—————ベルとリリルカがダンジョンに突入してから暫くして。
先日、レベル6にランクアップしたばっかりのアイズは消耗品の補充を終えて、今からダンジョンに向かおうとしている。だがその途中に彼女はとあるハーフエルフとばったり会った。
「あ」
「…………?」
そのハーフエルフはエイナ・チュール。先日、【ロキ・ファミリア】のホームに訪れたギルド職員、そして同時にリヴェリア・リヨス・アールヴの知り合いでもある。
「お、おはようございます、ヴァレンシュタイン氏」
「……おはようございます」
動揺したエイナとは違い、アイズはぺこりと頭を下げた。
「えっと……せ、先日はどうもありがとうございました」
「……あ、いいえ」
口下手なアイズと動揺しているエイナの会話が途切れた。
「あ、え、その……、ヴァ、ヴァレンシュタイン氏は今日どうなさったんですか?」
「アイテムの買い付け終わったから今日はダンジョンに行くつもり……」
「な、なるほど……」
再び会話が途切れた。
「……それじゃ」
「え?」
ダンジョンに向かおうとしたアイズにエイナは思わず呼び止めた。
「あ、あの……ヴァレンシュタイン氏!」
「?」
「わ、私が担当した冒険者達を助けて頂きありがとうございました!」
「……?」
エイナの言葉にきょとんとした顔を浮かべたアイズ。
「先日、ヴァレンシュタイン氏が5階層でミノタウロスから助けた二人の冒険者は私の担当冒険者なんです」
「……ミノ……タウロス」
「はい、覚えていらっしゃらないのでしょうか? あの二人は結構目立つパーティーだと思うですが」
「……レフィーヤとベル」
「はい、そのお二人です。あの、もしかしてご存知なのですか?」
「うん、少し……、レフィーヤとは少し仲良くなった……でも……」
「でも?」
「ベルは私の事……嫌いみたい……」
「え!? そんな筈はないと思うのですが……」
「……ううん、いつも逃げられてる」
「ベル君……」
ベルのことを思い出したアイズはしょんぼりとした顔になった。そんなアイズを見たエイナは慌てて話しかけた。
「そ、そんな筈ないです! ベル・クラネルはとってもあなたに感謝しています!」
「……ほんと?」
「ええ、私が保証します。……だったらもし良ければ私がベル・クラネルとの面会の機会を作りましょうか?」
「出来るの?」
「勿論です、レフィちゃんに言えば一発ですし」
「レフィ?」
「え、えっと、レフィーヤ・ウィリディス氏の事です。そう呼んで欲しいってお願いされまして……」
「……レフィーヤってみんなからそう呼ばれたんだね」
「はい、ですので—————」
言葉を続ける前にエイナは横切った数人の冒険者の会話が聞こえた。
『それで旦那、白髪のガキ諸共やるのだな』
『あぁ、そうだ。まあ、あのガキがこの話を蹴ったおかげで分け前が増えるんだ、喜べよ』
『ハハハ、儲け話を蹴るなんぞそのガキはまだまだお子ちゃまだな!』
『ちげぇねえ』
『『『ガハハハハ』』』
その会話を聞いたエイナは直ぐ様アイズを見た、アイズもまた目を開きながら去っていった冒険者達を見ていた。
「エイナ、あの人たちが言ってた白髪のガキってもしかして……」
「……はい、恐らくですが、ヴァレンシュタイン氏が思っている通りでしょう」
「あの子が……狙われてる……」
「はい……、……あのヴァレンシュタイン氏、無礼なのは承知しています。どうか私の担当冒険者を、ベル・クラネルを助けてください」
「……!」
「ベル君は恐らく良くない人に狙われています。オラリオ最大の派閥である貴方に対して厚かましいお願いをしているのは重々承知しています、ですがどうか彼を助けてあげて欲しい」
「任せて」
「ですの……え?」
「ベルの事は任せて」
「本当にいいのでしょうか!?」
「うん、それに……」
「?」
「ううん、なんでもない。……もう行くね」
「……どうかよろしくお願いします」
そう言って足早にダンジョンに向かったアイズ、エイナはそんな金髪金瞳の少女が離れるのを見届けた後に同様に彼女も急いでバベルの上層へと向かった。彼女の担当冒険者の主神がいる場所へ向かって。
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—————アイズとエイナから少し離れた場所にて。
エイナがバベルに登ったのを見届けた複数の人物が居た。
「……フィンさん」
「レフィーヤか、アイズはどうしたんだい?」
「アイズさんはその後直ぐにダンジョンに向かいました。……ベルの事を探す為でしょう」
「断言するんだね」
「ええ、彼女は今も凄い速さで動いてます」
「…………今のアイズの状況もわかるって言うのかい? 凄まじいね……」
「あははは、魔法って便利ですよね」
「君の場合は便利すぎるんだよ、……それでベル達の情報は?」
「ベル達は先程9階層についた頃です……」
「なら9階層だね」
「……と言いたいところですが、どうやら10階層に潜るつもりです」
「…………彼も彼で凄まじいね、この短期間で10階層なんて……」
「勿論です、だって私の自慢の弟ですよ?」
「……あははは」
状況を確認しているフィンの背後から話しかけてきた一人の女性が居た。
「団長、準備出来ました」
「うん、ありがとう。ではラウル、ティオネ、レフィーヤ。僕に続け!」
「「「はい! (はいっす)」」」
【
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