「振り向くな！！
駆ける……。
「あなた達の背中は私が守ります！！」
駆け抜ける……。
団長であるアスフィの叫び声が響いている。
足を止めれば、間違いなく死ぬ。現在、彼らはそんな状況に置かれた。
（くっ！？ 捌き切れない！？ 持っていた
限界まで己の感覚を研ぎ澄ましたアスフィは再び手投げ弾の瓶を投げ、そしてその瓶が
刹那に大爆発が起き、
「アスフィ！ 前からも来たよ！」
「！？」
後方から押し寄せた群れの対処が終わると今度は前方から
「……どうしても私たちを
「どうしますか！？」
「こうなれば奴らに構わずに正面突破するしかありません！ 全員、足を止めないで走り抜きなさい！」
『了解！！』
他の団員が抜けた後、最後尾であるアスフィは最低限の処理を行い、少しでも追いかけてくる敵を減らしていた。
そして彼らがひたすらに足を動かし、
「……アスフィ、そろそろ」
「えぇ、その様ですね。みんな、一旦ここで止まって、態勢を立て直しましょう……」
少しでも万全な態勢で挑める為に、彼らは念入りの準備をした。それに意味があるかは……誰も知らない。こうやって、【ヘルメス・ファミリア】は目的地である
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—————同時刻
目標である
「オラオラァ！！ てめぇら邪魔だァ！！」
「ベートの奴、やけに攻撃が鋭いな……お前がなんかやったのか？」
「少し
「いや、ダメではないが、出来れば魔力を温存して欲しいんだがな。お前はずっと私たちに魔法を掛けながらここまで来たんだ、その上にここに来るまで常にアイズの居場所の特定までやってくれたんだ。だからこれ以上あんまり無茶しないでくれ」
「…………戦闘では恐らく私は何もできないのでしょう。だから今できるだけの事をやるだけです」
「……そうか、わかった」
レフィーヤがリヴェリアと話している内に先行していたベートは襲い掛かったモンスター達をあらかじめ倒した。
「お゛い゛ィ゛！ クソババア！ 頭可笑しいエルフ！ ささっといくぞ！
「……あいつは相変わらず口悪いな」
「あ、あ、頭可笑しい！？ ベ、ベートさん！ どういう事ですか！？」
「あ゛ァ゛！？ そのまんまの意味だ、馬鹿野郎」
「ひどいです！？ リヴェリア様もなんか言ってやってください！」
「……すまんが、それに関しては否定できない私がいる」
「リヴェリア様まで！？」
ふっとレフィーヤは違和感に気付いた、たったの一瞬だが不自然な魔力の流れを感じ取る事が出来た。
「！！」
「……どうやらお前も気付いた様だな」
「リヴェリア様？」
「私の存在を確認した途端直ぐに逃げた様だが、アレは恐らく”あっち側”だろう」
「……そうですか」
「あぁ、だが今は考える時間はない、一刻も早くアイズと合流せねばならないからな」
「……はい」
「では、行くぞ」
ベートとリヴェリアが先行し、それに続くレフィーヤだが……、彼女はその二人に言えない事があった。
24階層に近くなるに連れて、自分が使役した精霊達が騒ぎ始めた事を。
その上に24階層に着いた途端使役した精霊達との交信が出来なくなった事を…………。
そして———
『助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けてタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテ』
この声がひたすらに自分の頭の中に響いた事を。
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—————25階層
白い獣が凄まじい速度で迷宮を駆け抜けた。
彼の本能は彼に告げた、そこに行けば更なる高みへ至る事ができる事を。
だから彼は駆け抜ける、本能が告げるままに。
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