私が妖精になるのは絶対間違ってる   作:ZeroRain

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一度書いたら本当に止まらないので投稿します。


もうやだこの妖精※

 カヌゥ達を連れてダンジョンから出たレフィーヤ達が待っていたのはポカーンとした表情を浮かべたエイナだった。

 

「あっ、エイナさん。おはようございます!」

「はい、おはようレフィちゃん……ってそうじゃなくて!? なんで君はソーマの団員を連れて出てきたの!? あとなんで【ロキ・ファミリア】の方々と一緒なの!?」

「あははは、まあ、色々ありまして」

「すまないがそれは後程説明する。まずはこいつらをギルドに連れて行きたいんだ。手の空いているガネーシャの団員を捕まえてきて欲しい」

「フィン・ディムナ氏!? すぐ呼びますので少々お待ちください!」

「ああ、頼むよ」

「あとレフィちゃん、あとでオハナシがあるからね!」

 

 エイナは人手を呼ぶ為にその場から離れていった。一方レフィーヤの顔色はだんだん悪くなった。

 

「……僕の方からも後で言っておくよ」

「…………はい、お願いします」

 

 しばらくするとエイナが数人の【ガネーシャ・ファミリア】の団員を連れて戻ってきた。

 

「彼らをよろしくお願いします」

『ハッ!!!』

「僕達は後からギルドに行くので少し待って欲しいとギルド長に伝えて欲しい。何故なら証拠や証言もあるからね」

『かしこまりました!』

 

 連れて行かれたカヌゥ達はそれぞれ違う表情を浮かべた。静かに連れて行かれたケイ、俺は悪くねぇ! と叫び続けたカヌゥ、何故か震えているレンダー。

 

 しばらくするとダンジョンからベルがリリルカを背負いながら出てきた。

 

 レフィーヤの存在を認識するとリリルカはベルに何か伝えて、そのまま彼の背中から降りた。彼女が普段着ている服やローブがボロボロになりそして思いっきり血の色で染まっていた。

 

 ベルはそんな彼女を支えながらレフィーヤの元にやってきた。ベルは少し困った表情を浮かべるが、一方リリルカはたくさん血を流したせいなのかあんまりいい顔色では無い。

 

「あのね、レフィ姉……リリが話したい事があるって」

「そうなの? でもリリルカさんの顔を見ると立ちっぱなしは良くないよね。ちょっと待ってね…………」

 

 そう言ってレフィーヤは何か唱えると土が盛り上がって、気がつけばそこには立派な椅子と机が出来上がった。

 

「よし出来た! とりあえずみんな座ってて」

「ありがとうレフィ姉。ほら、リリ、座ってていいよ?」

 

 ベルは当たり前の様に振る舞っており、リリルカは信じられないモノを見たと言わんばかりの表情を浮かべた、フィンやティオネそしてラウルは苦笑を浮かべて、初めてレフィーヤの魔法を直接見たエイナはそのまま固まった。

 

 リリルカが座ると他のメンバーも彼女に続く様に座り始めた、約一名を除いて。

 

「…………帰り道にベル様から少し聞いていたのですが、実際に目の前で見るとどうしても信じられません……」

「そう言うものだと認識すればいいんだよ?」

「……はい、そうします」

 

 一方、ベルは固まっているエイナに声をかけたが反応が無かった。

 

「……リヴェリアショック再びだね」

「エルフにはあまりにも衝撃的な魔法っすからね」

「……意外と座り心地良いわねこれ。土の筈なのに何故かソファーに座っている様な感覚だわ」

「……やっぱり彼女はうちの遠征に欲しいね」

「遠征と言えばあの人どうするっすか?」

「あのケイと言う奴かしら? 団長は欲しいって言ってたわね」

「あぁ、事前情報通りなら彼はそこまで大きな罰則を受けないだろう、ソーマから引き抜いてうちでコキ使う予定さ。彼のスキルがあれば遠征の物資の運搬が今より遥かにやりやすいからね」

「元々助ける予定だから良いんっすけど、彼のスキル情報を聞いた途端団長の目が完全に変わったっすね」

「否定はしないさ。けど今は彼よりまずはリリルカ・アーデの話を聞かないとね。僕としては彼女がうちに入ると嬉しいんだけど」

「…………団長? まさか?」

(ギロッ)

「ヒ、ヒィイイイイイイ!!!」

「あ、あははは、ま、まあ、可能性としては無いことはないだろ?」

 

【ロキ・ファミリア】はまた別の意味で雑談をしている。

 

 そして落ち着いて来たリリルカは話を切り出した。

 

「レフィーヤ様、実はリリはレフィーヤ様に隠した事があります!」

「うん、何のことかな? この間食べたケーキは実は二個じゃなくて四個食べた事?」

「ウッ!? ち、違います!」

「違うの?」

「……違いませんが違います、その話ではありません!」

「うーん、じゃあ、リリルカさんがベルが取っておいたイチゴを食べて、ベルに無意識に食べたんじゃないですか? とか言ってた事?」

「えっ!? あのイチゴリリが食べたの!?」

「そ、それでもないです! あとベル様ごめんなさい! ご馳走様でした!」

「そ、そんなぁ……」

 

 慌てていたリリルカに落ち込んでいたベル、そしてそれを見守りながら微笑むレフィーヤ。

 

 そんな場面がしばらく続く、疲れて息が上がったリリルカに突然レフィーヤが話を切り出した。

 

「……じゃあ、リリルカさんが自分の種族を偽っていた事?」

「ぁ……えっ?」

「それかリリルカさんがベルのナイフを狙っていた事?」

「なん……で……」

「それともリリルカさんがだいぶ魔石をちょろまかした事?」

「レフィ姉……」

「…………いつから……ですか……」

「うん?」

「いつから気付いてたんですか!!」

「いつからって……、最初から?」

「えぇー……それをずっと黙ってたの? ひどいよレフィ姉」

「だってベルは隠し事大の苦手でしょ?」

「うっ、うん……」

「……ベル様に紹介された日から……と言うわけですか……」

「ううん、違うよ?」

『えっ?』

「だから最初から、リリルカさんは最初に私と出会ったその時から」

「???」

「う、嘘…………」

「嘘じゃないよ? 私はベルのナイフに自分の魔力を流し込んであるからその時に盗まれた事に気付いているし、そしてあなたと接触したその日にもあなた自身に私の魔力を流し込んであるんだよ?」

「そ、そんなぁ……で、では何故私を見逃したんですか!?」

「最初は様子見だったね、その後は少しずつ“あなた”と言う人物に惹かれたの。それで少し調べたの」

「……何をですか?」

「そうね、あなたの過去や取り巻く環境についてとか? それでこの話をフィンさん達に持っていくことにしたの」

「…………だからここに【ロキ・ファミリア】の皆様が居るのですね、リリを捕まえる為ですか?」

「ううん、リリルカさんじゃなくてカヌゥさん達をね」

「……はぇ?」

「調べてる最中にわかったの、カヌゥとレンダーがあなたを狙ったのをわかったの、彼らはあなたを捕まえる為にわざと同じファミリアのケイさんの妻に毒を盛って、そしてその解毒薬を報酬として彼を共犯にした」

「…………あの人ようやく結婚出来たんですね、昔から変な人なんですが、カヌゥに手を貸すほど落ちぶれてはいないと思っていたから変だと思ってました……」

「まあ、そう言うわけで。これを返すね。ベルにもこれを」

 

 レフィーヤはリリルカに小さな鍵や魔剣を返し、そして同様にベルにも彼のナイフを返した。

 

「その金を使って、ソーマから脱退しなさい。その後はあなたの罪を償いながら新しい人生を歩むのよ?」

「……サポーターとしてと言うわけですか?」

「ううん、まだやりたいなら私は止めないけど、リリルカさんは頭いいしあそこに固まっているエイナさんの様にギルドに務めるのもいいし、私が紹介できる店や宿で働くのもいいし、それともオラリオから出たいのなら私が力を貸してあげる」

「そう願ってもいいのでしょうか? リリは……リリは……」

「あなたが願うならきっと大丈夫」

「…………では、ベル様やレフィーヤ様のファミリアに入る事でさえも出来るのですか?」

 

 リリがそう言うとベルは驚きを隠せなかった、ベルはずっとリリルカが冒険者やファミリアを嫌っていると知っているから。

 

「ふふっ、それがあなたの心からの願いなら、叶えてあげる。いいですよね、フィンさん?」

「……本人の意思のなら僕は文句を言えないね。それでも言わせてくれ、何故僕のファミリアはダメなんだい?」

「現在進行形で印象が最悪ですから」

 

 そう言われたフィンは横目で見ると今にもリリルカを襲いそうなティオネが居た。そんな彼女をみたフィンは思わずため息を吐いた。

 

「…………そうかい。すまない、普段はとってもいい子なんだ」

「はぁ……そうですか……」

「……なんだか最近僕はついてないな」

「ドンマイっす、団長!」

 

 渋々納得したフィンを横目に物凄くいい笑顔なティオネが居たのはご愛敬。

 

「じゃあ、リリルカさんはソーマを抜けたらうちに来るって事でいいかな?」

「ッ!! はい!!」

「じゃあ、もう少し頑張らないとね!」

「あぁ、だがここからは僕の仕事だ。生憎、君では【ソーマ・ファミリア】との会談で有利な立場を確保するのは言いづらいが難しい」

「ええ、わかっています。私や【ヘスティア・ファミリア】では名声や実力不足な事ぐらい理解してますよ。じゃあ、これをお願いします」

 

 レフィーヤはローブの下から青いガラスの玉を取り出し、そしてそれをフィンに渡した。

 

「これが例の?」

「ええ、取っておきですから大事にしてくださいね? あっ、あとこれも」

 

 今度は彼女は2セットの紙とインクそしてペンを取り出した。

 

「…………これは?」

「リリルカさん、そしてケイさんの脱退を認める為の呪術契約書(ギアススクロール)です。名付けて妖精の契約書(フェアリーコントラクト)。効果は一回違反につきステイタスを半減する呪いを付けました。直接でも間接でも」

「……これをソーマ神に?」

「いえいえ、流石に神には効果はないですよ。これは団長のザニスさんにサインして貰う為に用意しました」

「……ロキから聞いたが、まさかこれは全部君が?」

「ええ、レベルアップした際に作れる様になりました」

 

『えええええええええ!!!!?????』

 

 みんな一斉に声を上げた、そしてようやく復活したエイナは再び気絶した。

 

「レフィ姉!? いつの間に!?」

「二日前だよ、この作戦には必要だったからね」

「…………これらを作れると言うことはレフィーヤ様の発展アビリティって」

「“神秘”っすね…………」

「それってレア中のレアじゃない……」

「あはははは、僕らはとんでもない人と同盟を組んだと改めて実感するよ」

「…………ロキはここまで見抜いたと言うことなのかしら?」

「さぁ、これは僕らが知らない事実さ、さて、流石にロイマンを長く待たせるわけにはいかないから行こうか」

「…………っす」

「はい、団長!」

 

 そう言ってフィン達は固まっているエイナを連れて、ギルドの方に歩き出した。

 

「じゃあ、私とベルは先にリリルカさんをヘスティア様とロキ様の所に連れて行くね」

「うっ!? もう会うのですか!? 心の準備がまだ出来てません!」

「大丈夫だよ、リリ。お二人共とっても優しい女神なんだから」

「べ、ベル様がそう言うのなら……」

「では一時解散というわけで!」

 

「悪りぃが、そういう訳にもいかねえ」

 

 突然ベートとリヴェリアそして猫人(キャットピープル)のアキことアナキティ・オータムがレフィーヤ達の前に現れた。

 

「レフィーヤ、疲れている所ですまないが。私とベートと一緒にダンジョンに潜って欲しい、女神ヘスティアやロキからは許可を貰った」

「えっ!? リヴェリア様!? 一体何があるんですか!?」

「道中で説明する、すまないが今は一刻を争う事態なんだ」

「わ、わかりました! じゃあ、ベル。ちゃんとリリルカさんをエスコートするんだよ?」

「う、うん! レフィ姉も頑張るんだよ!」

「大丈夫よ、ベル君。私もエスコート手伝うから」

「アキさんまで、ありがとうございます! 行こうか、リリ」

「ハ、ハイ! オテヤワラカニ……」




ここまで読んで頂きありがとうございます。


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 レフィーヤ・ウィリディス
 レベル2
 力 E 407 → I 0
 耐久 E 401 → I 0
 器用 D 531 → I 0
 敏捷 E 405 → I 0
 魔力 SSS 2431 → I 0
 発展アビリティ
 神秘: I

 魔法
四大元素魔法(エレメンタルマジック)
 ・可能性の魔法
 ・効果は発動時のイメージ依存」
 
 スキル
四大精霊の寵愛(アマデウス)
 ・魔法効果にプラス補正
 ・魔力消費軽減
 ・状態異常無効」
 
妖精の親愛(フェアリー・シンパティア)
 ・魔力アビリティに成長補正極
 ・愛想(おもい)が続く限り効果が持続し同時に向上す」

妖精重奏(フェアリー・アンサンブル)
 ・魔法効果増幅
 ・実行した全ての魔法に強化補正倍加
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勝手に解説:
発展アビリティについて
・レフィーヤがランクアップ時に現れた発展アビリティは神秘、魔導、耐異常の三つです。
耐異常: スキルがあるので取る意味なし。
魔導: 威力が上がるのはいいが、今は別に困らない、むしろ既におかしいレベル。
神秘: マジックアイテムを作れるようになる発展アビリティ。めっちゃレア。金策にも使えるし戦略の幅も広がるので実質これ一択。

魔力だけおかしくない?
・本編でもちょくちょく書いてますがこの子は戦闘が無くても日常的に魔法を発動しています。
例: ヘスティア様に常時防御魔法、ホームに結界、読書時に本を浮かせながら読んだりなど様々なことをやってます。

新スキルは何?
・エルフなら絶対に手に入れる魔法効果増加スキルです。効果は違うがリューさんやリヴェリア様も持ってます。

マジックアイテムの効果強すぎない?
・だいたいエレメンタルマジックのせい

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