私が妖精になるのは絶対間違ってる   作:ZeroRain

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短いです


ホームでの一時

 ———その夜、廃教会の地下室にて、ベルは姉であるレフィーヤから叱られてる真っ最中だった。何故なら彼は2億もする武器を“落として”しまったからだ、幸いその武器は行きつけの店の女給であるリューとシルが見つけてくれたから大袈裟に成らずに済んだ。だが勿論レフィーヤはベルがその武器を“落とした”わけじゃないのも承知している。何せ彼女は泥棒である“黒髪の兎人”と出会ったからだ。それでも彼女はその情報をベルに教えるつもりなんて無かった、これからの事を考えるとまだ本当の事を言えないもどかしさと不注意で高級品を無くしそうな弟の事を考えながら、彼女はベルに説教をしている。不当な理由と判っていても。

 

「…………はぁ〜、とりあえず今日はもういいよ」

「……え?」

「……思ったより短かったね、レフィ君の説教」

「……ベルたちから私ってそんなに風に思われてるんだ」

「思ってない! 思ってないです、姉様!!」

「そ、その通りだ! ボクはそんな事思うわけないじゃないか!」

 

 必死な弁解をしている二人を見て、思わず笑いが溢れた。

 

「ふふっ、罰も決めたし流石にもう怒ってませんよ。ベルの不注意だけでずっとズルズル引きずる訳にもいかないからね。もちろん次はないけど」

「……き、気をつけます」

「じゃあ、ボクたちはリフォームの片付けをしないといけないから、みんなで片付けようではないか!」

「わかりました」

「は、はい!」

 

 一連の出来事が終わるとヘスティアたちはリフォームが始まる明後日までに必要品以外の物を貰った木箱に入れた。

 

「それにしてもリフォームが始まるのは意外と早いですね、もっと時間かかるかと思いました」

「私も最初はそう思ったよ? でも請負の人たちは明後日からやるって言い出して」

「ボクもそれを聞いた時は流石にビックリしたよ、予定より早く宿を探さないといけなくなったしね」

「な、なんか聞くだけでやる気に満ち溢れてますね」

「……最低限以外を好きな部屋にしちゃっていいって契約だからね」

「その契約本当に大丈夫かい? いきなり教会がガネーシャのホームみたいに成らないかい?」

「……流石にそこまでひどく成らないように契約を結びましたから……私だって凄く心配ですよ!? 提示された値段に釣られた自分が憎い……」

「1000万ヴァリスが500万ヴァリスになるんですから、僕だって迷うよ……でも、そこは全部レフィ姉に任せるって言ったからどんな物が出来ても文句を言うつもりないよ?」

「勿論、ボクもだ!」

「ありがとう二人共……でもねベル、先の罰は無くならないからね?」

「……あ、やっぱり?」

「これを終わったら正座を4時間は無くならないんだぜ、ベル君」

「……で、ですよねぇー」

 

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 ホームの片付けが終わって、レフィーヤとヘスティアは寝室のベッドの上で座りながら話し合いをしている。一方ベルは別の部屋で正座させられている。

 

「……ベル君が言ってたサポーター君についてキミはどう思うんだい?」

「……どうとは?」

「ハッキリ言うとベル君のナイフを盗んだのは彼女じゃないかってボクは考えてるんだ」

「……私もそう思っています。けど提示出来る証拠がない以上何も出来ないし件の武器も戻っています」

「じゃあ、逆に聞くけど。提示出来ない証拠なら持ってるのかい?」

「……実は私そのサポーターとすれ違ったかもしれないんです。聞いていた容姿とは違いましたけどあの娘はベルのナイフを持っていたので間違いないかと。脅して情報を吐かせるつもりだったんですけど、実行する前にリューさんに声掛けられちゃって彼女には逃げられちゃいました」

「キミはベル君の事になると過激な所あるよね……」

「否定はしません……」

「……そこは否定して欲しかったよ。それであくまでキミはサポーター君を目撃したに過ぎないから何の証拠にも成らないんだね」

「いいえ、最初から万が一逃がしてしまっても平気なように彼女には精霊を付けておきました」

「……ボクはいけない知識を与えた気分だよ」

「いえいえ、とっても助かります。遠くからでもみんなの居場所がわかるようになったし、それに———」

 

 レフィーヤが言葉を続けずに壁にかけられた自分の杖に向けて手をかざし。

 

『おいで』

 

 その一言で杖が浮かびそしてレフィーヤの元に向かって動くのだった。

 

「こう言うの出来るようになりました」

「……キミはいつの間にかその杖に乗って飛びそうだね」

「あっ! それいいですね、練習してみます!」

 

 嬉しそうに笑うレフィーヤを見て、ヘスティアは思った、また余計な事を言ったかも知れないと。





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