私が妖精になるのは絶対間違ってる   作:ZeroRain

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今回は短めです。


尊き溢れる日常(5)

 赤髪の調教師(テイマー)の退却路を阻んだ隻眼の白狼は一瞬で通路を氷の壁で塞いだ。

 

『……逃がさんとでも言いたいのか?』

『グルルッ……』

 

 お前は通させないと言うはっきりな意識の元、狼は威圧を放った。

 

『ほう、中々面白いな……、だがその程度では私を止める事は出来ん!』

『……ッ!!』

 

 赤髪の調教師(テイマー)はレフィーヤを担ぎながらも壁ごと狼を断ち切ろうと剣を振りかざした。

 

「……レフィーヤを離して!」

 

 けどそこに風を纏いながら猛突進したアイズが割り込んだ。

 

『……チッ』

 

 赤髪の調教師(テイマー)はアイズから距離を取ろうとしたが、彼女の足は動かなかった。

 

『グルル……』

 

 何故なら白狼は静かに彼女を足回りを凍らせてしまったからだ。

 

「…………」

 

 一方、アイズは狼に警戒しながらも赤髪の調教師(レヴィス)に剣先を向けた。

 

「レフィーヤを返して、そしてどうすれば戻せるの教えて」

『フッ……、アリアよ、無駄だ。一度堕ちたら戻る事など出来ん。それは真実であり現実だ』

「……そんなの嘘。あなたは知っている筈」

『おいおい、貴様の頭はお花畑か? そんなもんはないって言ったんだ。諦めろ』

 

 そこにベートとリヴェリアが到着した、【ロキ・ファミリア】はレヴィスを囲みながらチャンスを窺う。

 

「おいおい、なんなんだそのモンスターは?」

「……なにかの亜種か?」

 

 白狼を見た二人は軽く驚いたが、ベートはすぐさまレヴィスに意識を向けた。

 

「……どうでも良いが。ババア、あの狼から注意を逸らすなよ?」

「ああ、わかってる」

 

 白狼は静かに様子を伺った。片方しかない目はレヴィスの方向に注意深く向けられたが、だからと言って【ロキ・ファミリア】への警戒を怠らない。

 

 ———ピクッ

 

 担がれたレフィーヤの体は僅かに動いた。

 

 それに気づいたレヴィスは彼女に語りかけた。

 

『おい、起きてるならささっと私を手伝え』

 

 それを聞いたレフィーヤはこくりと静かに答えた。

 

「ッ!? レフィーヤ! お願い、やめて!」

「レフィーヤ! しっかりしろ!」

「……クソッ!」

 

 彼女が手を構えると魔力が練り上げられた。激しく、だが同時に優しく魔力が渦巻いた。

 

 それを見た白狼は誰にも気付かれずに静かに笑った。

 

 —————ああ、そうだ。そうでなくてはな。

 

 そして、魔法が完成し、レフィーヤはその目を開いた。

 

 そこには【紅い瞳】などなく、あるのは彼女の持ち前の【碧い瞳】だった。

 

 —————業火の戦斧! 

 

 魔法は【ロキ・ファミリア】に向けてではなく、レフィーヤ自身を担いだレヴィスに向けられた。

 

『なっ!?』

 

 虚を衝かれたレヴィスはモロにその攻撃を喰らった…………がそれでも彼女は深刻なダメージを負わなかった。

 

 だがそれでもレフィーヤ自身が抜け出すには十分すぎた。抜け出したレフィーヤはすぐにアイズの元に駆け寄った。

 

「あ、あの……はぁはぁ……なにがなんだか……わかりません!」

 

 唐突なレフィーヤの行動に衝撃を受けたアイズは一瞬思考が追いついてないが、彼女は再びレヴィスに意識を向けた。

 

『何故!? 何故貴様は戻って来れた!?』

「お、教えてあげるもんですか!」

『クソッ!! ならばもう一度堕とすまでだッ!!』

 

 怒り狂ったレヴィスは地面を強く蹴り上げ、レフィーヤに攻撃しようとしたが。

 

「んなもん、させると思うか? あ゛ぁ゛!?」

 

 だがそこにベートは横槍を入れ、レヴィスに蹴りを入れた。蹴られたレヴィスはそのまま肉壁の方にぶっ飛ばされた。

 

『冒険者如きがッ!!』

 

《ズド──────ーン》

 

『クッ!?』

 

 突然、レヴィスに目掛けて白狼の方向からかなり大きめな氷の塊が放たれた。

 

「ッ!?」

「はぁ!? なんだ今の!?」

「ま、魔法?」

「……あの狼は一体!?」

 

 そこに再び乱入者が現れた。真っ黒なローブに仮面身に付けた、謎の存在。

 

『レヴィス、ここは引くぞ』

『……見ているなら最初から手伝え!』

『そう言うわけにもいかん、さあ、行くぞ』

『アリアとあの器はどうする!?』

『……また機会が来る筈だ、その時まで我慢しろ』

『……チッ』

 

 次の瞬間、たった一瞬で周りが氷に覆われた。

 

『アオオオオオオオオン!!!!』

 

 白狼が動き出した。




ここまで読んで頂きありがとうございます。
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