り替えた。

 

「……先の子ならもう逃げたよ?」

「そ、そうなんだ。怪我とかなかったかな?」

「……見た限り大きな怪我はなかったね。大丈夫でしょ」

「ならよかった……」

 

 その情報を聞いてホッとしたベル。しばらくすると彼らの様子をじっと見ていたリューが喋りかける。

 

「それでクラネルさん、ウィリディスさん。今日はうちに来るのですか?」

「あ、その予定です。なんだかんだでずっと行けなくて」

「連日体調を崩していたのは聞いております。ミア母さんもシルも凄く心配しています。それともし良ければ私と一緒に店に向かいませんか?」

「「あ、是非!!」」

「……では行きましょうか」

 

 リューと共に再び「豊饒の女主人」を目指したベルたちであった。

 

「……あのナイフがあれば……リリは———」

 

 一人の少女もまた新たな目標を決め、計画を練り始めた。

 

 ➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

 

 ———その夜、18階層に起きた怪人と【ロキ・ファミリア】の衝突とは別に、顔に傷を負った一匹の魔物が芋虫型の魔物を次々と倒しそしてその極彩色の魔石を捕食している。

 

 真っ黒だったその毛は所々が白くなっており、真っ赤だった瞳が蒼く光っている。炎だったその息が今や氷の様に周囲を凍らせた。そこにはもうヘルハウンドと呼ばれる魔物など居なかった。異常事態(イレギュラー)故に生まれたその魔物が極彩色の魔石を捕食した影響で、異様な進化を遂げるのだった。

 誰にも気づかれる事なくバケモノは更にダンジョン奥深くに進むのであった。




ここまで読んで頂きありがとうございます。

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